「アジソン病」とはどのような病気ですか?
副腎皮質が破壊され、生命維持に必要なホルモンが作れなくなる病気です。倦怠感、低血圧、皮膚の色素沈着などの症状が現れます。
アジソン病は、「原発性副腎皮質機能低下症」とも呼ばれ、腎臓の上にある副腎という臓器の皮質部分が破壊されることで、生命の維持に不可欠なホルモン(コルチゾールとアルドステロン)が十分に作れなくなる病気です。
コルチゾールは、ストレスへの対応、血圧や血糖値の維持、炎症の抑制など、非常に多くの重要な働きを担っています。アルドステロンは、体内の塩分(ナトリウム)と水分のバランスを調節し、血圧を維持する働きがあります。
これらのホルモンが不足すると、体は正常な機能を保てなくなり、さまざまな症状が現れます。具体的には、極度の倦怠感や筋力低下、食欲不振、体重減少、立ちくらみや失神につながる低血圧、吐き気や腹痛といった消化器症状などです。
また、アジソン病に特徴的な症状として、皮膚や粘膜の色素沈着があります。これは、コルチゾール不足を補おうとして脳から分泌される別のホルモン(ACTH)が、メラニン色素の産生を刺激するために起こり、肘や膝、口の中などが黒ずんで見えます。
治療せずに放置すると、感染症や怪我などをきっかけに「副腎クリーゼ」というショック状態に陥り、命に関わることもあるため、早期の診断と生涯にわたるホルモン補充療法が不可欠な病気です。
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(参考文献)
Mara Carsote et al. Addison's Disease: Diagnosis and Management Strategies. Int J Gen Med. 2023, 16, 2187-2210.
Eystein S Husebye et al. Adrenal insufficiency. Lancet. 2021, 397, 613-629.
日本内分泌学会ほか. 副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針(最終版). 日本内分泌学会雑誌. 2015, 91, 1-78.
難病情報センター.“83 アジソン病”..https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/File/083-202404-kijyun.pdf,(参照 2025-12-26).
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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
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