スパイロメーターの基準値と結果の見方を教えてください。どのような結果だと気管支喘息が考えられますか?
1秒率70%未満で気道の狭まりが疑われ、気管支拡張薬で改善すれば気管支喘息が考えられます。
スパイロメーターは、息を吐き出せる量や速さを測定する検査機器です。この機器を使った呼吸機能検査を「スパイロメトリー」といいます。気管支喘息では、1秒量や1秒率などから、気流制限の有無や変動性を評価します。
気管支喘息の検査で使うスパイロメーターとは
スパイロメーターは、気道がどの程度狭くなっているかを、数値やグラフで調べるための機器です。最大限に息を吸ったあと、できるだけ速く、最後まで息を吐き出して測定します(環境再生保全機構)。
主に確認する項目は次のとおりです。
- 努力性肺活量(FVC): 最大限に息を吸ったあと、勢いよく最後まで吐き出した空気の総量
- 1秒量(FEV1):息を吐き始めてから最初の1秒間に吐き出した空気の量
- 1秒率(FEV1/FVC):努力性肺活量に対する1秒量の割合
気管支喘息のスパイロメーター基準値(1秒率・1秒量)
喘息予防・管理ガイドライン2018の解説では、正常範囲は「1秒率70%以上かつ%FEV1(予測値に対する1秒量の割合)80%以上」とされています(玉置, アレルギー, 2018)。ただし、1秒率は年齢などの影響を受けるため、実際には年齢、性別、身長などに基づく基準値や正常下限値も考慮して評価されます。1秒率が70%未満だからといって、気管支喘息と診断されるわけではありません。
喘息の診断では、症状の経過や発症のきっかけに加え、気流制限が時間の経過や治療によって変化するかどうかを確認することが重要です。
気管支喘息が考えられるスパイロメーターの結果
気管支喘息では、気道の狭まりが自然に、または治療によって改善する「変動性」や「可逆性」がみられることがあります。
代表的な評価項目は次のとおりです。
- 気流制限:1秒率が基準値や正常下限値を下回っている
- 気道可逆性:気管支拡張薬の吸入後に、1秒量が吸入前と比べて12%以上かつ200mL以上増加する
この可逆性の基準を満たす結果は、喘息の診断を支持する所見のひとつです。ただし、基準を満たさなくても喘息を否定できるわけではなく、反対に、基準を満たすだけで喘息と確定できるわけでもありません。
気管支喘息のピークフロー(PEF)の見方と日内変動率
ピークフロー(PEF)とは、息をできるだけ強く吐き出したときの最大呼気流量です。一般的には、スパイロメーターではなく、携帯型のピークフローメーターを使って自宅で測定します。
測定するときは、できるだけ同じ時間帯や姿勢、同じ測定器を使用します。通常は3回測定し、そのうち最も高い値を記録します。
自己最良値に対する割合を用いたゾーン管理の目安は、次のとおりです(環境再生保全機構)。
- 80〜100%:グリーンゾーン
- 50〜80%:イエローゾーン
- 50%以下:レッドゾーン
これらはあくまで一般的な目安です。境界値の扱いや数値が低下した場合の対応については、医師と相談して個別の行動計画を立てておきましょう。
ピークフローの日内変動を見ることで、喘息のコントロール状態や気流制限の変動性を評価できます。ただし、日内変動率には複数の計算方法があり、管理目標と診断の判定基準も同じではありません。数値だけで自己判断せず、記録を医師に確認してもらうことが大切です。
気管支喘息は検査が正常でも否定できる?
喘息は、症状や呼吸機能が時間とともに変化する病気です。そのため、症状が落ち着いているときにはスパイロメトリーの結果が正常になることがあり、1回の検査が正常でも喘息を完全には否定できません。
必要に応じて、症状があるときの再検査、気管支拡張薬の吸入前後の検査、ピークフローの継続測定、気道過敏性検査などを組み合わせて診断します。
咳や喘鳴、息苦しさなどを繰り返している場合は、呼吸器内科やアレルギー科に相談してください。
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気管支喘息が治りづらい方へ


(参考文献)
玉置淳. ガイドラインのワンポイント解説 喘息予防・管理ガイドライン(成人喘息)2018. アレルギー. 2018;67(9):1263-1268.
相澤久道, 冨岡竜介, 名取宏記. 喘息診断のピットフォール. 日本内科学会雑誌. 2009;98(12):3019-3025.
独立行政法人環境再生保全機構『検査と診断|成人ぜん息(ぜんそく、喘息)|ぜん息基礎知識』https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/test.html.(参照 2026-09-08).
独立行政法人環境再生保全機構『自分のぜん息の状態を把握する ピークフロー測定とぜん息日記|成人ぜん息』https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/condition/peakflow.html.(参照 2026-09-08).
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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