ムコ多糖症の場合、主にどのような治療をしますか?
病気の原因を改善するための酵素補充療法、造血幹細胞移植のほか、各症状を改善するための治療があります。
ムコ多糖症の治療法には、以下のように、病気の原因を根本から改善するための酵素補充療法、造血幹細胞移植のほか、各症状を改善するための対症療法があります。
★病気の原因を根本から改善する治療
酵素補充療法
酵素補充療法は、体の中に不足している分解酵素を点滴で体外から補充する治療法です。
酵素を補充することで、体の中にたまったグリコサミノグリカン(ムコ多糖)を分解でき、病気の進行を抑えることが期待されます。ただし、神経症状や骨の変形などに対する治療効果は期待できません。
また、補充した酵素は次第に活性がなくなっていくため、定期的に補充することが必要となります。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植とは、造血幹細胞と呼ばれる細胞を体内に移植して、不足している酵素を体の中でつくることができるようにする治療法で、骨髄移植と臍帯血移植という2種類の方法があります。
移植した造血幹細胞からつくられる酵素が細胞内にたまったグリコサミノグリカンを分解し、病気の進行を抑えることが期待されます。
酵素補充療法のような定期的な点滴は不要という利点がある一方、患者さんの免疫細胞が移植した細胞を攻撃してしまったり(拒絶反応)、移植した細胞が患者さんの臓器を異物と勘違いして攻撃してしまったり(移植片対宿主病)、といった重い副作用が起こる場合もあります。
★各症状を改善するための対症療法
ムコ多糖症ではさまざまな症状が現れるので、患者さんの症状に応じて、耳鼻科、眼科、小児科などで薬の内服や処置を行います。
例えば、中耳炎に対する T チューブ挿入、無呼吸に対するアデノイド除去、角膜混濁に対する角膜移植、心疾患に対する弁置換術などがあります。
これらの治療法が適用されるかどうかは、ムコ多糖症のタイプ(病型)によって異なります。詳しくは医師にご相談ください。
公開日:
最終更新日:
富士在宅診療所 一般内科
本間 雄貴 監修
(参考文献)
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