慢性肝炎に初期症状はある?慢性肝炎(B型慢性肝炎・C型慢性肝炎など)
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
慢性肝炎とは
「慢性肝炎」とは、肝臓の炎症が6か月以上続く病気のことです。主な原因には、ウイルス感染(特にB型やC型)、アルコールの摂取、薬の影響、自己免疫の異常などがあります。初めのうちは症状があまり出ないことが多いですが、病気が進行すると、疲れやすくなったり、肌や目が黄色くなる(黄疸)、肝臓が腫れる(肝腫大)といった症状が現れることがあります。早期に診断を受けて治療を行うことで、肝硬変や肝がんに進行するのを防ぐことができます。
「慢性肝炎」とはどのような病気ですか?
慢性肝炎は、肝臓の炎症が6ヶ月以上続く状態を指し、主にウイルス感染や自己免疫などが原因です。
慢性肝炎とは、肝臓の炎症が6ヶ月以上持続する状態を指し、主にウイルス感染、アルコール、薬剤、自己免疫などが原因で発症します。
特にB型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)が重要な原因であり、長期にわたる炎症により肝細胞が徐々に破壊され、肝硬変や肝がんに進行する可能性があります。
症状は初期にはほとんど現れないことが多いですが、進行するにつれて全身の倦怠感や黄疸、肝腫大などがみられることがあります。
診断には血液検査でウイルスマーカーの検出や肝機能の確認、画像検査による肝臓の評価が行われます。
治療は原因に応じて異なり、例えばウイルス性肝炎の場合、抗ウイルス療法が主体となります。
慢性肝炎の症状
慢性肝炎ではどのような症状がありますか?
慢性肝炎では、初期には自覚症状が少ないことが多く、病気が進行するにつれて徐々に症状が現れることがあります。
慢性肝炎では、初期には自覚症状が少ないことが多く、病気が進行するにつれて徐々に症状が現れることがあります。
一般的な症状には、倦怠感、全身のだるさ、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、体重減少などがあります。しかし、まったく無症状である場合も多く、血液検査を行って初めて肝炎とわかることも多いです。また、肝臓が腫れることによって腹部に違和感や痛みを感じることもあります。
病気が進行すると、肝硬変や肝臓がんのリスクが高まり、それに伴う症状として、腹水(腹腔内に水がたまる)、意識障害、出血傾向がみられることもあります。
慢性肝炎に自覚症状はありますか?
多くは無症状ですが、だるさや食欲不振を感じることもあります。
慢性肝炎は、肝臓の炎症が6か月以上続いている状態です。
しかし、多くの人は自覚症状がほとんどなく、健康診断などの血液検査で、偶然見つかることがよくあります。
一部の人では、次のような症状が現れることもあります。
- 体がだるい
- 食欲がなくなる
- 軽い吐き気や胃の不快感
これらの症状はあいまいで、風邪や疲れと勘違いされることもあります。
さらに病気が進行して、肝硬変や肝臓がんに進むと、
などの症状が現れることがあります。
参考文献
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“C 型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/C_v8.3_20240605.pdf,(参照 2025-05-26).
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“B型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/B_v4.pdf,(参照 2025-05-26).
日本消化器学会・日本肝臓学会. NAFLD/NASH診療ガイドライン2020 改訂第2版. 南江堂. 2020
厚生労働省難治性疾患政策研究事業.“自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン”.厚生労働省.https://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/080/image/AIHguideline.pdf,(参照 2025-05-26).
慢性肝炎の末期症状はどのようなものがありますか?
黄疸(皮膚黄色になる)、腹水(お腹に水がたまる)、肝性脳症(意識が悪くなる)などの症状があります。
慢性肝炎が長く続くと、肝臓の細胞が破壊されて「肝硬変(かんこうへん)」という肝臓が硬く変化した状態になります。さらに進行すると「肝不全(かんふぜん)」という重篤な状態になります。
肝硬変や肝不全になると、次のような症状が現れることがあります。
- 黄疸(おうだん):皮膚や白目が黄色くなる
- 腹水(ふくすい):お腹に水がたまる
- 肝性脳症(かんせいのうしょう):意識がもうろうとしたり、言動に異常がみられる
- むくみ:足や顔などが腫れる
- 出血しやすくなる:歯ぐきや鼻から出血しやすくなり、血も止まりにくくなる
- 合併症のリスクが高まる:肝がんや食道胃静脈瘤などの合併症が生じる。これらの合併症が原因で死亡することがある
このような状態になる前に、慢性肝炎の段階で、しっかりと治療をすることが重要です。
慢性肝炎には初期症状はありますか?
慢性肝炎の初期段階では、症状がほとんど現れないか、非常に軽微なことが多いです。
慢性肝炎の初期段階では、症状がほとんど現れないか、非常に軽微なことが多いです。そのため、症状が出た時には病気が進行し、肝硬変になってしまっているケースもあります。
症状が出た場合、一般的なものは全身の倦怠感や疲労感ですが、これらは日常的な疲れと見分けがつきにくいため、病気の兆候として見過ごされがちです。
また、軽度の食欲不振や体重減少も症状として挙げられますが、これも特異的(慢性肝炎でのみ現れる症状ではない)ではありません。
慢性肝炎の原因
ストレスが慢性肝炎の原因になることはありますか?
ストレスが慢性肝炎の直接の原因になることはありませんが、悪化のきっかけになることはあります。
ストレスが、慢性肝炎の直接の原因になることはありません。
慢性肝炎の原因としては、B型・C型肝炎ウイルス、自己免疫、アルコール、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、薬剤性などがあります。
しかしながら、強いストレスは間接的に肝炎の悪化に関わることがあります。
例えば、
などの影響が考えられます。
アルコールが慢性肝炎の原因になることはありますか?
はい。大量の飲酒はアルコール性肝炎を引き起こし、慢性肝炎の原因になります。
お酒の飲みすぎは、肝臓に大きな負担をかけます。
毎日多量のアルコールを飲み続けると、肝臓に炎症が起きて「アルコール性肝炎」になります。この炎症が慢性的に続くと、慢性肝炎と診断されます。
初期のアルコール性肝炎は無症状のことが多く、気づかないまま進行することもあります。進行すると、肝臓の細胞が壊れて硬くなり、アルコール性肝硬変や肝がんにつながることがあります。
一方で、アルコール性肝炎は飲酒をやめることで肝臓の炎症が改善する場合も多く、早期発見と断酒がとても大切です。
慢性肝炎の原因は何がありますか?
慢性肝炎の原因はウイルス感染、アルコール、薬剤、自己免疫疾患、脂肪肝などさまざまです。
慢性肝炎の主な原因として、ウイルス感染、アルコールや薬剤の使用、自己免疫疾患が挙げられます。
ウイルス性肝炎は特にB型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)が原因となります。これらは血液や体液を介して感染し、長期的な肝臓の炎症を引き起こします。
アルコール性肝炎は、長期間の過剰なアルコール摂取による肝細胞への直接的な損傷が原因です。
さらに、自己免疫性肝炎(AIH)は、免疫系が誤って自分の肝細胞を攻撃することで発生します。
脂肪肝が原因で肝臓に炎症が起こることもあり、非アルコール性脂肪肝炎と言います。
その他、一部の薬剤も肝臓に毒性を持つことがあり、長期間の服用によって慢性肝炎を引き起こす可能性があります。
慢性肝炎の検査・診断
慢性肝炎のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
慢性肝炎は初期症状が少ないため、セルフチェックは、難しいと考えられます。しかし、該当するのいくつかの症状が出ている場合は、慢性肝炎の可能性も否定できません。
慢性肝炎が疑わしい人の特徴に、以下が挙げられます。
これらの症状がある場合、肝機能に問題がある可能性があります。
これらの症状は必ずしも重篤な状態を示すわけではありませんが、長期間続く場合は医師に相談すると良いでしょう。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、慢性肝炎かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
慢性肝炎はどのような検査を行いますか?
慢性肝炎は血液検査、画像検査、必要に応じて肝生検などを行います。
慢性肝炎の検査は、まず血液検査で肝臓に炎症があるかを調べることから始まります。ALTやASTが高いと、肝臓が傷んでいるサインです。
次に、B型肝炎(HBs抗原、HBV-DNA)や、C型肝炎(HCV抗体、HCV-RNA)などのウイルス検査を行い、慢性肝炎の原因を調べます。
ウイルス性でない場合には、自己免疫抗体(抗核抗体、抗平滑筋抗体など)や、鉄・銅の代謝異常などの評価も行われます。
超音波検査やCT、MRIなどの画像検査では、肝臓の大きさや形の異常の確認、肝硬変や肝がんの合併の有無などを調べます。
さらに、慢性肝炎の原因が不明な場合や、肝臓にどのくらいの炎症や線維化(かたくなること)があるかを調べるために、肝生検(針で肝臓の組織を取る検査)を行うことがあります。
参考文献
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“C 型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/C_v8.3_20240605.pdf,(参照 2025-05-26).
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“B型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/B_v4.pdf,(参照 2025-05-26).
日本消化器学会・日本肝臓学会. NAFLD/NASH診療ガイドライン2020 改訂第2版. 南江堂. 2020
厚生労働省難治性疾患政策研究事業.“自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン”.厚生労働省.https://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/080/image/AIHguideline.pdf,(参照 2025-05-26).
慢性肝炎はどのようにして診断されますか?
慢性肝炎は血液検査、画像検査、必要に応じて肝生検で診断されます。
慢性肝炎の診断は、主に以下の検査によって行われます。
- 血液検査:
肝臓の炎症や損傷の程度を確認するために、肝機能を示すALTやAST、ビリルビンなどの数値が調べられます。また、ウイルス性肝炎が疑われる場合には、B型肝炎ウイルスマーカー(HBs抗原、HBV-DNA)、C型肝炎ウイルスマーカー(HCV抗体、HCV-RNA)も調べます。自己免疫性肝炎が疑われる場合には、抗核抗体(ANA)や抗平滑筋抗体(SMA)などの自己抗体検査も行います。
- 画像検査:
超音波検査やCT、MRIを使って肝臓の状態を確認します。これらの検査は肝臓の形態的な異常や肝硬変の兆候を調べるのに有効です。
- 肝生検:
必要に応じて肝生検(肝臓の一部を採取し、顕微鏡で病理検査を行う)を実施します。これは、肝炎の原因や炎症の程度、肝硬変の進行度を詳細に評価するために行われます。肝生検は特に確定診断や治療方針の決定に役立ちます。
慢性肝炎の治療・対処法
慢性肝炎(B型慢性肝炎・C型慢性肝炎など)への対処法は?
肝炎をきたしている原因の検索とそれに対する治療が必要になります。専門の医療機関での治療が必要です。
慢性肝炎は治りますか?
原因によって異なります。早期に診断して適切に対応することで、治癒したり悪化を防ぐことができます。
慢性肝炎は、その原因や重症度によって、「治るかどうか」「どれくらい治るか」が異なります。
主な慢性肝炎の治療と予後は、以下の通りです。
B型肝炎
ウイルスを完全に消すことは難しいですが、核酸アナログ製剤という薬で、ウイルスの活動を抑えることができます。これにより、肝炎の進行や肝がんのリスクを大きく減らすことができます。
C型肝炎
現在は「直接作用型抗ウイルス薬(DAA)」により、95%以上の人がウイルスを完全に排除(治癒)することができます。昔に比べて、治療効果は非常に高くなっています。
自己免疫性肝炎
ステロイドや免疫抑制剤で炎症を抑えることができます。早めに治療を始めれば、病気の進行を防ぎ、安定した状態を保つことが期待できます。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
食事や運動など、生活習慣の改善に加え、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった合併症の治療を行うことで、肝機能の改善が期待できます。
つまり、「慢性肝炎は必ずしも治らない病気ではない」ということです。
また、定期的な画像検査によって、肝硬変の兆候がないか、肝がんの合併がないかなどを確認することも重要です。
参考文献
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“C 型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/C_v8.3_20240605.pdf,(参照 2025-05-26).
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“B型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/B_v4.pdf,(参照 2025-05-26).
日本消化器学会・日本肝臓学会. NAFLD/NASH診療ガイドライン2020 改訂第2版. 南江堂. 2020
厚生労働省難治性疾患政策研究事業.“自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン”.厚生労働省.https://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/080/image/AIHguideline.pdf,(参照 2025-05-26).
慢性肝炎の場合、主にどのような治療をしますか?
慢性肝炎の治療は、原因に応じて異なります。
慢性肝炎の治療は、原因に応じて異なります。肝炎ウイルス(B型およびC型)が原因である場合には、それぞれに対する抗ウイルス治療が中心となります。
B型肝炎の場合、核酸アナログ(エンテカビルやテノホビル)を使用し、ウイルスの増殖を抑制することで肝炎の進行を防ぎます。
C型肝炎では、近年は直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が治療の中心であり、高い確率でウイルスの除去が可能です。これらの治療によって肝硬変や肝がんへの進行を防ぐことが期待できます。
自己免疫性肝炎の場合は、免疫抑制薬(ステロイドやアザチオプリン)を使用して、自己免疫反応による肝細胞の損傷を抑える治療が行われます。
アルコール性肝炎や薬剤性肝炎の場合、原因物質の摂取を中止することが最も重要な治療です。
脂肪肝が原因である、非アルコール性脂肪肝炎の場合には、食事、運動療法のほか、糖尿病や脂質異常症への治療が行われます。
受診の目安・何科を受診するべきか
慢性肝炎を放置するとどうなりますか?
肝硬変や肝がんに進行し、命に関わることがあります。
慢性肝炎を放置すると、肝臓に炎症が続き、細胞が少しずつ壊れていきます。
この状態が長く続くと、肝臓の組織が硬くなり、「肝硬変(かんこうへん)」という状態になります。
さらに肝硬変が進行すると、
- 黄疸(おうだん):皮膚や白目が黄色くなる
- 腹水(ふくすい):お腹に水がたまる
- 肝性脳症(かんせいのうしょう):意識がもうろうとしたり、言動がおかしくなる
などの症状が現れ、最終的には「肝不全(かんふぜん)」という命に関わる重篤な状態になることがあります。
また、肝硬変になると次のような合併症も起こりやすくなります。
- 肝がん(肝細胞がん):肝臓にできるがんで、肝硬変が最大のリスクとされている
- 食道胃静脈瘤(しょくどういじょうみゃくりゅう):食道や胃の静脈がこぶのようにふくらむ病気。肝硬変によって肝臓の血流が悪くなり、「門脈(もんみゃく)」という血管の圧力が高まることで起きる
慢性肝炎は、早期に治療を受けることで進行を防いだり、肝がんのリスクを減らすことができます。症状がなくても放置せず、定期的な診察と治療を受けることがとても大切です。
慢性肝炎の名医の探し方を教えてください。
専門医資格や肝疾患連携拠点病院から探す方法があります。また、かかりつけ医に相談してもよいでしょう。
「慢性肝炎の名医」を探すには、「どの医師が専門で、信頼できるか」を知ることが大切です。
以下の方法がおすすめです。
①肝臓専門医や日本肝臓学会認定施設を確認する
「日本肝臓学会」の専門医(肝臓専門医)は、慢性肝炎・肝硬変・肝がんなどを専門に診ている医師です。
日本肝臓学会のホームページから、都道府県ごとに肝臓専門医を調べることができます。また、都道府県ごとに日本肝臓学会の認定施設・関連施設・特別連携施設も確認できます。
②肝疾患診療連携拠点病院を探す
全国に「肝疾患診療連携拠点病院」があります。ここでは慢性肝炎の専門的治療を受けることができます。
肝炎情報センターのホームページから、肝疾患診療連携拠点病院を検索することができます。
③かかりつけ医に紹介してもらう
信頼できるかかりつけ医がいれば、「慢性肝炎に詳しい専門医」を紹介してもらうのが安心です。
また、紹介状があるとスムーズに診てもらえるかもしれません。
Ubieでは以下の「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
慢性肝炎が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
倦怠感や黄疸、リスク因子がある場合、早めに消化器内科を受診します。
慢性肝炎が疑われる場合、早めに病院を受診することが重要です。
受診の目安としては、以下のような症状やリスク要因がある場合に注意が必要です。
- 症状:
倦怠感や疲れやすさ、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、食欲不振、体重減少、右上腹部の違和感や痛みなどが現れた場合は、消化器内科を受診すべきです。これらの症状は、肝機能の低下や炎症を示している可能性があります。
- リスク要因:
過去にB型肝炎やC型肝炎ウイルスの感染が確認されている場合や、輸血やピアス・タトゥーなどで感染リスクがあった場合も注意が必要です。また、長期間のアルコール摂取や薬剤の過剰使用も肝炎の原因となり得るため、定期的な検査を受けることが推奨されます。
これらの症状やリスク因子がある場合には早期の受診が必要ですが、慢性肝炎はほとんど症状が無いことも多いため、健康診断などによる定期的な血液検査で、肝臓の数値が正常であるかを確認することも大切です。
慢性肝炎が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
慢性肝炎が疑われる場合、まずは消化器内科を受診しましょう。
慢性肝炎が疑われる場合、まずは消化器内科を受診しましょう。
専門医が、血液検査で肝機能やウイルス感染の有無を確認し、必要に応じて超音波検査やCTスキャンなどの画像診断を行います。
また、ウイルス性肝炎が疑われる場合には、抗ウイルス治療の適応を判断するために専門的な評価が必要となります。皮膚から針を刺して肝臓の細胞を調べる、肝生検が必要になることもあります。
慢性肝炎は進行すると肝硬変や肝がんにつながるリスクがあるため、専門科での早期診断と治療が重要です。
最寄りの病院で消化器内科や肝臓内科がない場合には、まず一般内科を受診し、必要な科へ紹介してもらうこともひとつの方法です。
慢性肝炎(B型慢性肝炎・C型慢性肝炎など)の専門医がいる近くの病院はありますか?
慢性肝炎(B型慢性肝炎・C型慢性肝炎など)の専門医がいる病院を見る慢性肝炎の経過・予後
慢性肝炎の余命はどれくらいですか?
慢性肝炎の余命は、進行度や治療状況によって大きく異なります。
「慢性肝炎」と診断されても、すぐに命に関わる状況ではありません。
余命(予後)は、病気の進み具合や治療の有無、肝硬変や肝がんの合併があるかどうかによって大きく変わります。
例えば、B型肝炎やC型肝炎でも、ウイルスをしっかりと抑えることができれば、病気の進行を止めたり、遅らせることができます。
C型肝炎では、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)によって、95%以上が完治し、予後は大きく改善しています。
B型肝炎では、完全に治すのは難しいものの、ウイルスの増殖を抑える薬により、がんの発症や肝不全への進展を防ぐことが可能です。
しかし、治療をせずに放置してしまうと、数年から十数年かけて肝硬変に進行したり、肝がんを合併して、命に関わることがあるため、早期の治療と継続的な管理がとても大切です。
参考文献
Jieun Lee, et al. Efficacy and safety of direct-acting antiviral therapy for hepatitis C virus in elderly patients (≥65 years old): A systematic review and meta-analysis. J Viral Hepat. 2022, 29, 496-517.
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“C 型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/C_v8.3_20240605.pdf,(参照 2025-05-26).
肝炎診療ガイドライン作成委員会.“B型肝炎治療ガイドライン”.日本肝臓学会編.https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/B_v4.pdf,(参照 2025-05-26).
対処法・セルフケア
慢性肝炎の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
慢性肝炎では禁酒、バランスの取れた食事、適度な運動、薬剤管理、定期検診が重要です。
慢性肝炎の場合、日常生活での注意点は、以下のものが挙げられます。
- アルコールの摂取を控える:
アルコールは肝臓に負担をかけ、肝炎を悪化させる可能性があります。ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎の患者さんは、禁酒が推奨されます。
- バランスの取れた食事:
栄養バランスの取れた食事を心がけ、過度な脂肪や糖分の摂取を控えましょう。肥満や糖尿病は肝臓に負担をかけ、肝機能を悪化させることがあります。特に肝硬変のリスクがある場合は、塩分を控え、腹水の予防を心がけます。
- 適度な運動:
適度な運動は体力維持に役立ちますが、過度な疲労を避けるように注意が必要です。倦怠感が強い場合は、無理をせず休息を取ることが大切です。
- 薬剤の注意:
自己判断で薬を服用せず、肝臓に負担をかける可能性のある薬(例えば、市販の鎮痛薬やサプリメント)を避け、服用する薬は必ず医師に相談しましょう。
- 定期的な検診:
治療を受けている場合でも、定期的な血液検査や画像診断で肝臓の状態を確認し、病気の進行や治療効果を評価することが大切です。
慢性肝炎で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬が効かない場合、治療薬の変更が主に検討されます。
慢性肝炎で薬が効かない場合、さまざまな状況があり得ます。まずは、薬が効かない理由を特定することが重要です。
慢性肝炎では原因別に治療が異なります。例えば、ウイルス性肝炎で治療の効かない場合にはウイルスの薬剤耐性が原因の場合があります。
このような場合、異なる種類の抗ウイルス薬への変更や併用療法が有効となることがあります。
特にB型肝炎では、核酸アナログの中で耐性ウイルスが現れる可能性があるため、他の薬剤に切り替えることが検討されます。
C型肝炎では、近年の治療薬(DAA)は耐性ウイルスに対しても効果的な薬剤が開発されています。
自己免疫性肝炎の場合、ステロイドやアザチオプリンなどの標準治療が効果を示さない場合には、免疫抑制薬の変更や併用療法が考慮されます。具体的には、シクロスポリンやタクロリムスなどの他の免疫抑制薬を使用することがあります。
慢性肝炎に関連するその他の質問
慢性肝炎の場合、どのような食事が望ましいですか?
特別な制限は必要ありませんが、バランスの取れた食事を心がけましょう。
肝硬変の患者さんと異なり、慢性肝炎では、肝臓の機能は保たれています。そのため健康な方と比較して特別な食事の制限は必要ありません。
しかし、肝臓の負担を減らし、体全体の健康を保つためのバランスの取れた食事を心がけましょう。
具体的な推奨内容は以下の通りです。
- ビタミンとミネラルの摂取:
特にビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEは肝機能をサポートします。これらは野菜や果物、全粒穀物から摂取するのが理想的です。抗酸化作用のある食品(例えば、緑黄色野菜やベリー類)も肝臓の保護に役立ちます。
- 脂質の制限:
高脂肪の食事は肝臓に負担をかけ、脂肪肝を悪化させる可能性があります。揚げ物や高脂肪の加工食品を避け、オリーブオイルや魚に含まれる良質な脂肪を摂取するようにしましょう。
- 塩分の制限:
特に肝硬変のリスクがある場合、塩分を控えることで腹水やむくみのリスクを減らすことができます。加工食品や塩辛い調味料の使用を避けることが推奨されます。
- アルコールの禁止:
アルコールは肝臓へのダメージを悪化させるため、避けるべきでしょう。
全体的に、肝臓に負担をかけない食生活を心がけ、バランスの取れた栄養を摂ることが肝炎の進行を防ぐ助けとなります。
医師や栄養士と相談し、個別の状況に応じた食事療法を実施することが重要です。
脂肪肝が進行して慢性肝炎になることはありますか?
はい。脂肪肝が進行して慢性肝炎になることはあります。
脂肪肝とは、肝臓に脂肪がたまりすぎている状態のことです。
その中でも、アルコールの飲みすぎが原因でない脂肪肝を、「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」と呼びます。
さらにNAFLDの中で、肝臓に炎症が起きている状態を「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」と言います。
NASHは、他の慢性肝炎と同じように、炎症が長く続くと肝臓の組織が壊れて硬くなり、肝硬変や肝がんにつながることもあります。
そのため、脂肪肝と診断された段階で放置せず、生活習慣の見直しや適切な検査・治療を受けることが大切です。
慢性肝炎はうつりますか?
B型とC型肝炎は血液や体液を介して感染しますが、日常接触では感染しません。
慢性肝炎は、その原因によって感染のリスクが異なります。ウイルス性肝炎であるB型肝炎とC型肝炎は感染を引き起こす可能性があります。
- B型肝炎:
B型肝炎は血液や体液を介して感染します。具体的には、性行為、母子感染(垂直感染)、輸血や針刺し事故、ピアスやタトゥーなどで感染するリスクがあります。ただし、日常的な接触や食事の共有などでは感染しません。予防策として、ワクチン接種が効果的です。
- C型肝炎:
C型肝炎も血液を介して感染します。過去の輸血や、注射針の共有、感染者との血液接触などが主な原因です。C型肝炎にはワクチンがないため、感染防止には血液接触を避けることが重要です。日常生活での感染は非常にまれです。
- 非ウイルス性の慢性肝炎(アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎など):
これらは感染しません。原因は体内の異常反応や生活習慣であり、他人に伝染することはありません。
慢性肝炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「慢性肝炎(B型慢性肝炎・C型慢性肝炎など)」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- むくみがありますか?
- 安静にしていても関節が痛みますか?
- 一番最近の血液検査で、肝臓の異常を指摘されましたか?
- 食欲がなく、食事量が減っていると感じますか?
- 最近、白目や体の皮ふが黄色くなっていると感じますか?
慢性肝炎に関連する病気・症状
この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03