骨粗鬆症
監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/05/26
- 公開日
- 2022/04/26
原発性骨粗鬆症とは
ホルモンバランスの異常などにより、骨がもろくなっている状態です。年齢・運動不足・栄養不良・閉経などが原因となります。進行すると、骨折を起こします。
「原発性骨粗鬆症」とはどのような病気ですか?
原発性骨粗鬆症は、加齢や閉経に伴い骨密度と骨質が低下することで、骨が脆弱化し、骨折リスクが高まる疾患です。
原発性骨粗鬆症は、加齢や閉経に伴い骨密度と骨質が低下することで、骨が脆弱化し、骨折リスクが高まる疾患です。
これは、特定の疾患や薬剤が原因となる続発性骨粗鬆症とは異なり、加齢や女性ホルモンの減少などが主な要因となります。
骨は常に新陳代謝を繰り返しており、古い骨を壊す「骨吸収」と新しい骨を作る「骨形成」のバランスが保たれています。
しかし、原発性骨粗鬆症では、骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が低下していきます。
初期段階では自覚症状がないことが多く、背中や腰の痛み、身長の低下、円背、そしてわずかな衝撃による骨折などが進行とともに現れます。
骨折は、特に背骨、大腿骨近位部、手首などに起こりやすいとされています。
診断は、骨密度検査(DXA法)によって行われ、その結果に基づいて治療方針が決定されます。
治療では、骨吸収を抑制する薬や骨形成を促進する薬が用いられるほか、食事療法や運動療法も重要となります。
カルシウムやビタミンDを十分に摂取し、ウォーキングや筋力トレーニングなどの運動を行うことで、骨密度の維持・向上を図ります。
また、転倒予防も骨折リスクを減らすために重要です。
早期発見と適切な治療、そして日々の生活習慣の見直しが、原発性骨粗鬆症の進行を抑制し、健康寿命を延ばす上で不可欠です。
原発性骨粗鬆症の症状
原発性骨粗鬆症には初期症状はありますか?
原発性骨粗鬆症には、明確な「初期症状」はほとんどありません。
初期にはほとんど自覚症状がないことが特徴です。これは、骨密度が徐々に低下していく過程で、痛みや違和感といった明確な症状が現れにくいためです。
骨には神経が少ないため、骨密度が低下しても痛みを感じることはほとんどありません。
そのため、気がつかないうちに病気が進行し、骨折などの合併症が起こって、初めて症状に気づくというケースも少なくありません。
背中や腰の慢性的な痛み、身長の低下、背中が丸くなる(円背)、転倒による骨折などは、すでに骨粗鬆症が進行している可能性を示す兆候です。
初期症状がないため、定期的な骨密度検査による早期発見が非常に重要です。
特に、閉経後の女性や高齢者など、骨粗鬆症のリスクが高い方は、定期的な検査を受けることをおすすめします。
また、カルシウムやビタミンDの摂取、適度な運動など、日々の生活習慣を見直すことも、骨粗鬆症の予防につながります。
原発性骨粗鬆症ではどのような症状がありますか?
初期は無症状ですが、進行すると骨折、背部痛、身長低下、円背などが現れます。骨折は特に背骨、手首、股関節に多いです。
初期段階では自覚症状がほとんどないことが特徴です。しかし、骨密度が徐々に低下し、骨がもろくなるにつれて、さまざまな症状が現れてきます。
最も代表的な症状は骨折です。わずかな衝撃や転倒によって、骨が折れてしまうことがあり、特に背骨(椎体圧迫骨折)、手首(橈骨遠位端骨折)、股関節(大腿骨近位部骨折)などが好発部位です。
背骨の骨折は、背中や腰の痛みの原因となるだけでなく、身長の低下や猫背(円背)といった姿勢の変化を引き起こすこともあります。
また、複数の椎体骨折が起こると、慢性的な背部痛に悩まされることもあります。
さらに、骨折への恐怖心から外出や運動を避けるようになり、筋力低下やフレイル(虚弱)を招き、ますます転倒しやすくなるという悪循環に陥ることもあります。
骨粗鬆症が進行すると、内臓が圧迫され、食欲不振や呼吸困難を感じることもあります。
初期症状に乏しい病気ですが、定期的な骨密度検査を受けることで、早期発見・早期治療に繋げることが重要です。
原発性骨粗鬆症の原因
原発性骨粗鬆症の原因は何がありますか?
加齢や閉経によるホルモン低下が主な原因です。骨吸収が骨形成を上回り骨密度が低下、骨が脆くなります。
原発性骨粗鬆症の主な原因は、加齢に伴う骨代謝の変化と、女性ホルモンの低下です。
骨は常に破壊と再生を繰り返しており、このバランスが保たれることで骨の健康が維持されます。
しかし、加齢とともに骨形成の能力が低下し、骨密度が徐々に減少していきます。特に女性の場合、閉経後にエストロゲンという女性ホルモンが急激に低下します。
エストロゲンは骨吸収を抑制する働きがあるため、その低下によって骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が急激に低下します。
このため、閉経後の女性は骨粗鬆症になりやすい傾向があります。
また、カルシウムやビタミンDの摂取不足、運動不足、喫煙、過度の飲酒なども、骨密度低下を加速させる要因となります。
これらの要因が複合的に作用することで、骨の微細構造が劣化し、骨がもろくなり、骨折のリスクが高まります。
原発性骨粗鬆症は、特定の病気や薬剤が原因となる続発性骨粗鬆症とは異なり、加齢やホルモンバランスの変化など、避けられない生理的な変化が主な原因となるため、予防や早期発見が特に重要となります。
原発性骨粗鬆症の検査・診断
原発性骨粗鬆症のセルフチェックはできますか?
年齢、性別、家族歴、生活習慣、既往歴などを確認することで、ある程度セルフチェック可能です。リスクが高い場合は医療機関を受診しましょう。
原発性骨粗鬆症になりやすい人の特徴に、以下が挙げられます。
- 年齢(特に女性で65歳以上、男性で70歳以上)
- 閉経後の女性であること
- 家族に骨粗鬆症や骨折の既往があること
- 喫煙や過度の飲酒の習慣があること
- 運動不足であること
- 低体重(BMI < 18.5kg/m²)であること
- ステロイド薬を長期使用していること
- 過去に骨折の経験があること
などは、骨粗鬆症のリスクを高める要因となります。
これらのリスク因子をチェックすることで、自分が骨粗鬆症のリスクが高いかどうかをある程度判断できます。
また、FRAX(Fracture Risk Assessment Tool)という国際的なリスク評価ツールを利用することで、骨密度測定なしでも10年以内の骨折リスクを予測することができます。
FRAXは、年齢、性別、体重・身長、喫煙歴、飲酒量、骨折歴、ステロイド使用歴、関節リウマチの有無などの情報をもとに評価を行います。
セルフチェックやFRAXなどのツールは、あくまでもリスク評価の目安であり、正確な診断には医療機関での骨密度測定(DXA検査)が必要です。
セルフチェックの結果、リスクが高いと感じた場合は、必ず医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けるようにしましょう。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、原発性骨粗鬆症かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
原発性骨粗鬆症の診断基準はなんですか?
骨密度が若年成人平均値の70%未満またはTスコア-2.5以下、脆弱性骨折の有無、続発性骨粗鬆症の原因がないことで診断します。
原発性骨粗鬆症の診断は、主に骨密度の測定結果と、脆弱性骨折の有無にもとづいて行われます。
骨密度は、DXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)法と呼ばれる検査で測定され、若年成人平均値(YAM:Young Adult Mean)と比較されます。
診断基準としては、骨密度が若年成人平均値の70%未満であること、またはTスコアが-2.5以下であることが挙げられます。
Tスコアとは、若年成人の平均骨密度と比較して、どれだけ骨密度が低いかを示す指標です。
また、骨密度が上記の基準を満たしていなくても、軽微な外力で起こる脆弱性骨折(椎体圧迫骨折、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折など)がある場合は、骨粗鬆症と診断されることがあります。
さらに、原発性骨粗鬆症と診断するためには、続発性骨粗鬆症の原因となる他の病気や薬剤の影響がないことを確認する必要があります。
例えば、副甲状腺機能亢進症やステロイド薬の長期使用などは、骨密度を低下させることが知られています。
診断の流れとしては、まず問診や身体診察を行い、骨折歴や閉経の有無、生活習慣などを確認します。
次に、骨密度測定(DXA法)を行い、必要に応じてX線やMRIによる骨折の有無の確認、血液検査・尿検査で他の病気の除外を行います。
これらの情報を総合的に判断して、原発性骨粗鬆症と診断されます。
原発性骨粗鬆症の治療・対処法
骨粗鬆症への対処法は?
医療機関で精密検査を行うことで、程度に応じた方針が決まります。ステロイドの長期内服では必発の副作用なので、予防のための治療を並行します。
原発性骨粗鬆症の治療薬は、薬局で待たずに通販などのオンラインで購入する方法はありますか?
いいえ、原発性骨粗鬆症の治療薬は病態や重症度に応じて、医師の判断のもと、適切に選択しなければなりません。日本において通販などのオンラインで購入する方法はありません。
原発性骨粗鬆症の治療薬には、
- ビスホスホネート薬
- 活性型ビタミンD製剤
- SERM(選択的エストロゲン受容体修飾薬)
- 副甲状腺ホルモン薬
- デノスマブ(プラリアⓇ)
などがありますが、個々の患者さんの病態や重症度に応じて、医師の判断のもと、適切に選択しなければなりません。日本において、通販などのオンラインで購入する方法はありません。
治療や原発性骨粗鬆症について詳しく知りたい方は、かかりつけ医に相談しましょう。また、受診や薬の待ち時間の負担が少なく、気軽に医師に相談できるオンライン診療サービスを利用するのもよいでしょう。
原発性骨粗鬆症の場合、主にどのような治療をしますか?
薬物療法で骨吸収を抑えたり、骨形成を促したりしながら、栄養療法、運動療法、生活習慣の改善を組み合わせ、骨折予防に努めます。
原発性骨粗鬆症の治療は、骨密度の低下を防ぎ、骨折のリスクを最小限に抑えることを目的として、薬物療法を中心に、栄養療法、運動療法、生活習慣の改善、そして骨折予防対策を組み合わせた総合的なアプローチで行われます。
薬物療法では、骨吸収を抑制するビスホスホネート製剤やデノスマブ、骨形成を促進するテリパラチドやロモソズマブなどが用いられます。これらの薬剤は、骨の代謝バランスを整え、骨密度を改善する効果が期待できます。
薬物療法と並行して、カルシウムやビタミンDを十分に摂取することも重要です。カルシウムは骨の主成分であり、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。食事からの摂取が難しい場合は、サプリメントで補うことも検討されます。
また、ウォーキングや筋力トレーニングなどの運動は、骨に適切な刺激を与え、骨形成を促進する効果があります。転倒予防のためのバランス訓練も重要です。
さらに、禁煙や過度な飲酒の制限、日光浴(ビタミンD合成のため)、転倒しにくい住環境の整備なども、骨折リスクを減らすうえで大切な要素となります。
これらの治療法は、患者さんの年齢、性別、骨密度、既往歴などを考慮して、個別に選択されます。
骨折リスクが高い場合は、骨形成促進薬が優先的に使用されることもあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
原発性骨粗鬆症の場合、オンラインなどで診察を待たずに受診する方法はありますか?
いいえ、原発性骨粗鬆症の診断には骨折の有無のチェックと骨密度測定が必要で、オンラインでは対応できません。
原発性骨粗鬆症の診断には、
- ①過去に太ももの付け根部分、あるいは背骨の骨折があったかどうかの確認
- ②骨密度測定
が必要なため、初診において検査を行わないオンライン診療で済ませることはできません。
すでに原発性骨粗鬆症と診断されていて、定期薬の処方などが必要な場合、オンラインで診察を待たずに受診することができるかもしれません。詳しくは各医療機関にお問い合わせください。
治療や原発性骨粗鬆症について詳しく知りたい方は、かかりつけ医に相談しましょう。また、受診や薬の待ち時間の負担が少なく、気軽に医師に相談できるオンライン診療サービスを利用するのもよいでしょう。
原発性骨粗鬆症が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
転倒なしに背中や腰が痛む、身長が2cm以上縮んだ、家族歴がある、閉経後/65歳以上の女性、ステロイド長期使用は受診目安です。
自覚症状が現れにくい病気ですが、以下のような場合には、病院を受診することを検討するべきです。
まず、転倒などの明らかな原因がないにも関わらず、背中や腰に痛みを感じる場合は、圧迫骨折の可能性を考慮し、早めに受診しましょう。
また、過去数年間で身長が2cm以上縮んだ場合も、背骨の骨折が進行しているサインかもしれません。
家族に骨粗鬆症や骨折の既往がある場合は、遺伝的なリスクが高いと考えられるため、定期的な検査を受けることが推奨されます。
特に、閉経後の女性や65歳以上の女性は、骨密度検査を受けることがすすめられています。
さらに、ステロイド薬を3ヶ月以上など長期間使用している場合は、副作用として骨密度が低下することがあるため、定期的な検査が必要です。
これらの症状やリスク因子に当てはまる場合は、骨密度を測定し、骨折リスクを評価し、必要に応じて治療を開始するために、整形外科、内科、または骨粗鬆症専門外来を受診することをおすすめします。
原発性骨粗鬆症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
まずは一般内科、整形外科や内分泌内科を受診するのが一般的です。骨折の既往があれば整形外科、閉経後の女性は婦人科も選択肢です。
原発性骨粗鬆症が疑われる場合、最初の一歩として内科、特に一般内科や内分泌内科を受診するのがよいでしょう。
内科では、骨粗鬆症の初期評価として、骨密度測定や血液検査などを行い、必要に応じて専門科への紹介を検討してくれます。
ホルモンバランスや代謝異常が関与している場合は、内分泌内科が専門的な対応を行います。
もし過去に骨折の経験がある場合や、背骨の圧迫骨折が疑われる場合は、整形外科も適切な選択肢となります。
整形外科では、骨密度の評価や骨折予防のための治療(薬物療法や運動指導など)が行われます。
また、閉経後の女性でエストロゲンの低下が骨密度に影響していると考えられる場合は、婦人科でホルモン補充療法(HRT)を含めた相談をすることも有効です。
骨粗鬆症の専門医がいる近くの病院はありますか?
骨粗鬆症の専門医がいる病院を見る原発性骨粗鬆症の薬
原発性骨粗鬆症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
骨吸収を抑える薬(ビスホスホネート、デノスマブ等)や骨形成を促す薬(テリパラチド、ロモソズマブ等)があり、それぞれ胃腸障害、低カルシウム血症等の副作用があります。
原発性骨粗鬆症の治療には、主に骨吸収を抑える薬(抗骨吸収薬)と骨形成を促す薬(骨形成促進薬)が用いられます。
骨吸収を抑える薬としては、ビスホスホネート製剤(アレンドロン酸、リセドロン酸など)やデノスマブ(抗RANKL抗体)、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)などがあります。
これらの薬は、骨を壊す細胞の働きを抑えたり、骨吸収を促す物質を阻害したりすることで、骨密度の低下を防ぎます。
一方、骨形成を促す薬としては、テリパラチド(副甲状腺ホルモン製剤)やロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体)があります。
これらの薬は、骨を作る細胞を活性化したり、骨形成を阻害する物質を抑えたりすることで、新しい骨の形成を促します。
これらの薬剤には、それぞれ副作用があります。
- ビスホスホネート製剤では、胃腸障害(胃のむかつき、食道炎など)や顎骨壊死、非定型大腿骨骨折などが報告されています。
- デノスマブでは、低カルシウム血症、皮膚感染症、顎骨壊死などが報告されています。
- テリパラチドでは、吐き気、めまい、一過性の血圧低下などが報告されています。
- ロモソズマブでは、注射部位の反応や心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中のリスク増加の可能性)などが報告されています。
- SERMでは、血栓症のリスク、ほてり、筋肉痛などが報告されています。
治療薬の選択は、患者さんの年齢、性別、骨折の既往、骨密度、他の病気や服薬状況などを総合的に評価して決定されます。
対処法・セルフケア
原発性骨粗鬆症の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
転倒予防、カルシウム・ビタミンD・タンパク質の摂取、適度な運動、禁煙・節酒など、骨折リスクを減らす生活習慣を心がけましょう。
原発性骨粗鬆症と診断された場合、薬物療法に加えて、日常生活で気をつけることが非常に重要になります。
最も大切なのは、転倒を予防することです。室内環境を整え、段差をなくしたり、滑りにくいマットを使用したり、手すりを設置するなどの工夫をしましょう。また、足に合った滑りにくい靴を選ぶことも大切です。
栄養面では、カルシウム、ビタミンD、タンパク質を十分に摂取することを心がけましょう。
カルシウムは骨の主成分であり、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。牛乳やヨーグルト、小魚などに多く含まれています。
タンパク質も骨の材料になるため、肉、魚、大豆製品などをバランスよく摂取しましょう。
適度な運動も骨密度の維持に役立ちます。ウォーキングや軽い筋力トレーニングは骨に適度な刺激を与え、骨形成を促進します。バランス訓練も転倒予防に効果的です。
喫煙や過度の飲酒は、骨密度を低下させることが知られているため、禁煙や節酒を心がけましょう。
これらの生活習慣の改善に加えて、定期的な骨密度検査を受け、医師の指導のもと、必要に応じて薬物療法を受けることも重要です。
原発性骨粗鬆症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
服薬状況や生活習慣を見直し、骨密度や骨代謝マーカーで効果を評価、薬剤の変更・追加、専門医への相談を検討します。
原発性骨粗鬆症の治療薬が効かないと感じた場合、まず大切なのは、自己判断で治療を中断せずに、医師に相談することです。
効果がみられない原因を特定するために、まずは服薬方法が正しいか、カルシウムやビタミンDの摂取が十分か、他の病気が隠れていないかなど、さまざまな要因を再評価します。
骨密度検査や骨代謝マーカーの測定を行い、客観的に治療効果を評価することも重要です。そのうえで薬の種類を変更したり、追加したりすることを検討します。
骨粗鬆症治療薬には、骨吸収を抑える薬と骨形成を促す薬があり、作用機序の異なる薬に切り替えることで、効果が得られる場合があります。
また、生活習慣の見直しも重要です。日光浴をすることでビタミンDの合成を促し、タンパク質を十分に摂取し、転倒予防のための運動療法を行うなど、薬物療法と並行して生活習慣を改善することで、治療効果を高めることができます。
原発性骨粗鬆症に関連するその他の質問
若い人でも原発性骨粗鬆症になりますか?
はい、若い人でも原発性骨粗鬆症になることがあります。
骨粗鬆症は、高齢者や閉経後の女性の病気と思われがちですが、若い人でも骨粗鬆症になることがあります。
若年発症性骨粗鬆症は、「Zスコア(同じ年齢や性別の人と比べて、骨密度がどれくらいかを示す値)≦−2.0に加え、明らかな骨折歴」がある場合に診断され、20〜50歳では「Tスコア(若い健康な成人と比べて、骨密度がどれくらいかを示す値)≦−2.5かつ、過去にケガで骨折した病歴があること」が診断基準となります。
原因としては、生まれつき骨のタンパク質をうまく作れないこと(I型コラーゲン合成異常)や、遺伝子異常(WNT1・LRP5・PLS3・SGMS2など)が挙げられ、診断には遺伝学的検査も重要となります。
また、骨密度は最大骨量に左右されます。最大骨量の95~100%は10代後半までに形成されることがわかっており、この時期に十分な骨量を獲得できないと、その後、早い段階(例えば40代)で骨粗鬆症を起こす可能性があります。
原発性骨粗鬆症の場合、骨密度のYAMはどうなりますか?
原発性骨粗鬆症の場合、骨密度のYAMは70%以下に下がります。
原発性骨粗鬆症では骨密度が低下し、YAM(若年成人平均値)が大きく下がります。
WHOの診断基準では、YAMに対して−2.5標準偏差以下の骨密度(Tスコア)が「骨粗鬆症」と定義されています。
つまり、健康な若年成人の骨密度を100%とした場合、骨粗鬆症の患者では約70%以下に骨密度が下がります。
原発性骨粗鬆症では、加齢や閉経によるホルモンの変化が原因となり、骨形成よりも骨吸収(骨を分解すること)が上回り、骨密度が低下します。
YAMを指標とすることで、骨粗鬆症の重症度や治療の効果を評価することができます。
原発性骨粗鬆症と低カルシウム血症の関係性を教えてください。
原発性骨粗鬆症の治療薬に低カルシウム血症を起こすものがあります。
原発性骨粗鬆症と低カルシウム血症との間に、直接的な関係はありませんが、骨粗鬆症の治療薬の中には低カルシウム血症を引き起こすものがあります。
例えば、ビスホスホネート系薬剤は、低カルシウム血症を誘発、または悪化させる可能性があるため、治療開始前および治療中に、血液中のカルシウム値を調べる必要があります。
また、デノスマブ(プラリアⓇ)は、強力な骨吸収抑制のため、低カルシウム血症を起こすリスクがあり、治療中にカルシウムとビタミンDを補充するように推奨されています。
原発性骨粗鬆症で海綿骨はどのようになりますか?
原発性骨粗鬆症で海綿骨はもろくなり、その部分が骨折しやすくなります。
原発性骨粗鬆症では、骨のリモデリング(古くなった骨を壊し、新しい骨を作る)が速くなり、特に海綿骨が壊れやすくなります。
海綿骨は、骨の内側にある網目状の構造で、骨吸収(骨を分解すること)が起こりやすい部位です。
エストロゲン欠乏や加齢によって、骨吸収が骨形成を上回ると、海綿骨の骨梁(骨の柱のような構造)が徐々に失われ、骨密度の低下だけでなく、骨の構造自体が崩れていきます。
このような海綿骨の変化により、特に背骨や股関節、手首など海綿骨が多い部位で骨折リスクが高くなります。
原発性骨粗鬆症で骨折しやすい部位はどこですか?
原発性骨粗鬆症では、背骨、太ももの骨の付け根、手首が最も骨折しやすい部位です。
原発性骨粗鬆症では、椎体(背骨)、大腿骨近位部(股関節周囲)、橈骨遠位端(手首)が、最も骨折しやすい部位とされています。
椎体圧迫骨折は多くが無症状ですが、痛み・姿勢の変化・機能障害を引き起こし、生命予後にも悪影響があります。
股関節周囲の骨折をした人は、骨折をしていない人に比べて、1年以内に亡くなるリスクが、8.4%から36%高くなります。20%が長期施設でのケアを必要とし、60%は自立機能を回復できません。
手首の骨折は、比較的若い世代(50〜60歳代)に多く発生し、将来的に他の部位を骨折するリスクも高いと報告されています。
原発性骨粗鬆症で、骨折しやすい部位は海綿骨(骨の内側にあるやわらかい部分)の豊富な部位です。
喫煙は原発性骨粗鬆症に影響しますか?
はい、喫煙は原発性骨粗鬆症に影響します。喫煙すると骨密度が低下し骨折しやすくなります。
喫煙は、原発性骨粗鬆症のリスク因子です。喫煙は骨に有害で、骨密度の低下や骨折リスクの増加に影響します。
- ①喫煙は骨形成(骨を作る)と骨吸収(骨を分解する)のバランスを崩し、骨量減少を引き起こします。
- ②喫煙は性ホルモン(エストロゲンやテストステロン)の分泌や代謝に影響を与え、骨密度を低下させます。
- ③喫煙は腸管からのカルシウム吸収を妨げ、骨の石灰化を阻害します。
- ④喫煙により、体内の酸化ストレスが増加し、骨細胞が傷つきます。
- ⑤喫煙に含まれる有害物質が、骨芽細胞(骨の元になる細胞)や破骨細胞(骨を新しく作り直すために溶かす細胞)の機能障害を起こします。
原発性骨粗鬆症を予防するためには、禁煙が強く推奨されます。
原発性骨粗鬆症の場合、カルシウム値はどうなりますか?
通常、原発性骨粗鬆症では血清カルシウム値は正常範囲内です。ビタミンD欠乏などがある場合は変動することがあります。
原発性骨粗鬆症があっても、血液中のカルシウム値(血清カルシウム値)は、通常は正常範囲内に保たれます。
これは、骨密度は低下しても、血中のカルシウム濃度は、副甲状腺ホルモン(PTH)やビタミンDなどのホルモンによって厳密に調整されているためです。
骨からのカルシウム放出が一時的に増加しても、腎臓や腸管でのカルシウムの再吸収や吸収が調整されるため、血中濃度が大きく変動することはありません。
したがって、原発性骨粗鬆症の患者さんの多くは、血清カルシウム値が正常であることが一般的です。
しかし、ビタミンD欠乏や副甲状腺機能異常など、他の病態が合併している場合には、カルシウム値が低下したり、上昇したりすることがあります。
例えば、ビタミンDが欠乏すると、腸からのカルシウム吸収が低下し、血清カルシウム値が低下することがあります。
また、副甲状腺機能亢進症の場合には、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、骨からのカルシウム放出が促進され、血清カルシウム値が上昇することがあります。
そのため、原発性骨粗鬆症の診断や治療においては、血清カルシウム値だけでなく、ビタミンDや副甲状腺ホルモンなどの関連する検査も行うことが重要です。
原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症の違いはなんですか?
原発性は加齢や閉経など自然な変化が原因で、続発性は他の病気や薬の影響が原因です。
原発性骨粗鬆症は、加齢や閉経といった自然な生理的変化によって骨密度が低下し、骨がもろくなる状態です。
特に、閉経後の女性におけるエストロゲンの減少は、骨吸収を促進し、骨密度を低下させる主要な要因となります。
一方、続発性骨粗鬆症は、特定の病気や薬剤の影響によって引き起こされる骨粗鬆症です。
例えば、甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの内分泌疾患、吸収不良症候群や炎症性腸疾患などの消化器疾患、そしてステロイド薬の長期使用などが原因として挙げられます。
続発性骨粗鬆症の場合、原因となっている疾患の治療や、薬剤の使用中止・変更が、骨粗鬆症の治療と並行して行われることが重要です。
原発性骨粗鬆症は、中高年以降に多くみられるのに対し、続発性骨粗鬆症は、原因となる疾患や薬剤によっては若年者にも起こりえます。
どちらのタイプの骨粗鬆症も、骨折のリスクを高めるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
原発性骨粗鬆症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「骨粗鬆症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 同世代と比べ、自分が痩せ気味であると感じますか?
- 体を動かしてから出ましたか?
この記事の監修医師
栗原 信吾 先生
北水会記念病院 整形外科
【経歴】 山形大学医学部卒業(2013年) 沖縄中部徳洲会病院(初期研修) 群馬大学整形外科 善衆会病院、堀江病院、まつだ整形外科 横浜市立大学大学院ヘルスデータサイエンスコース修士課程修了 北水会記念病院 整形外科(2026年-)
- 更新日
- 2026/05/26
- 公開日
- 2022/04/26