「イソ吉草酸血症」とはどのような病気ですか?
アミノ酸代謝の異常で、体内に有害物質がたまる先天性の病気です。早期診断・早期治療が大切です。
イソ吉草酸血症は、体内でロイシンというアミノ酸を分解する過程に異常が生じる、先天性代謝異常症のひとつです。
人が食事から摂るたんぱく質は体の中でアミノ酸に分解されます。イソ吉草酸血症は遺伝子変異により、ロイシンというアミノ酸の代謝に必要な酵素「イソ吉草酸CoAデヒドロゲナーゼ」の働きが不十分であり、イソ吉草酸という有害な代謝産物(分解途中の物質)が体内にたまり、血液が酸性に傾いたり(代謝性アシドーシス)、脳や全身に悪影響を及ぼします。診断は通常、新生児スクリーニング、尿中有機酸によって行われ、遺伝子検査によって確認されます。
症状は軽度から重度までさまざまです。重症型(古典型、急性型)は、通常生後2週間以内に哺乳不良、嘔吐、活気不良、けいれん、意識障害などの症状を起こします。慢性的、断続的に発症する慢性間欠型では、食事摂取不足、過剰なたんぱく質の摂取、感染症などをきっかけに嘔吐などがみられることが多く、成長障害、発達遅延がみられる場合もあります。嘔吐発作時に「蒸れた足」「汗臭い」などと形容される特徴的な体臭を呈することがあるのも、この病気の特徴です。一方で、新生児スクリーニングで見つかる、非常に軽症あるいは無症状の軽症型も存在します。
症状が出ているときには、重篤な合併症を防ぐために即時治療が必要です。日常管理では、ロイシンを多く含む高たんぱく食を避ける食事療法と、代謝を助ける薬を用いた薬物療法が中心です。早期診断・治療により、重い後遺症を防ぐことができます。
イソ吉草酸血症について、特に知りたいことは何ですか?
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(参考文献)
Vockley J et al. Isovaleric acidemia: new aspects of genetic and phenotypic heterogeneity. Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2006, 142C, 95-103.
Mütze U et al. Classic Isovaleric Acidemia. GeneReviews. 1993-2025, , PMID: 38484105.
畑 郁江,ほか.イソ吉草酸血症 概要.小児慢性特定疾病情報センター,https://www.shouman.jp/disease/details/08_02_026/(参照 2025-11-10)
イソ吉草酸血症(指定難病247).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/4816(参照 2025-11-10)
診断基準・診療ガイドライン委員会.“新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2025”.日本先天代謝異常学会.https://jsimd.net/pdf/guideline/MS/7_ms2025.pdf,(参照 2025-11-10).
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宮城県立こども病院 小児科
谷河 翠 監修
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