高齢者の「肥満症」治療で、食事制限をしても大丈夫でしょうか?

はい、大丈夫です。ただし、筋肉が減りすぎないよう、たんぱく質をしっかりとりながら、医師や管理栄養士の指導のもとで慎重に行う必要があります。

はい、高齢者の「肥満症」治療においても、医師や管理栄養士の指導のもとで適切に行う食事制限は、安全かつ非常に効果的です。

高齢者の肥満症は、高血圧糖尿病脂質異常症といった生活習慣病を悪化させるだけでなく、膝や腰への負担を増やして痛みの原因になったり、心臓に負担をかけたりします。適切な食事制限によって体重を減らすことは、これらの健康問題を改善し、生活の質(QOL)を高める上で重要です。

ただし、高齢者の食事制限には、若い世代とは異なる重要な注意点があります。それは、「サルコペニア(加齢に伴う筋肉量の減少)」です。

高齢者が自己流で極端な食事制限を行うと、脂肪だけでなく、ただでさえ減っている筋肉まで大きく失ってしまう危険性があります。筋肉が減ると、基礎代謝が落ちてかえって痩せにくくなるだけでなく、筋力や身体機能が低下し、転倒や骨折のリスクが著しく高まります。これが寝たきりにつながることも少なくありません。

そのため、高齢者の食事制限では、以下の点が特に重要になります。

  • 過度なカロリー制限は行わない:無理のない範囲で、ゆっくりと減量を進めます。
  • たんぱく質をしっかり摂取する:筋肉の材料となる肉、魚、卵、大豆製品などを、毎食欠かさずとることが非常に重要です。
  • 運動療法と組み合わせる:ウォーキングなどの有酸素運動に加え、軽い筋力トレーニングを行い、筋肉の維持・向上を目指します。

自己判断での食事制限は絶対に避け、必ずかかりつけ医や管理栄養士に相談しながら、安全かつ効果的な方法で取り組むようにしてください。

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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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