骨粗鬆症はどのくらいの期間で治りますか?治療を開始してから治るまでの流れを教えてください。

骨粗鬆症は継続して治療を続けることが必要となる病気です。生活習慣の改善と投薬加療を行います。

解説

骨粗鬆症は継続した治療が重要な病気です。骨は年齢とともに強度が下がっていくものですが、治療を続けると重大な骨折リスクを減らすことができます。

骨粗鬆症は骨密度が減少し、骨の強度が下がることで骨折リスクが高まった状態です。女性は15~18歳、男性は20歳ごろが骨密度の一番高い年齢とされ、その後は年齢と共にどうしても低下してしまいます。

骨密度の基準値には、20~44歳の骨密度の平均値であるYAM値を用います。YAM値の80%までは骨密度が正常であるとされます。しかし80%を下回る場合は、年齢や骨折治療歴を含めた今までの病気、飲酒や喫煙習慣などを考慮して骨粗鬆症治療の必要性が判断されます。

骨粗鬆症の治療に重要なのは、生活習慣の改善と投薬加療です。 生活習慣の改善には、喫煙や飲酒をやめて、適切な運動習慣の獲得やバランスのよい食事をとることが重要です。特に足の筋肉が鍛えられるような運動や、カルシウムとビタミンD、タンパク質と緑黄色野菜の摂取を意識するとよいでしょう。

骨粗鬆症の投薬加療には、以下のようなさまざまな種類の薬が用いられます。

  • ビタミンD製剤 :体のなかでカルシウムが有効活用されるために必要なビタミン
  • SERM製剤:骨に対して女性ホルモンのような作用
  • ビスフォスフォネート製剤や抗RANKL抗体:骨が吸収・分解されるのを防ぐ
  • PTH製剤:骨の新生を促す        

など。

これらの薬には、、メリットやデメリットがあります。患者さんの状況に合わせた治療が必要であるため、担当医との相談が重要です。

治療を開始したあとも、効果が骨密度に現れるには4~5ヶ月の期間が必要です。このため、骨密度の検査は4~6ヶ月ほどの間隔で行われます。

治療に伴い骨密度が上昇してくるようであれば、薬剤の変更が検討されます。特に効果の高い治療薬は、投与期間が長くなるにつれて副作用の危険性が高まるため、投薬期間の制限が設けられているものがあります。

このため効果が十分にみられた場合には、投薬期間の制限がない薬への変更が行われます。

公開日

最終更新日

山田記念病院 整形外科 整形外科部長

濱畑 智弘 監修

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