夜間多尿の場合、主にどのような治療をしますか?

まず生活習慣の改善を行い、効果が不十分な場合は持病の治療や夜間多尿に対する薬物療法を検討します。

夜間多尿の治療は段階的に進められます。基本は非侵襲的で副作用の少ない「行動療法(生活習慣の改善)」から始めることが推奨されており、次に持病の治療やデスモプレシンなどが検討されます。

【行動療法(生活習慣の改善)に関して】

主に飲水・食事の調整や、むくみ対策などを行います。

飲水・食事の調整

  • 過剰な水分摂取(特に就寝2-3時間前の水分摂取)を控える
  • 夕方以降のアルコール摂取を避ける
  • 夕方以降のカフェイン摂取を避ける
  • 塩分制限(難しいが、目標は6g/日未満)

塩分を減らすと、夜間の尿量や夜間多尿指数が有意に低下する報告があります。

むくみ対策(心不全などがある場合)

  • 夕方に軽い運動(散歩、ダンベル運動、スクワットなど)
  • 就寝前に下肢を高く挙上する
  • 日中に弾性ストッキングを着用する
  • 就寝の2時間程度前にお風呂に入る

これらにより、日中に下肢に溜まった水分が夜間に血管に戻るのを軽減できます。

【持病(基礎疾患)の治療と薬物療法】

行動療法とともに持病(基礎疾患)の検査や治療、その他薬剤療法を検討します。

基礎疾患の診断と治療

心不全高血圧糖尿病、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などが原因で夜間の尿量が増えることがあるため以下のような適切な治療を実施することで、夜間の尿量が減ることがあります。

  • 心不全による体液貯留の場合:昼間(就寝6時間以上前)にループ利尿薬を投与し、夜間に入る前に水分を排泄させる
  • 睡眠時無呼吸症候群の場合:持続陽圧呼吸療法(CPAP)により、夜間多尿が改善し、夜間排尿回数が減少する可能性があります。

糖尿病や高血圧の治療薬には夜間の尿量が増える可能性があるものもあり、夜間の排尿回数が多い場合は担当の先生にも相談しましょう。

薬物療法の選択肢

保険適応の薬物療法

  • デスモプレシン(ミニリンメルトⓇ)
  • 利尿ホルモン(バソプレシン)の受容体を刺激する薬で、子どもの夜尿症や尿崩症の薬として使用されていました。

最近、男性の夜間多尿に対する効果が認められ、副作用のリスクが少ない場合に保険適応で使用できることがあります。
腎臓で水の再吸収を増やし、尿量を減らす効果がありますが、低ナトリウム血症(水中毒)のリスクがあり、特に65歳以上の方は注意が必要です。

  • 漢方薬:一部の地域では、紫苓湯や牛車腎気丸などが夜間頻尿の治療に検討されることがあります。ただし、個人差があります。

保険適応外だが、施設によって処方される可能性があるもの

  • 利尿薬 :午後(就寝の6時間以上前)に利尿薬を投与することで、就寝前に体内に蓄積された水分を排泄させ、夜間の尿量を減少させる方法が報告されています。長期投与により、腎機能障害などの有害事象があり、保険適応ではありません。
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs/COX阻害薬):夜間多尿を伴う夜間頻尿患者に対する有効性が報告されている一方で、長期的な使用による胃腸障害や腎機能障害などの副作用の報告もあり、こちらも保険適応ではありません。

夜間多尿の治療は、生活習慣や持病によって適切な方法が異なります。担当の医師とよく相談して、自分に合った治療法を見つけることが大切です。

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東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

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