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左足だけがしびれる場合、どのような病気が考えられますか?
新百合ヶ丘総合病院 脳神経内科
武井 悠香子 監修
さまざまな病気が考えられます。例えば、突然左足だけにしびれが生じた場合、右側の脳の血管障害の可能性があります。
神経は脳と脊髄から成る中枢神経と、手や足へとのびる細かな末梢神経とに大きく分けられますが、このうちどの部位が障害を受けてもしびれは起こります。
また、「しびれ」と表現されていても、さまざまな感覚の障害がありますし、実は力が入っていないといった運動の障害である可能性もあります。このような複雑さから、病院を受診し検査を受けても原因が掴めないこともあります。
具体的に、しびれの原因となりうる病気を部位ごとにまとめると以下のようになります。
脳の障害
脳梗塞や脳出血、腫瘍などが考えられます。例えば、左足のしびれであれば、典型的には右側の(例外はあります)脳に、これらの障害が起こっていることが考えられます。
突然の発症した場合は、脳梗塞や脳出血の可能性があるため、すぐに脳神経外科や脳神経内科のある病院を受診しましょう。
脊髄の障害
脊柱管狭窄症や、椎間板ヘルニアなどの病気が考えられます。両側の症状が出ることが多いですが、感覚神経が脊髄に入っていくあたりの障害だと、片側のみの障害となることもあります。
末梢神経の障害
右足のしびれが、立ち上がると悪化して座ると和らぎます。この場合は何科を受診すべきでしょうか?
右足がしびれます。椅子に座っている時は特に問題はありません。立ち上がってしばらくすると、右足がしびれてきます。歩いていると、しびれが徐々にひどくなります。腰を下ろすと、しびれは和らぎます。どの診療科を受診すればよいか、ご教示いただけますでしょうか。
80代 / 男性
右足のしびれについてご相談いただきありがとうございます。お話を伺う限り、いくつかの原因が考えられますので、以下に説明いたします。
考えられる病気と診療科について
まず、疑わしいのは腰部脊柱管狭窄症です。これは、腰のあたりの脊髄が通っている脊柱管が狭くなることで、脊髄神経が圧迫され、しびれや痛みが生じる状態です。特に、椅子に座っている時は症状が出ず、立ち上がって歩くとしびれがひどくなるというのは、腰部脊柱管狭窄症に典型的な症状です。脊柱管が狭くなる原因に、腰椎椎間板ヘルニアや変形性腰椎症、後縦靭帯骨化症など、さまざまな病気があります。
この場合は、整形外科が専門になります。
似たような症状を呈する疾患に、「閉塞性動脈硬化症」もあります。この病気は、腹部大動脈から脚の方へ枝分かれする動脈が、動脈硬化により細く狭くなり、足へ流れる血流が悪くなることで、痛みを生じる病気です。喫煙されている方や、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症)にかかっている方は、この病気を発症するリスクが高まります。歩行中に足が痛くなるがしばらく 休むとまた歩けるようになるという症状は、「閉塞性動脈硬化症」でも特徴的な症状です。進行すると、足の血流がさらに悪化して、皮膚の血色が悪くなったり、冷たくなったり、じっとしていても痛みが出るようになります。最重症化した場合は、細菌感染を起こしたり、足が壊死したりして、切断手術を要することもあります。
この場合は、循環器内科や血管外科が専門になります。
受診の目安について
これらの症状が続く場合や、しびれがひどくなって日常生活に支障をきたす場合は、早めに受診することをお勧めします。特に、以下のような場合はすぐに受診してください。
- しびれが急にひどくなった
- 足の力が入らなくなった
- じっとしていても痛くなってきた
- 足先が冷たい、血色が悪い
これらの症状は、神経が強く圧迫されている可能性や、血流が急に悪化している可能性があり、早急な治療が必要です。
まとめ
歩行時に生じるが休むと改善する右足のしびれは、一般的に、腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症などが考えられます。特に、歩くとしびれがひどくなり、休むと和らぐという症状はこれらの疾患の特徴です。ご相談いただいた内容だけでは、どちらの疾患の可能性が高いかは判断が難しいです。しかし、「閉塞性動脈硬化症」の方が、より重篤な病状の可能性があるため、まず循環器内科または血管外科(いずれもお近くになければ、一般内科でも構いません)を受診することをお勧めします。そちらで異常がなければ、次に整形外科を受診してみてください。お近くの循環器内科、血管外科、整形外科は、こちらから検索できますのでご活用ください。
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