IgA腎症が進行した場合、寿命に影響はありますか?
IgA腎症の進行による腎機能低下は余命に影響しうるとされますが、早期治療で予後の改善が期待できます。
IgA腎症は慢性的に腎機能が低下していく可能性がある病気で、進行の程度によっては余命に影響が出ることもあります。ここでは、IgA腎症の予後や進行した場合の影響、早期治療の重要性について解説します。
IgA腎症の予後(病気の見通し)
IgA腎症は、腎臓の糸球体(しきゅうたい:血液をろ過する部分)にIgAという抗体がたまり、炎症を起こす病気です。成人の慢性糸球体腎炎のなかで最も多い疾患で、国の指定難病にもなっています(難病情報センター)。経過は人によりさまざまですが、一部の方では腎機能が徐々に低下していくことがあります。
IgA腎症が進行すると末期腎不全になる可能性
IgA腎症では、発症から10年後に15〜20%、約20年後に約40%の方が末期腎不全に進行するとされています(エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020)。末期腎不全とは、腎臓の働きが大きく低下し、自力では体内の老廃物や余分な水分を十分に排出できなくなった状態です。
IgA腎症と透析の関係
IgA腎症を含む慢性糸球体腎炎は、かつて日本で透析導入の原因疾患の第1位でしたが、治療の進歩により順位は下がっています。2022年のデータでは、透析導入の原因疾患として第3位(14.0%)となっています(日本透析医学会)。順位は下がったものの、依然として透析が必要になる主な原因のひとつです。
IgA腎症の進行による余命への影響
腎機能が低下し慢性腎臓病(CKD)が進行すると、余命に影響が出る可能性があります。海外の研究では、40歳男性の場合、腎機能が比較的保たれている方(eGFR 60以上)の余命が約30年であるのに対し、腎機能が中程度に低下した方(eGFR 30〜44)では約14年、さらに低下した方(eGFR 15〜29)では約10年と報告されています(Turin TCほか, 2012)。このように、腎機能の低下が進むほど余命は短くなる傾向があるとされています。
IgA腎症の早期治療と予後改善
IgA腎症は、早期に発見して適切な治療を行うことで、予後の改善が期待できるとされています。ステロイドやRAS阻害薬、扁桃摘出術(へんとうてきしゅつじゅつ)などの治療法の進歩により、末期腎不全への進行を抑えられるケースが増えてきました(エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020)。尿検査の異常や腎機能の低下が気になるときは、早めに医療機関への受診をご検討ください。
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(参考文献)
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虎の門病院分院 腎センター内科・リウマチ膠原病科 腎臓内科
大庭 悠貴 監修
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