発作性夜間ヘモグロビン尿症の原因は?発作性夜間ヘモグロビン(血色素)尿症
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10
発作性夜間ヘモグロビン尿症とは
血液に含まれる細胞の種である造血幹細胞に遺伝子変異が起こり、赤血球が体の中で壊されやすくなる血液の病気です。遺伝子が関係する病気ですが、生まれつきのものではないため、遺伝はしません。100万人に数人程度が発症する稀な病気で、診断される平均年齢は40歳代ですが、20−60歳代で幅広く発症します。赤血球が破壊される(溶血)と貧血や血尿、血栓症、その他さまざまな臓器の障害が起こります。症状の程度はさまざまで貧血症状や血尿がはっきりしない方もいます。また、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群といった他の血液の病気と合併することもあります。特殊な血液検査を行うことで診断します。根治治療は、造血幹細胞移植(いわゆる骨髄移植)ですが、移植ができる条件や副作用により治療できる方は限られます。近年、新規治療薬により移植を行わなくても比較的長期に過ごすことが可能になっています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のNAPスコアとは何ですか?
NAPスコアは、好中球の酵素活性を点数化したもので、PNHでは低下する補助的検査です。
NAPスコアは、好中球の酵素活性を点数化したもので、PNHでは低下する補助的検査です。
NAPスコアは、「好中球アルカリホスファターゼスコア」と呼ばれる検査で、白血球の一種である好中球に、どれだけ酵素活性があるかを点数化したものです。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、このスコアが低くなることがあり、溶血性貧血の原因がPNHである可能性を示す補助的な情報として使われてきました。
ただし、近年はより正確で感度の高いフローサイトメトリーという検査機器によるCD55・CD59欠損の確認が診断の中心となったため、NAPスコアは補助的な位置づけです。今も参考所見として使われることはありますが、確定診断には使われません。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のHam試験とはなんですか?
Ham試験は酸性血清で赤血球の壊れやすさを調べる検査で、PNHでは陽性になります。
Ham試験は、酸性血清で赤血球の壊れやすさを調べる検査で、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では陽性になりますが、特異性に乏しく、現在はほとんど使われません。PNHの赤血球は補体に弱いため、酸性条件で壊れやすく、この試験で陽性となります。
かつては、PNHを診断する重要な方法でしたが、特異度や感度が十分でなく、ほかの溶血性疾患でも陽性になることがありました。そのため、現在ではHam試験はほとんど使われず、代わりにフローサイトメトリーという検査機器により、PNHタイプ赤血球を検出することが標準的な診断法になっています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の「血管外溶血」とはなんですか?血管の中で壊れるのとは何が違うのでしょうか?
「血管外溶血」は、赤血球が血管の中で壊されるのではなく、脾臓や肝臓で壊されるという違いがあります。
「血管外溶血」は、赤血球が血管の中で壊されるのではなく、脾臓や肝臓で壊されるという違いがあります。
血管外溶血とは、赤血球が血管の外、主に脾臓や肝臓で壊される現象です。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では抗補体薬により、血管内での破壊(血管内溶血)は抑えられますが、補体の一部(C3)が赤血球表面に付着し、それが目印となって脾臓や肝臓の細胞に取り込まれて分解されます。
一方、血管内溶血は補体によって赤血球の膜に穴が開き、血管の中で直接壊れる仕組みです。つまり、壊れる「場所」と「仕組み」が異なり、血管外溶血では比較的ゆっくり赤血球が処理されるのが特徴です。この違いにより、治療中でも貧血が完全に改善しないことがあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の「ヘモグロビン尿」とはどのような状態ですか?
「ヘモグロビン尿」は、赤血球破壊である溶血によってコーラ色となった状態です。
「ヘモグロビン尿」は、赤血球破壊である溶血によってコーラ色となった状態です。赤血球が破壊されると赤血球中のヘモグロビンが血中に流出し、腎臓を通って尿に混ざります。これを「ヘモグロビン尿」と呼び、尿はコーラ色や赤褐色になります。
PNHでは特に早朝に目立つことが多く、診断時にヘモグロビン尿を経験する患者さんは全体の約1/3です。見た目は血尿に似ていますが、尿沈渣では赤血球を認めず、化学的検査でヘモグロビン陽性となります。溶血の増悪や感染症で出現することがあり、無症状時でも確認できることがあります。
「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」とはどのような病気ですか?
「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」とは、赤血球が血管内で破壊される病気で、溶血性貧血のひとつです。
「発作性夜間ヘモグロビン尿症」は、血液細胞(赤血球、白血球など)が正しく作られなくなる病気です。
この病気の細胞は、補体の攻撃から細胞を守る蛋白(補体制御因子:CD55、CD59)を細胞膜に繋ぎ止めている「アンカー」という部分が欠けています。
その結果、血液中の赤血球が異常に壊れやすくなり、壊れた際にこの赤血球からヘモグロビンが血液中に放出され、尿として排出されることがあります。これが「ヘモグロビン尿」と呼ばれる淡赤色~暗褐色の尿が出る症状です。
ほかにも、貧血や血栓症などを引き起こすこともあります。まれに、白血病や再生不良性貧血といった重い血液の病気に移行することがあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の症状
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で血管外溶血が起こるのはなぜですか?
C3が付着した赤血球が脾臓や肝臓で処理されるため、血管外溶血が起こります。
PNHで血管外溶血が起こるのは、補体(体を守るタンパク質の一種)C3が赤血球に付着し、脾臓や肝臓で処理されるためです。エクリズマブやラブリズマブなどの抗C5抗体薬は、血管内溶血を強力に抑えます。
しかし、補体経路の上流にあるC3が赤血球に付着するのを完全には防げません。その結果、脾臓や肝臓で処理される「血管外溶血」が目立つことがあります。結果として、治療中であっても貧血が十分に改善しない場合があり、その原因として、この血管外溶血が挙げられます。
これを改善する目的で、C3阻害薬(ペグセタコプラン)や因子B・D阻害薬など、新規治療薬の開発が進んでいます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で血栓ができやすいのはなぜですか?
溶血による一酸化窒素減少がもたらす血管収縮に血小板・補体活性化も加わり、血栓が生じやすくなります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、赤血球が壊れると血液中に遊離ヘモグロビンが放出されます。これが一酸化窒素(NO)を消費し、血管が収縮しやすくなり、血小板も活性化されます。
また、補体の活性化自体が、血小板や血管内皮を刺激して凝固を促します。そのため、通常より血栓ができやすい体質となり、特に脳静脈洞や肝・門脈系など特殊な部位に起こりやすいのが特徴です。
これらの血栓は、致命的になることがあるため、抗補体療法で血栓発症を抑えることが予後改善につながります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の末期症状はどのようなものがありますか?
末期症状として汎血球減少による感染や出血、腎不全、血栓症などを呈し、致命的です。
PNHの末期症状には、感染、出血、腎不全、血栓症などがあり、命に関わることがあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、長い経過をたどることが多いですが、末期には骨髄低形成が進行し、白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する汎血球減少により、感染症(約1/3)や出血(約1/4)が死因となります。腎不全や静脈血栓症(本邦では10%未満)も致命的になりえます。
まれに、急性白血病や骨髄異形成症候群への進展もあります。抗補体療法の普及で血栓や溶血関連症状は減少していますが、治療がなければこれらの合併症が末期像となります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)には初期症状はありますか?
溶血症状が顕在化する前に、骨髄不全症状(貧血、感染、出血)、血栓症などがみられることがあります。
溶血症状が顕在化する前に、骨髄不全症状(①貧血、②感染、③出血)、④血栓症などが見られることがあります。
①貧血
といった症状がみられます。
②感染症の重症化
感染症に伴う発熱などの症状が出現します。
③血小板減少
足などに点状の出血斑が見られることがあります。打撲などにより容易にあざができることもあります。
④血栓症
深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症により、足のむくみやだるさ、呼吸困難、胸痛が現れることがあります。
これらの他、「ヘモグロビン尿」といってワインのように赤い尿が出ることもあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)ではどのような症状がありますか?
補体の攻撃によって起こる血管内溶血と、それに伴うヘモグロビン尿、血栓症、骨髄不全を3大症状とします。
補体の攻撃によって起こる血管内溶血と、それに伴うヘモグロビン尿、血栓症、骨髄不全を3大症状とします。それぞれ次の通りです。
①補体の攻撃によって起こる血管内溶血とそれに伴うヘモグロビン尿
めまい、疲労、息切れ、呼吸困難といった貧血症状、ヘモグロビン尿(※)、黄疸といった溶血症状のほかにも、腹痛、嚥下障害、男性機能不全などの多様な症状を示します。
(※ヘモグロビン尿…溶血(赤血球が破壊された状態)の程度によってワインレッド色からコーラ色まで色調はさまざまです。典型的には、早朝によく見られます)
②血栓症
本邦例では欧米に比べ比較的まれですが、予後を左右するPNHに特徴的な症状です。
③骨髄不全
再生不良性貧血(aplastic anemia: AA)を代表とする後天性骨髄不全疾患と、しばしば合併・相互移行します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の原因
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の原因は何がありますか?
血液細胞のもとである造血幹細胞に後天的に遺伝子異常が起こることが原因です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の原因は、血液細胞のもとである造血幹細胞における、PIGA (phosphatidylinositolglycan-classA)という遺伝子の異常です。
PIGA遺伝子は、細胞表面に結合している「GPIアンカー型タンパク質」と呼ばれるタンパク質の形成に不可欠な糖脂質であるGPI (glycosylphosphatidylinositol)の合成に関わっています。
このためPIGA遺伝子の変異があると、血液細胞表面のGPIアンカー型タンパク質が失われ、結果として赤血球が異常に破壊されやすくなり、溶血という現象が起こります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の検査・診断
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では血液にどのような影響がありますか?
PNHでは、赤血球が補体で壊れやすくなり、溶血・貧血や感染出血を招きます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、造血幹細胞の遺伝子異常によって赤血球の表面から補体を防ぐタンパク(CD55、CD59など)が欠けてしまいます。そのため、血液中で赤血球が壊れやすくなり、血管内溶血が持続的に起こります。
結果として、貧血やコーラ色の尿(ヘモグロビン尿)が見られ、血液検査ではLDHの上昇やハプトグロビンの低下が確認されます。また、骨髄の機能低下により白血球や血小板が減る場合もあり、感染症や出血を起こしやすくなるのも特徴です。
これらの異常を把握するために、フローサイトメトリーという検査機器によりPNH血球を検出して経過を観察します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症が疑われる症状として、以下のようなものが挙げられます。
ヘモグロビン尿(血尿)
溶血(赤血球が破壊された状態)の程度によってワインレッド色からコーラ色まで色調はさまざまです。特に早朝によく見られます。
貧血
などの症状が見られます。
黄疸
白目や皮膚が黄色くなるといった症状が見られます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)と診断されたら、まずどのような治療(点滴や注射)から始めるのが一般的ですか?
PNHではまず抗補体薬(エクリズマブ等)の点滴治療を開始するのが一般的です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、まず抗補体薬(エクリズマブ等)の点滴治療を開始するのが一般的です。
PNHと診断されたら、まず一般的に治療の中心になるのは、補体(免疫の働きのひとつ)を抑える抗補体薬による点滴や注射です。代表的にはエクリズマブやラブリズマブが使われ、赤血球が血管の中で壊れるのを防ぎ、貧血、息切れ、赤黒い尿、血栓症の危険を減らします。特に溶血が目立つ場合や、血栓症の危険が高い場合に重要な治療です。
症状や重症度に応じて治療を始め、輸血、葉酸や鉄剤などの支持療法を組み合わせることもあります。また、補体を抑える治療では髄膜炎菌などの感染症にかかりやすくなるため、開始前にワクチン接種などの予防を行うことが大切です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の検査結果で、ヘモグロビンや網状赤血球がどのくらいの数値だと「治療がうまくいっていない」と判断されますか?
ヘモグロビン10g/dL未満や網状赤血球高値が続く場合、治療の効果が十分でない可能性があります。
ヘモグロビン10g/dL未満や網状赤血球高値が続く場合、治療の効果が十分でない可能性があります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で治療不十分と考える目安は一律ではありませんが、参考になる数値はあります。例えば、ヘモグロビンが10g/dL未満のままで、だるさや息切れなどの貧血症状が続く場合は、治療効果が十分でない可能性があります。
また、網状赤血球が高値のまま推移する場合は、壊れた赤血球を補うため骨髄が強く働いており、溶血が続いていることを示します。さらに、LDHが正常上限の1.5倍以上なら、ガイドライン上も溶血の目安です。
ただし、網状赤血球の基準値は検査法で少し異なるため、実際には輸血の要否や症状、経過を合わせて総合的に判断します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準を教えてください。
GPIアンカー型膜蛋白欠損赤血球1%以上かつLDH高値で明らかなPNHと診断します。
「発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド(令和4年度改訂版)」における診断基準では、以下の両方を満たす場合を「Definite PNH」(明らかなPNH)と診断します。
- ①GPIアンカー型膜蛋白(CD55, CD59など)欠損赤血球(II+III型)が1%以上
- ②血清LDHが正常上限の1.5倍以上
これらの欠損赤血球の検出には、抗CD55およびCD59抗体や高感度に細胞表面の分子を解析できる機器が必須です。補助所見として幼弱な赤血球増加、間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン低下、尿中ヘモグロビン陽性などがあります。直接クームス試験は通常陰性で、自己免疫性溶血性貧血との鑑別に有用です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断を行うためには、どのような検査を行いますか?
補体介在性の血管内溶血と、それに伴うヘモグロビン尿、血栓症、骨髄不全を3大症状とします。
①補体の攻撃によって起こる血管内溶血とそれに伴うヘモグロビン尿、②血栓症、③骨髄不全を3大症状とします。
①補体の攻撃によって起こる血管内溶血とそれに伴うヘモグロビン尿
めまい、疲労、息切れ、呼吸困難といった貧血症状、ヘモグロビン尿(※)、黄疸といった溶血症状のほかにも、腹痛、嚥下障害、男性機能不全などの多様な症状を示します。
(※ヘモグロビン尿…溶血(赤血球が破壊された状態)の程度によってワインレッド色からコーラ色まで色調はさまざまです。典型的には、早朝によく見られます)
②血栓症
本邦例では欧米に比べ比較的まれですが、予後を左右するPNHに特徴的な症状です。
③骨髄不全
再生不良性貧血(aplastic anemia: AA)を代表とする後天性骨髄不全疾患と、しばしば合併・相互移行します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療・対処法
発作性夜間ヘモグロビン(血色素)尿症への対処法は?
動悸、息切れ、めまいなどの貧血症状や、白目が黄色いといった黄疸の症状、早朝の血尿(ワイン色、黒っぽい色)が代表的な症状なので、これらを認めている場合や、自覚症状がなくても、健診などで貧血や他の異常を指摘された場合は、この疾患を含め詳しく調べる必要があるため、医療機関の受診をお勧めします。また、血栓症や脳卒中、心筋梗塞などの病気にかかったことがある方も、背景に血液の病気が隠れている可能性もあるので、医療機関受診やかかりつけ医に相談すると良いでしょう。ゆっくり進行する病気ですが、血栓症や他の合併症によって致命的になることもあるので、早期発見、治療が重要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療で、血管の中で赤血球が壊れるのを抑えると、どのような体調の変化がありますか?
赤血球の破壊が抑えられると、貧血が改善し、体調の変化として、息切れ、だるさが軽くなります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療で血管内で赤血球が壊れるのを抑えると、貧血の改善により息切れやだるさが軽くなります。また、赤黒い尿(ヘモグロビン尿)が減少し、日常生活の質が向上します。さらに、溶血に伴って起こる腹痛や嚥下困難、肺高血圧などの症状も改善することがあります。
血栓症の発症リスクも低下し、生命予後の改善が期待されます。ただし、一部では血管外溶血が残ることもあり、貧血が完全には改善しない場合もあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療効果を自分なりにチェックしたいです。尿の色以外に気をつけるべき変化はありますか?
だるさや息切れ、動悸やめまいなどの症状の変化にも注意することが大切です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療効果を日常で確認するには、尿の色以外にだるさや息切れ、動悸やめまいなどの症状の変化にも注意することが大切です。
だるさや疲れやすさ、息切れが軽くなっているかは、貧血の改善に関係する重要な指標です。また、動悸やめまい、頭の重さが減っているかも確認します。さらに、腹痛や嚥下困難、胸の違和感といった溶血に伴う症状が改善しているかも参考になります。加えて、むくみや急な痛み、息苦しさなど血栓症を疑う症状がないかにも注意が必要です。
これらの変化を総合的にみて、治療がうまくいっているかを判断し、気になる変化があれば、早めに主治医に相談することが大切です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療でヘモグロビン値がしっかり上がると、日常生活でどのようなことが楽になりますか?
ヘモグロビン値がしっかり上がると、だるさや息切れが改善し、歩行や階段昇降が楽になります。
ヘモグロビン値がしっかり上がると、歩行や階段昇降が楽になります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療でヘモグロビン値がしっかり上がると、体に酸素を運ぶ力が改善し、日常生活でのさまざまな不調が軽くなります。具体的には、だるさや疲れやすさ、息切れが改善し、階段の昇り降りや長時間の歩行が楽になります。
また、集中力の低下や頭の重さも軽減し、仕事や学業への取り組みやすさが向上します。さらに、動悸やめまいが減ることで外出や運動への不安も少なくなり、生活の質(QOL)の向上が期待されます。このように、貧血の改善は日常生活全体の活動性を高める重要な要素です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の点滴治療を続けているのに、なぜまだ体がだるく、息切れがするのですか?
脾臓や肝臓での血管外溶血や骨髄での造血低下のため、貧血が十分改善していない可能性があります。
脾臓や肝臓で赤血球が壊される血管外溶血や骨髄での造血低下のため、貧血が十分改善していない可能性があります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では点滴治療(抗補体薬)により、血管内で赤血球が壊れる(血管内溶血)のは抑えられますが、すべての溶血が完全に止まるわけではありません。特に血管外溶血と呼ばれる別の仕組み(主に脾臓や肝臓の中で壊される)で赤血球が壊れ続けることがあり、貧血が十分に改善せず、だるさや息切れが残る原因になります。
また、もともとの骨髄機能の低下(造血不全)により、赤血球の産生が少ない場合も、同様の症状が続きます。さらに、感染や治療間隔の影響で一時的に溶血が悪化することもあります。このため、症状が残る場合は薬の調整や追加治療を検討します。
主治医に「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の今の治療を受けていてもつらい」と相談する際、なんと伝えればわかってもらえますか?
生活で困る場面と、いつから、どんな症状が、どの程度つらいかを具体的に伝えると理解されやすいでしょう。
生活で困る場面と、いつから、どんな症状が、どの程度つらいかを具体的に伝えると理解されやすいでしょう。
主治医に「つらい」と伝える際は、症状をできるだけ具体的に伝えることが重要です。例えば「いつから」「どのくらい」「どんなときに」だるさや息切れがあるか、日常生活で困っている場面(歩行、仕事、家事など)を具体的に説明すると理解されやすくなります。
また、動悸やめまい、腹痛などの症状の有無や変化も重要な情報です。可能であれば症状の記録をメモして見せるとより正確に伝わります。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では症状と検査結果を総合して治療評価を行うため、遠慮せず体調の変化を詳しく共有することが大切です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療で薬の種類が増えた場合、月の支払い(医療費)は今までより増えてしまうのでしょうか?
負担が増える可能性はありますが、助成制度等の利用によって必ずしも月の支払いが増えるとは限りません。
薬が増えると負担が増える可能性はありますが、助成制度等の利用によって、必ずしも月の支払いが増えるとは限りません。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は指定難病で、認定されると保険の自己負担分の一部が公費で助成されます。さらに、症状の重さが基準に達しない場合でも、高額な医療を継続する必要があれば助成対象になることがあります。そのため、実際の自己負担額は、追加された薬の種類や投与回数だけでなく、保険診療の範囲、難病医療費助成、高額療養費制度の利用状況で変わります。
通院先や加入している保険、世帯の所得区分で上限額が異なることもあります。正確な負担額は主治医や病院の医療相談窓口で確認するのが確実です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)にはどのような治療薬が使われますか?
抗C5抗体薬エクリズマブ・ラブリズマブが中心で、輸血や免疫抑制療法、造血幹細胞移植も用いられます。
現在の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の主な治療薬は抗C5抗体薬です。抗C5抗体薬として、エクリズマブとラブリズマブがあり、溶血や血栓形成を強力に抑制し、予後を大幅に改善しました。そのほかに、溶血による貧血に対して輸血や葉酸・鉄補充、腎障害予防にハプトグロビン投与が行われます。
骨髄が機能しない「骨髄不全」が強い場合には、免疫抑制療法(抗胸腺細胞グロブリン(ATG)+シクロスポリン)を行い、根治を目指す場合は造血幹細胞移植が唯一の方法です。さらに新しい薬剤として、C3阻害薬や因子B・D阻害薬なども登場し、治療の選択肢は拡大しています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療は、一度始めたら一生やめることはできないのですか?
必ずしも一生やめられないわけではありませんが、通常は継続が基本で中止は慎重に判断されます。
必ずしも一生やめられないわけではありませんが、通常は継続が基本で中止は慎重に判断されます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では抗補体薬によって溶血を長く抑えることが多く、自己判断で中止すると激しい溶血が起こる可能性があるため、通常は継続治療が基本です。
一方で、ガイドラインや臨床サポート情報では、まれに自然寛解が起こり、すべての治療を中止できることがあるとされています。また、効果不十分な場合は中止ではなく、薬の変更や追加が検討されます。
なお、根治を目指せる治療は造血幹細胞移植ですが、適応は限られます。治療をやめられるかどうかは病状次第ですが、必ず主治医によって慎重に判断されます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の最新の治療について、今の病院以外の先生の意見を聞きたい(セカンドオピニオン)時はどうすればよいですか?
主治医に紹介状を依頼し、専門医が在籍する医療機関でセカンドオピニオンを受けるとよいでしょう。
主治医に紹介状を依頼し、専門医が在籍する医療機関でセカンドオピニオンを受けるとよいでしょう。
まず、現在の主治医に、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の最新治療について、ほかの医師の意見も聞きたいと率直に伝え、紹介状と検査結果、治療歴のコピーをお願いするのが一般的です。相談先は、大学病院の血液内科やセカンドオピニオン外来、日本血液学会の血液専門医が所属している施設が目安になります。
PNHは希少で、診断時点から血液専門医への紹介がすすめられる病気です。遠慮せず、今の治療で困っていることや聞きたい点をメモして持参し、現在の薬剤名や輸血歴も整理しておくと相談が進めやすくなります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で、今の治療だけでは不十分な場合、どのような「新しい飲み薬」が選択肢に入りますか?
近位補体阻害薬であるダニコパンやイプタコパンなどの新しい飲み薬が選択肢に入ります。
近位補体阻害薬であるダニコパンやイプタコパンなどの新しい飲み薬が選択肢に入ります。
今の治療、特にエクリズマブやラブリズマブなどの抗C5抗体薬だけでは貧血や輸血が残る場合、新しい飲み薬として近位補体阻害薬が選択肢に入ります。具体的には、上乗せで使うダニコパンと、切り替えで使うイプタコパンです。これらは補体経路のより上流を抑えることで、血管内溶血だけでなく血管外溶血も抑え、ヘモグロビン値や疲労感、輸血回避の改善が期待されます。いずれも経口薬として開発され、日本でも2024年に承認されました。
ただし、すべての患者さんに必要なわけではなく、残る貧血の原因や病状をみて慎重に選びます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の場合、主にどのような治療をしますか?
治療の主体は3大症状に対する対症療法ですが、赤血球の破壊を抑える薬が開発され、生命予後は大きく改善しました。
これまで、治療法は3大症状(補体介在性の血管内溶血とそれに伴うヘモグロビン尿、血栓症、骨髄不全)に対する対症療法(主に支持療法)が主体となってきました。
PNH溶血に対して開発された抗補体薬は、血栓症に対しても効果を示し、PNH患者の生命予後は大きく改善しました。ただし、骨髄不全に対しては効果がありませんので、別個に治療を検討する必要がありますが、基本的には再生不良性貧血の治療に準じます。
また、3大症状の最重症例に対しては、唯一の根治療法である造血幹細胞移植が行われます。
①抗補体療法
赤血球を攻撃する「補体」という成分を阻害することで溶血(赤血球が破壊された状態)を効果的に防ぎます。詳しくは、『発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対して行う抗補体療法とは、どのような治療ですか?』をご参照ください。
②造血幹細胞移植
遺伝子異常のない正常な造血幹細胞(血液細胞のもとになる細胞)を移植する治療法です。唯一の根治療法ですが、治療のリスクが高いため、生命に関わる病状がある若い方に限定されます。現在では、まず最初に抗補体療法から行われることが一般的です。
③支持療法
貧血に対して輸血を行うことや、赤血球を作る際に必要な鉄や葉酸を使用して補充する治療を指します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で点滴を受けても輸血が欠かせない場合、今の治療に「別の薬」を足すことはありますか?
はい、原因に応じて近位補体阻害薬など、別の薬を追加したり切り替えることがあります。
はい、原因に応じて近位補体阻害薬など、別の薬を追加したり切り替えることがあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、エクリズマブやラブリズマブなどの抗C5抗体薬の点滴治療を続けても輸血が欠かせない場合があり、その原因が血管外溶血であれば、今の治療に別の薬を上乗せしたり、薬を切り替えたりすることがあります。実際、近位補体阻害薬のひとつであるダニコパンはエクリズマブやラブリズマブに上乗せして、ヘモグロビン値の改善や輸血回避の効果が示されています。
また、近位補体阻害薬は血管外溶血も抑えるため、貧血のさらなる改善が期待されます。ただし、骨髄で赤血球を作る力の低下が主な原因なら、免疫抑制療法など別の対応を考えます。追加治療が必要かは、残存する貧血の原因を見極めて判断します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のステロイド治療で症状が改善しない場合はどうすればよいですか?
速やかに抗補体療法へ移行し、必要に応じて輸血や葉酸補充、免疫抑制療法や造血幹細胞移植を検討します。
ステロイドで効果がない場合は、補体という体の防御システムの働きを抑える「抗補体療法」に切り替えます。
赤血球が壊れることで起こる貧血には、輸血やビタミンの一種である葉酸の補充、腎臓の働きが悪くなる場合には、ハプトグロビンというたんぱく質を使うなど、体を支える治療(支持療法)を組み合わせます。
骨髄の働きが弱い場合は、免疫を抑える治療(抗胸腺細胞グロブリンとシクロスポリン)を行うこともあります。重い症状の人では、造血幹細胞移植という根本的な治療が選ばれることもあります。
治療は人によって異なるため、主治医とよく相談して、最適な方法を選ぶことが大切です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のステロイド治療はいつまで続きますか?
ステロイド治療は急性期のみの短期使用に限られ、症状が落ち着けば速やかに中止します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対するステロイド治療は、原則として急性の溶血発作や合併症に対する短期使用に限られます。隔日投与などで副作用を軽減しつつ、できるだけ早期に抗補体薬などの根本的治療に切り替えるのが推奨されています。
治療を漫然と長期に続けることは、副作用のリスクが大きく、患者さんの利益になりません。したがって「症状が落ち着けば速やかに中止」が基本方針であり、維持療法としては位置づけられていません。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のステロイド治療が長期化するとどうなりますか?
ステロイドを長期使用すると、感染症や糖尿病、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死など重い副作用の危険があります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対して、ステロイドを長期使用すると、感染症のリスクが増えるだけでなく、糖尿病、骨粗鬆症、胃潰瘍、大腿骨頭壊死など、重い副作用が出る危険があります。特に免疫力低下による日和見感染は、命に関わる可能性もあります。
そのため、PNHのガイドラインでは、ステロイドの連用は避け、最小限の期間・量にとどめるよう強調されています。長期的な溶血抑制や血栓予防には抗補体療法を用いるべきで、ステロイド単独での維持は不適切とされています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)でステロイド治療はどのような経過をたどりますか?
ステロイドはPNHの溶血発作に短期的効果はありますが、長期的な有効性はなく、補助的治療にとどまります。
副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど)は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の溶血発作に、一時的に使われることがあります。
短期的には溶血を抑える効果がありますが、長期的な有効性はなく、基本治療としては推奨されません。副作用を減らすため、隔日投与が用いられることがあります。
現在は、補体からの攻撃を回避する「抗補体療法」が確立しており、ステロイドは補助的に限定して使う位置づけです。効果が不十分な場合は、抗補体薬へ移行するのが一般的です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療で定期的な通院が必要ですが、仕事や学業を休み続けなければならないのでしょうか?
いいえ、定期通院は必要ですが、必ずしも仕事や学業を休み続ける必要はありません。
いいえ、定期通院は必要ですが、必ずしも仕事や学業を休み続ける必要はありません。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療では、抗補体薬の点滴などのため、定期的な通院が必要ですが、必ずしも仕事や学業を長期間休み続ける必要はありません。多くの場合、症状が改善すると貧血によるだるさや息切れが軽くなり、日常生活や社会生活を維持しやすくなります。実際、抗補体薬により生活の質(QOL)や予後が改善することが報告されています。
ただし、点滴のための通院日には時間の調整が必要であり、体調や合併症によっては一時的に休養が必要な場合もあります。そのため、主治医と相談しながら、無理のない範囲で仕事や学業を継続することが大切です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の点滴治療を受けていても、血栓症(血の塊ができる病気)を完全に防ぐことはできますか?
いいえ、点滴治療として使われる抗補体薬で血栓症の危険は減りますが、完全に防ぐことはできません。
いいえ、点滴治療として使われる抗補体薬で血栓症の危険は大きく下がりますが、完全に防げるとは言えません。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では血管内溶血が抑えられることで血栓症リスクは著しく減少しますが、治療中でも溶血の再燃(ブレイクスルー溶血)時などには血栓症が起こる可能性が残ります。実際、血栓症を起こした場合は抗補体薬に加えて抗凝固療法が必要とされます。
また、治療で溶血が落ち着いていても、もともとの病勢や既往歴、妊娠、手術などの状況に応じて、追加の予防や慎重な経過観察が必要になることがあります。そのため、点滴治療中も症状や検査値をみながら、継続的に注意深く管理することが重要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対して行う抗補体療法とは、どのような治療ですか?
「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」とは、赤血球が血管内で破壊される病気で、溶血性貧血のひとつです。
「発作性夜間ヘモグロビン尿症」は、血液細胞(赤血球、白血球など)が正しく作られなくなる病気です。
この病気の細胞は、補体の攻撃から細胞を守る蛋白(補体制御因子:CD55、CD59)を細胞膜に繋ぎ止めている「アンカー」という部分が欠けています。
その結果、血液中の赤血球が異常に壊れやすくなり、壊れた際にこの赤血球からヘモグロビンが血液中に放出され、尿として排出されることがあります。これが「ヘモグロビン尿」と呼ばれる淡赤色~暗褐色の尿が出る症状です。
ほかにも、貧血や血栓症などを引き起こすこともあります。まれに白血病や再生不良性貧血といった重い血液の病気に移行することがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を放置するとどうなりますか?
腎不全や感染、出血、血栓、白血病化の危険があり、致命的となります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を放置すると、命に関わる可能性があります。
まず、持続する溶血により腎障害が進み腎不全に至る危険があります。さらに、骨髄低形成が進行し、白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する汎血球減少となると、重症感染症や出血のリスクが増します。静脈血栓症は脳静脈洞や肝・門脈系など重要部位に発生すると致命的です。
さらに、数%で骨髄異形成症候群や急性白血病に移行します。これらは生活の質を大きく損ない、命にも関わるため、抗補体薬や支持療法による早期治療が重要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の名医の探し方を教えてください。
大学病院血液内科や日本血液学会専門医リストで探します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の名医を探す方法は、まず、専門性の高い大学病院の血液内科を調べることから始めるとよいでしょう。
特に「血液専門医」の資格を持つ医師を探しましょう。
日本血液学会のウェブサイトでは、専門医リストを公開しています。
また、セカンドオピニオン外来を実施している病院も選択肢になります。
担当医に「この分野に詳しい先生を紹介してほしい」と率直に相談することも大切です。
医師同士のネットワークを通じて、適切な専門医を紹介してもらえる可能性があります。
Ubieでは「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
貧血やヘモグロビン尿(血尿と間違われる場合があります)といった症状が見られる場合は、血液内科を受診しましょう。
以下のような発作性夜間ヘモグロビン尿症を疑う症状があるときは、血液内科を受診しましょう。
- 顔色が悪い
- 唇が白い
- 白目や皮膚が黄色くなる(黄疸)
- 尿がワインのように赤くなる(ヘモグロビン尿)
など。
確定診断には、採血を行って血液細胞のフローサイトメトリーという特別な検査が必要なため、専門の医師に相談することをおすすめします。
発作性夜間ヘモグロビン(血色素)尿症の専門医がいる近くの病院はありますか?
発作性夜間ヘモグロビン(血色素)尿症の専門医がいる病院を見る発作性夜間ヘモグロビン尿症の薬
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で複数の薬を組み合わせて使う場合、副作用や感染症のリスクは以前より高まりますか?
併用で副作用や感染症のリスクは高まる可能性がありますが、薬の組み合わせにより異なります。
はい、複数の薬を組み合わせると、注意すべき副作用や感染症リスクは高くなる可能性はあります。ただし、必ず大きく高まると決まっているわけではなく、薬の種類や組み合わせで異なります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の抗補体薬では、もともと髄膜炎菌をはじめとするナイセリア属感染症のリスクが高く、治療前のワクチン接種と治療中の早期受診体制が重要です。さらに近位補体阻害薬については、感染症リスクの増大がないか慎重に見極める必要があるとされています。
そのため、併用時は、発熱、強い頭痛、首の痛みなどを軽くみず、主治医の指示どおり、予防接種と経過観察を受けることが大切です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の薬にはどのような副作用がありますか?
抗C5抗体薬では頭痛や悪心など軽い副作用に加え、重大な副作用として髄膜炎菌感染症があります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の薬である抗C5抗体(エクリズマブ、ラブリズマブ)では、頭痛、鼻咽頭炎、悪心など、比較的軽い副作用が多いですが、最も重大なのは髄膜炎菌感染症です。
補体を抑えると細菌に対する防御力が落ち、特にナイセリア属という細菌に感染しやすくなります。そのため、治療開始の少なくとも2週間前にワクチン接種が必要です。
治療中に発熱、頭痛、項部硬直などが出た場合は、ただちに受診する必要があります。その他、軽度の感染症や注射部位反応なども知られています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の経過・予後
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の余命はどれくらいですか?
エクリズマブ導入前は平均32年でしたが、抗補体療法導入後、予後は大幅に改善しています。
PNHの余命は、治療前と治療後で大きく異なります。エクリズマブ導入前、日本における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の平均生存期間は約32年、50%生存期間は25年で、欧米より長い傾向でした(英:10年、仏:14.6年など)。
エクリズマブ導入後は予後が大きく改善し、英国では健康な同年代とほぼ同等の生存率も報告されています。造血不全(再生不良性貧血など)を伴わず、溶血が主症状である「古典的PNH」では死亡率が低下しましたが、再生不良性貧血(AA)の経過中にPNHを発症する「AA-PNH症候群」では依然高い死亡率です。
予後因子には血栓症、腎障害、重度骨髄不全、高齢発症などがあり、抗補体療法は溶血・血栓抑制とQOL改善に寄与します。
対処法・セルフケア
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療中に、市販の風邪薬や痛み止め、サプリメントを飲んでも大丈夫ですか?
市販薬やサプリメントは自己判断で使用せず、必ず主治医や薬剤師に相談してください。
市販薬やサプリメントは自己判断で使用せず、必ず主治医や薬剤師に相談してください。
一律に「飲んではいけない」とは言えませんが、自己判断での使用はすすめられません。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では抗補体薬により髄膜炎菌など重い感染症にかかりやすく、治療前のワクチン接種や治療中の早期受診が重要です。そのため、発熱、強い頭痛、首の痛みなどを市販の風邪薬や痛み止めで様子見することはやめましょう。
また、骨髄不全でシクロスポリン、血栓症で抗凝固薬を使っている人では、併用薬やサプリメントの影響を個別に確認する必要があります。漢方薬や健康食品も含め、購入前に「PNHで治療中、現在の薬は○○」と伝え、主治医か薬剤師に必ずご相談ください。
発作性夜間ヘモグロビン尿症に関連するその他の質問
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、なぜ「夜間」と名前がついているのですか?
血管内での赤血球破壊が夜間(睡眠中)に起こるためです。そのため、起床後すぐの尿はヘモグロビン尿となります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症の「夜間」という名前は、睡眠中に特に赤血球が破壊される(溶血)ことが多く、早朝にワインのような色の尿が出るために名付けられました。
睡眠中は生理的に呼吸数が減少し、血中の二酸化炭素が増加します。これにより、血液が酸性に傾いてしまい、溶血を促進すると考えられています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は骨髄にどのような影響がありますか?
PNHは造血幹細胞異常により、骨髄低形成や骨髄不全を起こし、汎血球減少や感染・出血の原因となります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、骨髄の働きを弱めることがあり、骨髄不全(血液を作る力が弱くなること)を引き起こします。
多くの症例で、再生不良性貧血(AA)や骨髄異形成症候群(MDS)と関連し、骨髄が十分形成されない「骨髄低形成」が進むと汎血球減少を起こします。
これにより、感染や出血が死因となることが少なくありません。典型的なPNHでは溶血や血栓症が前面に出ますが、再生不良性貧血(AA)-PNH症候群というタイプでは、骨髄が機能しない「骨髄不全」が主体です。
骨髄移植は根治につながりますが、適応は慎重に検討され、抗補体療法や免疫抑制療法が使い分けられます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で血小板は減少しますか?
PNHの一部のタイプ(骨髄不全型やAA-PNH)では血小板が減少し、出血傾向がみられます。
はい、PNHの一部のタイプ(骨髄不全型やAA-PNH)では、血小板が減少し出血傾向がみられます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の疾患の本態は、「溶血」「血栓症」「骨髄不全」の三本柱であり、骨髄不全型や再生不良性貧血(AA)-PNHというタイプでは、血小板も減少することがあります。血小板減少により、出血傾向が強まり、皮膚の点状出血や歯肉出血などが見られることもあります。
一方で、血小板が補体の影響を受けて過剰に活性化され、逆に血栓を形成しやすい側面もあります。つまり、PNHでは「血小板が減っても血栓ができやすい」という相反する特徴があり、専門医による慎重な評価が必要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)になると胆石ができるのはなぜですか?
溶血で増加した間接ビリルビンの胆汁中への過剰排泄により、ビリルビン胆石が形成されやすいためです。
溶血で増加した間接ビリルビンの胆汁中への過剰排泄により、ビリルビン胆石が形成されやすくなるためです。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、赤血球が壊れる溶血が長期間続くことにより、ヘモグロビンの分解産物である間接ビリルビンが増えます。
胆汁中にビリルビンが過剰に排泄されると、「ビリルビン胆石」と呼ばれる黒色の色素胆石が形成されやすくなります。胆石ができると、右上腹部痛や黄疸、発熱などの症状を起こすことがあり、時に手術が必要になる場合もあります。PNH患者さんで腹部症状がある場合は、胆石合併を念頭においた評価が必要です。
家族や職場に、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)による「見た目ではわかりにくいしんどさ」を理解してもらうよい方法はありますか?
日常生活で困る場面を具体的に伝え、資料やメモを共有すると理解されやすくなります。
はい、あります。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は息切れ、動悸、全身倦怠感、疲れやすさなどがあっても、見た目ではわかりにくく、しかもゆっくり進むため、周囲に伝わりにくい病気です。そこで「少し歩くと息切れする」「午後は強いだるさで家事や仕事が進まない」など、日常生活で困る場面を具体的に伝えるのが有効です。
さらに、病名だけでなく、難病情報センターの患者さん向け資料や、主治医から受けた説明内容、症状を記録したメモを家族や職場に見せると理解されやすくなります。無理に元気に見せず、できることと難しいことを分けて伝えるのも大切です。職場では配慮の相談もしやすくなります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で障害者手帳は取得できますか?
はい、「内部障害」が一定基準を満たせば、取得できる可能性があります。
はい、「内部障害」が一定基準を満たせば、取得できる可能性があります。ただし、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)という診断だけで、自動的に取得できるわけではありません。障害者手帳の交付は病名ではなく機能障害の程度によって判断されます。
したがって、長期に続く溶血や腎障害によって慢性腎不全に至った場合など、内臓器官の機能に障害があることを指す「内部障害」が一定基準を満たせば、身体障害者手帳を取得できる可能性があります。
また、医療費については、PNHは指定難病62に含まれているため、特定医療費の助成制度を利用できます。詳細は自治体の窓口で確認する必要があります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)と再生不良性貧血の関係を教えてください。
PNHは再生不良性貧血(AA)と深く関連し、AAからPNHへの移行およびその逆の移行もあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)と再生不良性貧血(AA)は、互いに移行することがあります。PNHは、造血幹細胞(血液を作るもとになる細胞)に生じた遺伝子異常による病気で、造血幹細胞の持続的な減少であるAAと深く関わっています。
実際、多くのPNH患者さんでは「骨髄不全」(血液を作る力が弱くなること)の状態にあり、AAからPNHに移行する例や、逆にPNHからAAへ移行する例も知られています。
AAや骨髄異形成症候群(MDS)の患者さんでは、「微少PNHクローン」と呼ばれる小さな異常血球集団がしばしば見つかり、免疫抑制療法の反応性とも関係しています。
最終的に、AAからPNHに進展するかどうかは患者さんごとに異なり、定期的にフローサイトメトリーという検査機器による観察が必要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の新薬について教えてください。
PNHの新薬として、クロバリマブやペグセタコプランなどがあり、血管外溶血改善に期待されています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の新薬として、クロバリマブ、ペグセタコプラン、ダニコパンやイプタコパンが登場し、臨床に導入されつつあります。
PNHの治療は、補体経路をどの部分で抑えるかという考え方に基づいて進化してきました。従来はC5を標的とするエクリズマブやラブリズマブが中心で、血管内溶血の抑制に大きな効果を示しました。
近年は、同じC5を狙う長時間作用型抗体クロバリマブに加え、C3を標的とするペグセタコプランや、因子B・Dを抑える経口薬ダニコパン、イプタコパンといった新薬も登場しています。
これらは、従来薬では十分に抑えられなかった血管外溶血の改善に期待されており、国際的な臨床試験でも有効性が報告されています。結果として、患者さんの治療選択肢は大きく広がっています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)とフェリチンの値は関係がありますか?
PNHでは溶血により鉄が尿中に失われ、フェリチン値が低下し鉄欠乏を示すことがあります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では溶血により鉄が尿中に失われ、フェリチン値が低下し、鉄欠乏を示すことがあります。
PNHでは血管内で赤血球が壊れ続けるため、ヘモグロビンや鉄が尿中に排泄され、体内の鉄が徐々に失われます。そのため、鉄の貯蔵量を示すフェリチン値が低下し、鉄欠乏の傾向を示す場合があります。
貧血の進行には、溶血そのものに加えて鉄欠乏も関与するため、フェリチン測定は病状の把握に有用です。必要に応じて鉄剤や葉酸補充を行いますが、過剰投与による鉄過剰も問題となる場合があるため、医師による定期的な検査とバランスの取れた管理が重要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の尿沈渣ではどのようなことがわかりますか?
PNHの尿沈渣ではヘモジデリンを含む細胞が検出され、血管内溶血の証拠となります。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の尿沈渣では、腎臓に沈着した鉄のかけら「ヘモジデリン」を含んだ細胞が検出されることがあります。これは、赤血球が血管内で壊れ(血管内溶血)、尿中にヘモグロビンや鉄が流れ出すためです。これを「尿沈渣のヘモジデリン陽性」と表現し、血管内溶血の証拠になります。
また、血尿とは異なり、顕微鏡による観察では赤血球そのものは少なく、化学的検査でヘモグロビンが検出されるのが特徴です。こうした所見は、溶血の程度や慢性化の指標となり、PNH診断や経過観察の補助に使われます。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)とCDマーカーの関係性を教えてください。
CD55やCD59欠損により溶血をきたします。診断や経過観察にこれらの欠損細胞が利用されます。
CD55やCD59の欠損がPNHの溶血の原因であり、診断に使われます。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) における赤血球では、細胞表面につながれている蛋白のうち補体制御に関わるCD55(DAF)やCD59(MIRL)が欠損します。これらは補体の攻撃から赤血球を守る役割を持ち、欠損すると容易に血管内溶血が起こります。
診断には、抗CD55/CD59抗体や細胞表面の分子を解析できる機器で欠損細胞(PNHタイプ血球)を高感度に検出し、その割合を定量します。この検査は診断だけでなく、経過観察や治療効果判定にも重要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんの数はどれくらいですか?
令和3年度の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さん数は全国で959人と報告されています。
難病情報センターによると、令和3年度の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)と診断された医療受給者証保持者数は959人です。全年齢で発症しますが、特に20~60代に多く、男女差はありません。日本では造血不全型が多く、欧米では血栓症や顕著な溶血を伴う古典的PNH型が多い傾向があります。
極めて希少で、診断や治療経験のある医師も限られるため、専門施設での管理が推奨されます。国際的にも発症頻度は年間100万人あたり1~2人程度です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診療ガイドラインはありますか?
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)について、令和4年度改訂版の詳細な診療ガイドラインがあります。
はい、診療ガイドラインはあります。「発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド(令和4年度改訂版)」が、厚生労働省 難治性疾患政策研究班 特発性造血障害に関する調査研究班により作成され、診断基準、重症度分類、検査法、治療指針が詳細に示されています。
抗補体療法(エクリズマブ、ラブリズマブ)の適応、副腎皮質ステロイドや輸血、骨髄移植の適応、妊娠・周術期管理、合併症対策も含みます。診療は高感度フローサイトメトリーによる定期的モニタリングを前提とし、希少疾患であるため血液専門医の管理が推奨されています。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、難病ですか?
はい、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は指定難病62に分類される希少な造血幹細胞の疾患です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、厚生労働省の「指定難病62」に分類される極めてまれな造血幹細胞の疾患です。1974年に溶血性貧血として特定疾患に指定され、医療費助成の対象です。
造血幹細胞のPIGA遺伝子などに後天的に遺伝子異常(変異)が生じ、赤血球表面の補体制御タンパク(CD55、CD59)が欠損しているため、補体の攻撃を受けやすく、結果として血管内で赤血球が破壊される血管内溶血を起こします。
主症状はヘモグロビン尿、血栓症、骨髄不全の3つで、症状の組み合わせや程度は人により異なります。診断・治療には血液専門医による高度な管理が必要です。
発作性夜間ヘモグロビン尿症に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10