夜尿症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
デスモプレシンや抗コリン薬などが使われ、低ナトリウム血症や便秘などの副作用に注意が必要です。
夜尿症に対する薬物療法は、夜間多尿や膀胱機能の異常といった原因に応じて、以下のような薬が使用されることがあります。
デスモプレシン
尿量を減らすホルモン(抗利尿ホルモン)と同じ働きがあるため、夜間に尿量が過剰な「夜間多尿」の場合に使われることがあります。特に成長段階のお子さんの場合は、抗利尿ホルモン分泌量が少ないことで夜尿症が起きやすいので使われることが多いです。
- 副作用:尿量が減るため体内の水分量が増え、体内のナトリウム(塩分)濃度が低下する低ナトリウム血症(水中毒)が起こることがあります。これにより、頭痛やめまいなどの症状を引き起こす可能性があるため、定期的な血液検査と水分摂取の徹底した管理が必要です。
抗コリン薬
過活動膀胱など膀胱の過敏さが原因の場合に、膀胱の過剰な働きを抑える目的で使われます。
- 副作用:喉の渇きや、便秘などがあります。また、高齢者に使用する際は、認知機能の低下やせん妄のリスクに注意が必要です。抗コリン薬と同じ作用をもつ三環系抗うつ薬が使用されることもありますが、心臓などへの副作用リスクを考慮して処方されます。
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(参考文献)
日本や尿症学会. 夜尿症診療ガイドライン2021. 診断と治療社. 2021
日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会.夜間頻尿診療ガイドライン 第2版. リッチヒルメディカル,2020.
日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会ほか. 過活動膀胱診療ガイドライン 第3版. リッチヒルメディカル. 2022
Rahnama'i MS et al. The discrepancy between European Association of Urology (EAU) guidelines and daily practice in the evaluation and management of nocturia: results of a Dutch survey. World J Urol. 2019, 37, 2517-2522.
Chang TL et al. Nocturia, nocturnal polyuria, and nocturnal enuresis in adults: What we know and what we do not know. Tzu Chi Med J. 2024, 36, 370-376.
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東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
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