脊髄性筋萎縮症

監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科

更新日
2026/10/27
公開日
2020/09/03

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脊髄性筋萎縮症とは

脊髄性筋萎縮症は、筋肉を動かすのに必要な運動神経細胞が病的に変化し、徐々に筋力低下や筋肉萎縮を引き起こす遺伝性の病気です。 進行するスピードの速いものや遅いものがあり症状の幅は広く、病気に気付く時期や主な症状が病型によって異なります。

脊髄性筋萎縮症のスカーフ徴候とはなんですか?

スカーフ徴候とは、赤ちゃんの筋肉の緊張が低下していることを示すサインです。

脊髄性筋萎縮症のスカーフ徴候(Scarf Sign)とは、赤ちゃんの筋肉の緊張が低下していることを示すサインです。

具体的には、赤ちゃんを仰向けに寝かせて、片方の手首を持ち、肘を胸に付けながら腕を内側に動かします。このとき、腕が首に巻き付くように柔らかく動く状態をスカーフ徴候と呼びます。

健康な赤ちゃんでは、このように腕が柔らかく巻き付くことはありませんが、筋緊張が低下している赤ちゃんではこの現象が見られます。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症のスカーフ徴候とはなんですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症のウェルドニッヒ・ホフマン病とはなんですか?

ウェルドニッヒ・ホフマン病とは、脊髄性筋萎縮症の中でも最も重症のタイプでⅠ型とも呼ばれます。

ウェルドニッヒ・ホフマン病とは、脊髄性筋萎縮症(SMA)の中でも最も重症のタイプでⅠ型とも呼ばれます。

ウェルドニッヒ・ホフマン病(Ⅰ型)の特徴は以下の通りです

  • 発症時期: 生まれてから6ヶ月までの間に症状が現れます
  • 筋力の弱さ: 赤ちゃんが全体的にぐったりしている状態になります
  • 呼吸の特徴: 横隔膜の筋肉は働くため、息を吸うときにお腹が膨らみ、胸がへこむ奇妙な呼吸をします
  • 運動能力: 首を自分で支えることができず、座ることもできません
  • 食事の困難: 哺乳が難しく、飲み込むことも困難です
  • その他の症状: 舌がピクピク動いたり、手首が柔らかく曲がることがあります
  • 反射の消失: 深部反射(膝を叩くと足が跳ねる反応)が消失します
  • 予後: 人工呼吸器を使わない場合、平均で生後6~9ヶ月で亡くなることが多いです

このように、Ⅰ型のSMAは非常に重症で、早めに症状が現れます。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症のウェルドニッヒ・ホフマン病とはなんですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

球脊髄性筋萎縮症とはなんですか?

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、主に成人男性に発症する遺伝性の病気です。

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、主に成人男性に発症する遺伝性の病気です。

この病気の原因は、X染色体上にあるアンドロゲン受容体遺伝子の異常と言われています。

代表的な症状は以下の通りです。

  • 筋力低下と筋萎縮: 特に手足や顔、舌の筋肉が弱くなり、やせ細ります
  • 筋線維束性収縮: 筋肉がピクピクと動くことがあります
  • 振戦や筋痙攣: 手や足が震えたり、筋肉がけいれんすることがあります
  • 呼吸困難: 喉の筋肉がけいれんし、一時的に呼吸が難しくなることがあります
  • 感覚障害: 特に足の感覚が鈍くなることがあります
  • その他: 精巣の萎縮や女性化乳房、皮膚の変化などがみられることがあります

この病気は進行がゆっくりなことも特徴です。発症から10年ほどで歩行が難しくなり、15年ほどで車椅子が必要になることが多いです。

さらに詳しく:球脊髄性筋萎縮症とはなんですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性進行性筋萎縮症とはなんですか?

小児期と成人期それぞれで発症する脊髄性筋萎縮症を含めた広い意味で、脊髄性進行性筋萎縮症と呼ばれていました。

小児期に発症する脊髄性筋萎縮症(SMA)の1型から3型のタイプと成人期に発症する4型の両方を含めた広い意味で、脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)と呼ばれていました。

しかし、海外の医学書や論文では「SPMA」という表現は使われておらず、「SMA」として表現されています。

現在は、診断の際に国際的な表現に合わせて「脊髄性筋萎縮症(SMA)」という病名が使われています。

このように、名称の統一が図られたことで、国際的な理解が進みやすくなったと言われています。

さらに詳しく:脊髄性進行性筋萎縮症とはなんですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症(sma)とはどのような病気ですか?

脊髄の細胞に異常が起こり、太ももや肩を中心に筋力低下や筋萎縮が起こる病気です。

脊髄にある細胞のうち、運動の指令を伝える役目を担う前角細胞に異常が起こり、全身の運動障害を起こす病気です。症状の重さにより、Ⅰ型(重症型)、Ⅱ型(中間型)、Ⅲ型(軽症型)に分けられます。

Ⅰ型(重症型)

生まれる前から生後6ヶ月以内に運動機能が低下してきて、ミルクが吸えない、飲み込めない、誤嚥(ごえん:飲み込んだものが気道に入ってしまうこと)、呼吸ができないといった状態になります。

Ⅱ型(中間型)

1歳6ヶ月までに症状が明らかとなり、支えなしで立ったり歩いたりできないなどの特徴がみられます。

Ⅲ型(軽症型)

1歳6ヶ月から思春期までの間に発症するものを指し、一人で立ち上がれない、うまく歩けない、手や足などに力が入らないなどの症状が出ます。

なお、成人期に発症するものをⅣ型とすることもあります。特に太ももや肩など、体幹部に近い方の筋肉(近位筋)が筋力低下、萎縮しやすいと言われています。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症(sma)とはどのような病気ですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科
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脊髄性筋萎縮症の症状

脊髄性筋萎縮症の成人型はどのような症状ですか?

下位運動ニューロンの障害により、筋力低下や筋萎縮の症状が現れます。

脊髄性筋萎縮症の成人型は、成人期に発症する筋肉の病気で、以下のような症状が見られます。

  • 筋力低下と筋萎縮:特に腕や脚の筋肉が弱くなり、筋肉が痩せていきます
  • 筋線維束性収縮:筋肉がピクピクと細かく動くことがあります
  • 腱反射の低下:膝や肘などの反射が弱くなります
  • 進行の遅さ:発症年齢が遅いほど、病気の進行はゆっくりです
  • 全身への影響:症状は徐々に全身に広がり、運動機能が低下します
さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症の成人型はどのような症状ですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症には初期症状はありますか?

症状の重さにより、異なる初期症状がみられます。

症状の重さにより発症する年齢が異なるため、初期の症状も異なります。
脊髄性筋萎縮症は症状の重さにより、Ⅰ型(重症型)、Ⅱ型(中間型)、Ⅲ型(軽症型)、Ⅳ型(成人期に発症するもの)に分けられます。それぞれで以下のような初期症状がみられます。

Ⅰ型(重症型)

生まれる前から生後6ヶ月以内に運動機能が低下し、以下のような症状がみられます。

  • 体がやわらかい
  • 手足がだらっとしている
  • 泣き声が弱い

Ⅱ型(中間型)

1歳6ヶ月までに症状が明らかとなりますが、発達の段階により症状は異なります。代表的なものを以下に挙げます。

  • 支えなしで立てない・歩けない
  • 舌や手の指が震える

Ⅲ型(軽症型)・Ⅳ型(成人期に発症するもの)

1歳6ヶ月以降から成人までの幅広い時期に発症します。歩行ができるようになってからの発症となるため、以下のような症状が見られます。

  • うまく歩けない・転びやすい
  • 手や足などに力が入らない
さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症には初期症状はありますか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症ではどのような症状がありますか?

全身の筋力低下、筋萎縮が起こります。

全身の運動障害、筋力低下や筋肉の萎縮が起こります。特に太ももや肩など体幹部に近い方の筋肉(近位筋)に症状が出やすいと言われています。
脊髄性筋萎縮症は症状の重さにより、Ⅰ型(重症型)、Ⅱ型(中間型)、Ⅲ型(軽症型)に分けられます。それぞれで見られる症状は以下の通りです。

Ⅰ型(重症型)

生まれる前から生後6ヶ月以内に、以下のような症状が出現します。

  • ミルクが吸えない
  • ミルクが飲み込めない
  • 誤嚥(ごえん:飲み込んだものが気道に入ってしまうこと)
  • 呼吸ができない

Ⅱ型(中間型)

生後6ヶ月から1歳6ヶ月までの間に、以下のような症状が出現します。

  • 支えなしで立ったり歩いたりできない
  • 手や指が震える

Ⅲ型(軽症型)

1歳6ヶ月から思春期までの間に、以下のような症状が出現します。

  • 一人で立ち上がれない
  • うまく歩けない
  • 手や足などに力が入らない


これらのほかに、成人期に発症するものをⅣ型とすることもあります。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症ではどのような症状がありますか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科
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脊髄性筋萎縮症の原因

脊髄性筋萎縮症の原因は何がありますか?

SMNという遺伝子が原因と考えられており、遺伝性の病気です。ただし、この遺伝子以外の原因もあると考えられています。

脊髄性筋萎縮症は、第5染色体にあるSMNという遺伝子が原因で起こると考えられています。SMN遺伝子から作られるSMNタンパクは細胞内でさまざまなはたらきを担っているため、これが不足することで脊髄の前角細胞(運動の指令を伝える細胞)に異常が起こり、全身の運動障害がみられます。
SMN遺伝子の変異による脊髄性筋萎縮症は、常染色体劣性遺伝という遺伝形式をとり、両親から受け継いだSMN遺伝子の両方が変異していた場合に発症します。
しかし、脊髄性筋萎縮症の患者さんでSMN遺伝子の変異が確認できないこともあり、別の原因もあると考えられています。
原因についてのイラスト

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症の原因は何がありますか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科
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脊髄性筋萎縮症の検査・診断

脊髄性筋萎縮症のセルフチェックはできますか?

解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。

脊髄性筋萎縮症は遺伝性の病気であるため、同じ病気の親族がいる場合は、出産前からマススクリーニングを受けるよう計画しましょう。
また、マススクリーニングで病気が見つからなかった場合・マススクリーニングを受けていない場合・大きくなってからの発症の場合は、以下のような症状があれば脊髄性筋萎縮症を疑います。年齢に応じて、小児科や脳神経内科を受診しましょう。

  • 支えなしで座れない
  • 一人で立ち上がれない
  • うまく歩けない
  • 手や足などに力が入らない
  • 呼吸が苦しい
  • 飲み込みがうまくできない

など

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症のセルフチェックはできますか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

新生児のうちに脊髄性筋萎縮症の検査を受けることはできますか?

新生児のうちに脊髄性筋萎縮症の検査が可能です。

新生児のうちに脊髄性筋萎縮症の検査を受けられます。日本では新生児マススクリーニング検査(NBS)が推奨されており、出生後早期に実施されます。

この検査は遺伝子解析で、かかとから少し採血した乾燥濾紙血を使い、定量PCR法やデジタルPCR法でSMN1遺伝子の両アレル欠失を調べます。新生児マススクリーニング検査で、症状が出る前の早期発見・早期治療が可能となりました。

スクリーニング検査で陽性の場合、専門医療機関でMLPA法による確定診断が行われます。

さらに詳しく:新生児のうちに脊髄性筋萎縮症の検査を受けることはできますか?監修佐々木 祐子株式会社BearMedi 臨床検査技師

脊髄性筋萎縮症は血液検査だけで診断はつきますか?

血液を使った遺伝子検査で確定診断はできますが、症状や他の検査結果も併せて評価されます。

脊髄性筋萎縮症は血液を使った遺伝子検査で確定診断できますが、症状や他の検査結果も併せて評価されます。

新生児マススクリーニングでは、出生後のかかと血を乾燥濾紙血として、定量PCR法やデジタルPCR法でSMN1遺伝子の両アレル欠失を調べます。患者さんの約95%を検出できるとされ、早期発見が可能です。陽性の場合は専門機関でMLPA法による精密検査が行われます。

血液を用いて、SMN1遺伝子のホモ欠失や変異、SMN2コピー数を確認し、確定診断を行います。しかし、症状の有無や筋電図、血清CK値なども確認して、他の疾患を除外することが必要な場合もあり、血液検査以外の情報も併せて評価されます。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症は血液検査だけで診断はつきますか?監修佐々木 祐子株式会社BearMedi 臨床検査技師

脊髄性筋萎縮症の診断で行う遺伝子検査について教えてください。

最も重要な遺伝子検査は、SMN1遺伝子の異常を調べるものです。

脊髄性筋萎縮症(SMA)の診断で最も重要な遺伝子検査は、SMN1遺伝子の異常を調べるものです。脊髄性筋萎縮症の主な原因は染色体5q13領域にあるSMN1遺伝子の両アレル欠失で、約95%の患者さんで認められます。

新生児マススクリーニングでは、乾燥濾紙血から定量PCR法やデジタルPCR法でSMN1の0コピーを検出し、陽性になった場合は精密検査を行います。

陽性の場合は専門機関でMLPA法による精密検査を行い、SMN1のホモ欠失や複合ヘテロ接合性を検査して確定診断を行います。同時にSMN2遺伝子のコピー数をカウントし、症状の程度も予測します。SMN2はバックアップ遺伝子で、コピー数が多いほど軽症の傾向です。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症の診断で行う遺伝子検査について教えてください。監修佐々木 祐子株式会社BearMedi 臨床検査技師

脊髄性筋萎縮症はどのような検査が必要ですか?

主に遺伝子検査が行われるほか、神経や筋力も調べることがあります。

脊髄性筋萎縮症(SMA)の検査は、主に遺伝子検査です。具体的には、以下のような方法があります。

  • 新生児マススクリーニング検査:出生後すぐに採血した乾燥濾紙血を使い、定量PCR法やデジタルPCR法でSMN1遺伝子の両アレル欠失を調べます。
  • 遺伝子検査:スクリーニングで陽性の場合、専門医療機関でSMN遺伝子検査を実施し、確定診断を行います。SMN2遺伝子のコピー数も確認して重症度を予測します。

その他、筋電図で神経原性所見の有無や血清CK値、運動神経伝導速度など、他の疾患を除外する検査を行うこともあります。検査だけでなく、筋力低下や筋萎縮などの症状も確認します。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症はどのような検査が必要ですか?監修佐々木 祐子株式会社BearMedi 臨床検査技師

新生児の脊髄性筋萎縮症検査にかかる費用を教えてください。

行う検査によりますが、拡大新生児マススクリーニング検査の費用は無料です。

拡大新生児マススクリーニング検査は、こども家庭庁主導の実証事業に参加している自治体では公費負担になるため無料です。しかし、採血費用は自己負担となります。詳細は受診している医療機関に確認しましょう。

マススクリーニング検査で陽性になった場合に行う確定診断(MLPA法)の費用は、健康保険適用となります。検査料は約50,000点で50万円に相当しますが、新生児マススクリーニング陽性時は保険適用され、自己負担が軽減されます。指定難病登録後には医療費助成の利用も可能です。詳細は受診する医療機関のソーシャルワーカーなどに確認するといいでしょう。

さらに詳しく:新生児の脊髄性筋萎縮症検査にかかる費用を教えてください。監修佐々木 祐子株式会社BearMedi 臨床検査技師

脊髄性筋萎縮症の検査にかかる費用はどのくらいですか?

スクリーニング検査は自己負担の採血の費用のみ、陽性時は数万円程度と考えられます。

拡大新生児マススクリーニング検査は、こども家庭庁主導の実証事業に参加している自治体では、公費負担になるため無料です。しかし、採血費用は自己負担となります。詳細は受診している医療機関に確認しましょう。

マススクリーニング検査で陽性になった場合に行う確定診断(MLPA法)の費用は、健康保険適用となります。検査料は約50,000点で50万円に相当しますが、新生児マススクリーニング陽性時は保険適用され、自己負担が軽減されます。指定難病登録後には医療費助成の利用も可能です。詳細は受診する医療機関のソーシャルワーカーなどに確認するといいでしょう。

その他、筋電図検査や血清CK値の検査、画像検査など、必要に応じた検査費用がかかりますので、検査の合計費用は一概に言えません。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症の検査にかかる費用はどのくらいですか?監修佐々木 祐子株式会社BearMedi 臨床検査技師
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脊髄性筋萎縮症の治療・対処法

脊髄性筋萎縮症への対処法は?

これまでの治療は、筋力症状に対するリハビリテーション、呼吸合併症に対する呼吸管理、栄養学的合併症に対する咀嚼(そしゃく)、嚥下の補助、経管栄養といった対症療法が主な治療でした。しかし近年では、遺伝子に対する新しい治療薬も出てきており、病型や症例によっては、劇的な改善を認める例もあります。少しでも疑いがあった場合には、早めに小児科等の専門機関に相談することが勧められる疾患です。

脊髄性筋萎縮症の場合、主にどのような治療をしますか?

発症の原因となるSMNタンパクの減少に効果のある薬を使います。対症療法を行うこともあります。

脊髄性筋萎縮症の治療には主に薬が用いられます。そのほかに、症状に対する治療を行うこともあります。

薬剤治療

脊髄性筋萎縮症の原因は、SMN遺伝子の変異によりSMNタンパクが不足することと考えられています。(詳しい原因については「脊髄性筋萎縮症の原因は何がありますか?」を参照ください)
そのため、2017年から現在までに、SMNタンパクを増やす作用を持つ3種類の薬(ヌシネルセンナトリウム、オナセムノゲンアベパルボベク、リスジプラム)が開発されました。
この病気は拡大新生児マススクリーニング(現時点では有料ですが、近いうちに公費で行うマススクリーニングに含まれる予定)で早期発見できます。早期発見できた場合は、発症前から薬の使用を行うことで、発症を抑えたり軽症化することができます。新しい薬であり、頻繁に使われているわけでもないため、今後新たな副作用が出てくるかもしれませんが、これまで失われてきた幼い命を救うことができるかもしれません。

対症療法(症状に対する治療)

食事がうまく取れない場合の経管栄養(管を通して栄養を摂取する方法)や、呼吸がうまくできない場合の人工呼吸器などの治療が必要になることもあります。

リハビリテーション

筋力が低下した中でもできるだけ体を動かせるよう、リハビリテーションを行うことも大切です。

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受診の目安・何科を受診するべきか

脊髄性筋萎縮症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?

小児科、脳神経内科などを受診しましょう。

小児科や脳神経内科を受診しましょう。
脊髄性筋萎縮症は、拡大新生児マススクリーニングで早期発見できます。この検査は、現時点では公費で行われる新生児マススクリーニングに有料で追加できるものですが、近いうちに公費で行うマススクリーニングに含まれる予定です。早期発見できた場合は発症前から薬の使用を行うことで、発症を抑えたり軽症化することができます。このような場合には、産科から直接小児科へと紹介を受けることになるでしょう。

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脊髄性筋萎縮症の専門医がいる近くの病院はありますか?

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脊髄性筋萎縮症の薬

脊髄性筋萎縮症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

ヌシネルセンナトリウム、オナセムノゲンアベパルボベク、リスジプラムという薬で治療します。

脊髄性筋萎縮症の原因は、SMN遺伝子の変異によりSMNタンパクが不足することと考えられています。(詳しい原因については「脊髄性筋萎縮症の原因は何がありますか?」を参照ください)
そのため、2017年から現在までに、SMNタンパクを増やす作用を持つ3種類の薬が開発されました。いずれも今はかなり高価な薬です。それぞれの薬の特徴は、以下の通りです。

ヌシネルセンナトリウム

最も早く承認された薬で、年齢制限なく使用できます。数ヶ月に一回程度、腰から注射を行います。
水頭症(髄液という脳の周囲にある液体が過剰にたまり、脳にかかる圧力が上がってしまう病気)や、血小板減少などの副作用が見られます。

オナセムノゲンアベパルボベク

2歳未満の患者さんに対してのみ使用できます。静脈に注射する形で使用し、再度使用することはできません。
肝機能障害、血小板減少などの副作用がみられます。

リスジプラム

生後2ヶ月以上の患者さんに対して使用できます。1日1回、食後に内服します。
上気道感染や発疹(赤みやぶつぶつなど皮膚にできる症状)、皮膚変色などの副作用がみられます。

この病気は拡大新生児マススクリーニング(現時点では有料ですが、近いうちに公費で行うマススクリーニングに含まれる予定)で早期発見できます。早期発見できた場合は、発症前から薬の使用を行うことで、発症を抑えたり軽症化することができます。新しい薬であり、頻繁に使われているわけでもないため、今後新たな副作用などが出てくるかもしれませんが、これまで失われてきた幼い命を救うことができるかもしれません。また、発症してしまっていても、できるだけ早期に治療開始することが望まれます。

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脊髄性筋萎縮症の経過・予後

脊髄性筋萎縮症の余命はどれくらいですか?

Ⅰ型(重症型)では平均6~9ヶ月との報告があります。Ⅱ型(中間型)ではさまざまで、Ⅲ型(軽症型)、Ⅳ型(成人期に発症するもの)では生命的な予後は良好です。

脊髄性筋萎縮症は、症状の重さにより、Ⅰ型(重症型)、Ⅱ型(中間型)、Ⅲ型(軽症型)、Ⅳ型(成人期に発症するもの)に分けられます。

Ⅰ型(重症型)

生まれる前から生後6ヶ月以内に運動機能が低下してきて、ミルクが吸えない、飲み込めない、誤嚥(ごえん:飲み込んだものが気道に入ってしまうこと)、呼吸ができないといった状態になります。人工呼吸器で呼吸を補助しなかった場合は、平均6〜9ヶ月で亡くなるとの報告があります。
ただし、2017年から現在までに3種類の薬が開発されたため、スクリーニングで早期発見し、発症前から薬の使用を行うことで、発症を抑えたり軽症化することができます。新しい薬であるため、薬を使用した子供達の長期的な予後(病気や治療の経過・結末についての見通し)は現在調査中です。

Ⅱ型(中間型)

余命について詳しくは分かっていませんが、重症の場合は、誤嚥で感染を繰り返したり、人工呼吸器が必要になったりすることがあります。

Ⅲ型(軽症型)・Ⅳ型(成人期に発症するもの)

生命的な予後は良好と言われています。

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対処法・セルフケア

脊髄性筋萎縮症の場合、日常生活で気を付けることはありますか?

床にものを置かない、自宅に手すりを付ける、段差をなくすなど、足が引っ掛からないような工夫をしましょう。

特に太ももや肩など、体幹部に近い方の筋肉(近位筋)が筋力低下、萎縮しやすいと言われています。そのため、一人で座ったり、立ち上がったり、歩いたりすることが徐々に難しくなっていきます。
床にものを置かず、手すりをつけたり、バリアフリー化したりして、転ばないように気をつけましょう。また、適宜必要な介護用品をレンタルするなど、福祉の力も借りて病気と付き合っていきましょう。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症の場合、日常生活で気を付けることはありますか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?

リハビリテーション、呼吸管理、咀嚼、飲み込む際の補助、経管栄養(管を通して栄養を摂取する方法)といった対症療法を行います。

脊髄性筋萎縮症には治療薬がありますが、効果がみられない場合は、リハビリテーションや症状への対処を行います。(薬については「脊髄性筋萎縮症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?」を参照ください)

リハビリテーション

症状によってさまざまなリハビリテーションが考えられます。代表的なものは以下の通りです。

  • ストレッチ
  • 車椅子使用のトレーニング
  • 装具を使用した歩行訓練
  • 水泳や水中歩行

対症療法

食事がうまく取れない場合の経管栄養や、呼吸がうまくできない場合の人工呼吸器などが挙げられます。

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脊髄性筋萎縮症に関連するその他の質問

太ももに段差がある原因として、脊髄性筋萎縮症は考えられますか?

太ももの筋肉が萎縮し筋力が低下したことで段差が生じている場合、脊髄性筋萎縮症の可能性があります。

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、体に近い太ももを含む体幹や四肢の筋肉が萎縮し、筋力が低下する病気です。

そのため、SMAの進行に伴い、筋肉の萎縮が進むことで、太ももに段差ができることがあります。これは、筋肉の一部が萎縮し、他の部分との間に段差が生じるためです。

SMAの症状としては、筋力低下や筋萎縮が主な特徴であり、特に体幹や四肢の近位筋(体に近い部分の筋肉)が影響を受けやすいと言われています。

気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

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脊髄性筋萎縮症は難病ですか?

脊髄性筋萎縮症は指定難病です。

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄の運動ニューロン(神経細胞)がダメージを受けることで起こる病気で難病のひとつに指定されています。

指定難病の申請をすると医療費助成を受けることができます。主治医に相談しましょう。

この病気は、体幹や手足の筋肉が徐々に弱くなり、やせ細ることが特徴です。

SMAは発症年齢や症状の重さによって以下の4つのタイプに分かれます

Ⅰ型(重症型)

生後6ヶ月までに発症し、筋力が非常に弱く、呼吸や飲み込みが難しくなります。

Ⅱ型(中間型)

1歳半までに発症し、自分で立ったり歩いたりはできませんが、座ることはできます。

Ⅲ型(軽症型)

幼児期から青年期に発症し、歩行は可能ですが、筋力が徐々に低下します。

Ⅳ型(成人発症型)

成人期に発症し、筋力低下がゆっくり進行します。

このように、発症年齢や症状の重さによって異なるタイプがあります。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症は難病ですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症は小児でも発症しますか?

脊髄性筋委縮症は、小児で好発する遺伝性の病気です。

脊髄性筋委縮症(SMA)は、小児で好発する筋肉が徐々に弱くなり、動かしにくくなる遺伝性の病気です。

SMAは、発症する年齢や症状の重さによって4つのタイプに分けられます。

  • Ⅰ型: 生後半年以内に発症し、筋肉が非常に弱くなります。呼吸を助けるために人工呼吸器が必要になることが多いです
  • Ⅱ型: 1歳半までに発症し、座ることはできるけれども歩くことはできません
  • Ⅲ型: 歩くことはできますが、徐々に筋力が低下していきます
  • Ⅳ型: 成人期以降に発症するのが特徴で、比較的まれです
さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症は小児でも発症しますか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの違いは何ですか?

脊髄性筋萎縮症では神経が変性することで、筋ジストロフィーでは筋肉が壊れやすいことで発症します。

これらの病気は症状が似ていますが、脊髄性筋萎縮症は神経の病気、筋ジストロフィーは筋肉の病気という違いがあります。
一般的に、神経の病気は体幹から遠い筋肉(足首や指先)、筋肉の病気は体幹に近い筋肉(太ももや肩)が筋力低下や萎縮を起こしやすいと言われています。しかし、脊髄性筋萎縮症は、神経の病気であるにもかかわらず、体幹に近い筋肉が筋力低下や萎縮を起こしやすいため、見分けるのが難しくなります。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの違いは何ですか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科

脊髄性筋萎縮症は遺伝しますか?

はい、遺伝します。ただし、遺伝以外の要因で発症することもあります。

脊髄性筋萎縮症は、第5染色体にあるSMNという遺伝子が原因と考えられる遺伝性の病気です。SMN遺伝子の変異による脊髄性筋萎縮症は、常染色体劣性遺伝という遺伝形式をとり、両親から受け継いだSMN遺伝子の両方が変異していた場合に発症します。親族に脊髄性筋萎縮症の方がいる場合は、出産前からマススクリーニングを受けるよう計画しましょう。
しかし、SMN遺伝子の変異が確認できないこともあり、別の原因もあると考えられています。

さらに詳しく:脊髄性筋萎縮症は遺伝しますか?監修医師武井 悠香子やよい在宅クリニック 脳神経内科
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脊髄性筋萎縮症について、医師からのよくある質問

医師からよくある質問はありますか?

「脊髄性筋萎縮症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。

  • 最近、転倒しやすくなったと感じていますか?
  • 手指に細かいふるえがありますか?
  • 手足などに力の入らない部分はありますか?
  • 前より歩きにくくなったように感じますか?
  • 発音が正しくできないと感じますか?

脊髄性筋萎縮症に関連する症状としては次の症状があります

特に関連する症状

次のような症状がある方はご注意ください。

手指や全身の震えがある
症状の頻度
ほぼ毎日同じような症状がある
症状の経過
改善も悪化もしていない
つまずきやすくなった
症状の頻度
ほぼ毎日同じような症状がある
自覚した時期
1か月以上前から
症状の経過
改善も悪化もしていない
手指に細かいふるえがある
自覚した時期
1-7日前から
症状の経過
改善も悪化もしていない

最新のガイドライン・医療水準を取り込んだデータベースを元に関連する病気・症状を表示しています。

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この記事の監修医師

監修医師 原瀬 翔平

原瀬 翔平

亀田総合病院 脳神経内科・内科

University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。

更新日
2026/10/27
公開日
2020/09/03