アジソン病は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
不足している副腎皮質ホルモンを飲み薬で補う「ホルモン補充療法」が治療の中心です。生涯にわたる服薬と管理が必要になります。
アジソン病の治療は、体内で作れなくなってしまった副腎皮質ホルモンを、飲み薬として外から補う「ホルモン補充療法」が中心となります。この治療は生涯にわたって続ける必要があります。
主に、以下の2種類のホルモンを補充します。
糖質コルチコイド(コルチゾールの補充)
生命維持に不可欠なホルモンで、ストレスへの対応や血糖値・血圧の維持などに関わります。通常、「ヒドロコルチゾン(コートリルⓇなど)」という薬を、体の自然なホルモン分泌リズムに合わせて1日に2〜3回に分けて服用します。
- 副作用:薬の量が多すぎると、顔が丸くなる(ムーンフェイス)、体重増加、高血圧、高血糖、骨がもろくなるなどの「クッシング症候群」様の症状が出ることがあります。逆に少なすぎるとアジソン病の症状が現れます。適切な量を維持することが重要です。
鉱質コルチコイド(アルドステロンの補充)
体内の塩分(ナトリウム)と水分のバランスを保ち、血圧を維持するホルモンです。通常、「フルドロコルチゾン(フロリネフⓇ)」という薬を1日1回服用します。
- 副作用:薬の量が多すぎると、高血圧やむくみ、低カリウム血症などが起こることがあります。
これらの薬は、医師が定期的な血液検査でホルモン値や電解質バランスを確認しながら、患者さん一人ひとりに合った至適な量を慎重に調整します。適切に治療が行われていれば、副作用のリスクは低く、多くの患者さんは健康な方と変わらない生活を送ることができます。
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(参考文献)
Mara Carsote et al. Addison's Disease: Diagnosis and Management Strategies. Int J Gen Med. 2023, 16, 2187-2210.
Eystein S Husebye et al. Adrenal insufficiency. Lancet. 2021, 397, 613-629.
日本内分泌学会ほか. 副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針(最終版). 日本内分泌学会雑誌. 2015, 91, 1-78.
難病情報センター.“83 アジソン病”..https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/File/083-202404-kijyun.pdf,(参照 2025-12-26).
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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
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