気管支喘息で入院が必要なレベルの症状はどのようなものが挙げられますか?
気管支喘息では、苦しくて動けない、吸入しても改善しないなどが入院検討の目安とされています。
気管支喘息の発作で入院が必要になるかは、症状の強さと治療への反応をあわせて判断されます。ここでは成人の場合を中心に、目安となるサインを解説します。
気管支喘息の発作(急性増悪)とは
気管支喘息の発作(急性増悪)とは、気道の炎症や収縮、分泌物の増加などによって空気の通り道が狭くなり、咳、喘鳴、息苦しさなどが急性または亜急性に悪化する状態です。
発作では、主に次のような症状が現れます。
- 発作的な咳や痰
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(喘鳴/ぜんめい)
- 息苦しさ
- 胸の圧迫感や胸苦しさ
症状は夜間や早朝に起こりやすい傾向がありますが、すべての症状がそろうとは限りません。また、重い発作では呼吸音が弱くなり、喘鳴が聞こえなくなることもあるため、音がしないから軽症とは限りません。
気管支喘息の発作の強さは4段階に分けられる
成人の喘息では、発作の強さが次の4段階で示されています(環境再生保全機構)。
- 軽度(小発作): 苦しいが横になれる
- 中等度(中発作): 苦しくて横になれない
- 高度(大発作): 苦しくて動けない
- 重篤: 呼吸音が弱くなる、チアノーゼが現れる、呼吸が止まる
チアノーゼとは、血液中の酸素が不足し、唇や指先などが青紫色になる状態です。
気管支喘息で入院が必要になる症状の目安
入院するかどうかは、症状の強さだけでは決まりません。医療機関では、主に次の項目を総合して判断します(GINA 2025)。
- 息苦しさや喘鳴などの程度
- 呼吸数、脈拍、酸素飽和度
- 1秒量やピークフローなどの呼吸機能
- 発作治療薬などに対する反応
- 過去の入院歴や重い発作の経験
- 帰宅後に適切な治療や経過観察ができるか
- 受診後のフォローアップが可能か
特に、治療を始めてからも症状や呼吸機能が十分に改善しない場合は、入院が必要になる可能性が高まります。
息継ぎのため単語程度しか話せない、前かがみになって呼吸している、落ち着きがない、呼吸をするたびに首や肋骨の周囲の筋肉を使っているといった状態は、重い発作を示すサインです。
救急外来を受診する目安
中等度の発作で、医師から指示された発作治療薬を使用しても十分に改善しない場合は、救急外来を受診する必要があります。
次のような場合には、ためらわずに医療機関を受診するようにしてください。
- 苦しくて眠れない、または横になれない
- 発作治療薬や内服薬を使用しても十分に改善しない
- 発作治療薬が手元にない
- 強い喘息発作の症状がある
発作治療薬の種類や使用量、追加で使用する間隔は、治療内容によって異なります。発作時に自己判断で薬を使い続けず、あらかじめ医師と決めた行動計画に従ってください。
気管支喘息の発作で救急車を呼ぶべきサイン
次のような場合は、重篤な発作の可能性があるため、ただちに救急車を呼びましょう。
- 苦しくて動けない
- 息継ぎのため、ほとんど話せない
- 意識がもうろうとしている、または反応が鈍い
- 唇や指先が青紫色になっている
- 呼吸音が著しく弱い、または胸から呼吸音がほとんど聞こえない
- 呼吸が止まっている、または止まりそうである
- 発作治療薬を使用しても急速に悪化している
救急車を待つ間も、可能であれば医師から指示された発作治療薬を使用し、衣服を緩めて呼吸しやすい姿勢をとります。ひとりで移動しようとせず、周囲の人に助けを求めてください。
気管支喘息で入院したあとに行われる治療
医療機関では、発作の程度に応じて、主に次のような治療が行われます(GINA 2025)。
- 酸素不足がある場合の酸素投与
- 短時間作用性β₂刺激薬などの気管支拡張薬の吸入
- 必要に応じた抗コリン薬の吸入
- ステロイド薬の内服または点滴
- 酸素飽和度や呼吸機能の継続的な確認
これらの治療は入院後だけでなく、救急外来でも行われます。治療への反応を確認したうえで、帰宅できるか、入院が必要かが判断されます。
発作や入院を繰り返さないためには、退院後も吸入ステロイド薬などによる長期管理を続け、吸入方法や発作時の行動計画を医師と確認することが大切です。
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(参考文献)
独立行政法人環境再生保全機構『発作が起こったら…|成人ぜん息|ぜん息基礎知識』https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/attack.html.(参照 2026-09-08).
独立行政法人環境再生保全機構『成人ぜん息の治療、治療の全体図|成人ぜん息|ぜん息基礎知識』https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/index.html.(参照 2026-09-08).
一般社団法人日本呼吸器学会『C-01 気管支ぜんそく(C. アレルギー性肺疾患)』https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html.(参照 2026-09-08).
Global Initiative for Asthma. Asthma management and prevention for adults, adolescents and children 6–11 years (2025). A summary guide for healthcare providers. Published June 2025. Available from: ginasthma.org
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
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