全身性強皮症の末期症状はどのようなものがありますか?
「末期症状」という決まった定義はなく、進行時は肺や心臓の合併症に注意が必要です。
全身性強皮症の進行のしかたは病型によって異なり、注意すべき臓器の変化が知られています。
病型によって異なる進行の見通し
全身性強皮症は、皮膚や内臓に線維化(組織が硬くなる変化)が起こる病気ですが、進行のしかたは病型によって大きく異なります。びまん皮膚硬化型では、発症から5〜6年以内に皮膚硬化が進み内臓病変が現れやすいため、できるだけ早期に治療を開始し、内臓病変の合併や進行を抑えることが極めて重要とされています。一方、限局皮膚硬化型は皮膚硬化の進行がない、またはあってもごく緩やかで、肺高血圧症以外の重い内臓病変を合併することは少なく、生命予後を過度に心配する必要はないとされています(難病情報センター)。
進行した場合にみられる臓器合併症
「末期症状」という決まった医学的な定義はありませんが、病気が進行した場合に起こりうる臓器障害として、肺が硬くなる肺線維症、肺の血管の抵抗が高まる肺高血圧症、心臓を包む膜の炎症(心外膜炎)や不整脈などの心病変、そして腎臓の血管が急激に障害される強皮症腎クリーゼが知られています。特に強皮症腎クリーゼは患者さんの2〜15%に生じるまれな合併症で、非レイノー症状の発症から3〜5年以内、かつびまん皮膚硬化型で急速に皮膚硬化が進む例に多いと報告されています。
早期治療で変わりうる経過
強皮症腎クリーゼは、ACE阻害薬という薬の登場によって治療成績が大きく改善した合併症です。現在の生存率は1年で70〜82%とされ、透析が必要な重症例でも5年で50〜60%まで改善しています(Woodworth, et al. Nat Rev Nephrol. 2016)。また、早期の診断とACE阻害薬の早期開始が救命につながり、良好な経過と関連することも報告されています(Nagaraja. Curr Opin Rheumatol. 2019)。このように、臓器合併症は進行しうるものの、早い段階での診断と治療開始によって経過が変わりうる病気です。気になる症状がある場合は、自己判断で様子をみず、早めに医療機関への相談をご検討ください。
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(参考文献)
難病情報センター「全身性強皮症(指定難病51)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/4027.(参照 2026-09-07).
Woodworth TG, et al. Scleroderma renal crisis and renal involvement in systemic sclerosis.Nat Rev Nephrol. 2016;12(11):678-691.
Nagaraja V. Management of scleroderma renal crisis.Curr Opin Rheumatol. 2019;31(3):223-230.
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虎の門病院分院 腎センター内科・リウマチ膠原病科 腎臓内科
大庭 悠貴 監修
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