夜間多尿と睡眠時無呼吸症候群の関係性を教えてください。

夜間頻尿の原因は様々ですが、睡眠時無呼吸症候群は以下のようなメカニズムがあり、夜間多尿を引き起こす重要な要因の一つとして知られています。

睡眠時の無呼吸によって夜間多尿を起こすメカニズム

睡眠中に無呼吸状態（呼吸が一時的に止まること）が起こるため、酸欠状態になり、息を吸い込む際などに胸腔内の圧力が大きく変動します。その際に心臓が圧迫され、心臓が引き延ばされたと誤認して（心臓の一部に負荷が加わって）尿をつくる利尿ホルモン(心房性ナトリウム利尿ペプチド：ANP)の分泌が促進されます。ANPは腎臓に強い利尿作用を持つため、夜間の尿産生が過剰となり、夜間多尿につながります。

他のメカニズム

睡眠時無呼吸症候群は高血圧の原因でもあり、睡眠時無呼吸症候群により引き起こされた高血圧が、さらに夜間多尿を引き起こすという複合的なメカニズムも存在します。

つまり、睡眠時無呼吸症候群は直接的なホルモン作用と、間接的な高血圧を介して、夜間多尿に関与しています。実際に睡眠時無呼吸症候群の重症度の指標（AHI：無呼吸低呼吸指数）が高いと、夜間頻尿の回数が増える傾向があります。

睡眠時無呼吸症候群の治療として、ダイエットと共に持続陽圧呼吸療法（CPAP）があり、CPAPは寝ている間に専用のマスクを通じて空気を送り込むことで、呼吸を維持することができます。そして、CPAPの着用によって、夜間頻尿のエピソードが1回以上減少したという報告もあります。

睡眠時無呼吸症候群は呼吸器内科や睡眠医学の専門医と連携して診断と治療を進めることが重要なので、気になる症状がある場合は、担当の医師に相談し、適宜紹介してもらいましょう。