気管支炎から喘息になることはありますか?
急性気管支炎がそのまま気管支喘息になるとは考えられていませんが、喘息の悪化要因とされています。
気管支炎と気管支喘息は、どちらも咳や痰が出るため混同されやすい病気ですが、原因や経過が異なります。ここでは、主に急性気管支炎と気管支喘息の違い、気管支炎のあとに症状が続く場合の見方を整理します。
気管支炎と気管支喘息はどう違う?
急性気管支炎は、風邪などによる炎症が気管や気管支へ広がり、咳や痰などが現れる病気です。ウイルスが原因となることが多く、発熱、倦怠感、胸の不快感を伴うこともあります。基礎疾患がある場合や細菌感染を合併した場合などを除けば、一般に予後は良好です(日本呼吸器学会)。
一方、気管支喘息は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が続き、さまざまな刺激によって気道が発作的に狭くなることを繰り返す病気です。急性気管支炎が一時的な感染症であるのに対し、喘息では症状がないときも気道の炎症が続いていることがあります。
なお、「慢性気管支炎」は急性気管支炎とは異なる病態です。ここでは急性気管支炎との違いを扱います。
気管支炎から気管支喘息になることはある?
急性気管支炎がそのまま気管支喘息へ変化するとは、一般に考えられていません。
ただし、風邪などの呼吸器感染症は、もともとある喘息を悪化させる引き金になります。また、感染をきっかけに咳や喘鳴が繰り返され、それまで気づかれていなかった喘息が明らかになることもあります。
乳幼児では、2歳未満で細気管支炎にかかったことと、その後の喘鳴や喘息の発症との間に関連が報告されています。2021年のメタ解析では相対危険度が2.46とされましたが、研究間のばらつきが大きく、交絡因子などの影響も考えられるため、因果関係が証明されたわけではありません(BMJ Open 2021)。
気管支喘息の原因は気道の慢性的な炎症
気管支喘息では、アレルギーやウイルス感染など複数の要因が関係して気道に炎症が続きます。原因を特定できないこともあります。
炎症のある気道は、冷気、煙、香り、運動などの刺激に敏感です。発作時には気道の壁にある筋肉が収縮し、粘膜の腫れや痰などの分泌物も加わって、空気が通りにくくなります。その結果、咳、喘鳴、胸苦しさ、呼吸困難などが現れます(日本呼吸器学会)。
気管支炎のあとに気管支喘息を疑う症状
感染後は気道の刺激に対する敏感な状態が残り、しばらく咳が続くことがあります。咳が続くだけで喘息と判断することはできませんが、次のような場合は喘息の可能性も考えられます。
- 風邪が治ったあとも咳が長く続く
- 風邪をひくたびに咳や喘鳴を繰り返す
- 夜間や早朝に咳が出やすい
- ゼーゼー、ヒューヒューという音がする
- 咳とともに胸苦しさや息苦しさが現れる
- 運動、冷気、煙、香りなどで症状が誘発される
- 症状が現れたり治まったりする
喘息の診断では、症状の経過に加え、呼吸機能検査、気管支拡張薬への反応、呼気一酸化窒素(FeNO)検査などを組み合わせて評価します。
なお、乳幼児の細気管支炎では、喘鳴、多呼吸、陥没呼吸などがみられることがあります。陥没呼吸とは、息を吸うときに肋骨の間やみぞおちなどがへこむ呼吸です。これは呼吸に強い力が必要になっているサインであり、喘息だけにみられる症状ではありません。
RSウイルスは乳幼児の細気管支炎の代表的な原因で、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告があります(国立健康危機管理研究機構)。喘鳴があっても、それだけで喘息とは診断できません。
乳幼児に陥没呼吸、顔色不良、哺乳量の低下、無呼吸などがみられる場合は、早急に医療機関を受診してください。
気管支炎後の咳が続くとき、気管支喘息の相談を検討する目安
感染が落ち着いたあとも咳・喘鳴・息苦しさが続く場合や繰り返す場合には、背景に気道の慢性的な炎症がある可能性も考えられます。気管支喘息の診断・治療を行う主な診療科は、呼吸器内科やアレルギー科です。気になる症状が続くときは、医療機関への受診をご検討ください。
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気管支喘息が治りづらい方へ


(参考文献)
独立行政法人環境再生保全機構『ぜん息とは|成人ぜん息(ぜんそく、喘息)|ぜん息基礎知識』https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/index.html.(参照 2026-09-09).
独立行政法人環境再生保全機構『日常生活におけるぜん息悪化の要因』https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/causes.html.(参照 2026-09-09).
一般社団法人日本呼吸器学会『A-01 かぜ症候群|呼吸器の病気』https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/a/a-01.html.(参照 2026-09-09).
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト『RSウイルス感染症とは』https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/topics/040/index.html.(参照 2026-09-09).
Wang G, Han D, Jiang Z, Li M, Yang S, Liu L. Association between early bronchiolitis and the development of childhood asthma: a meta-analysis. BMJ Open. 2021;11(5):e043956.
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
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