抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)とは、抗利尿ホルモンが不適切に過剰分泌され、水分が体内に溜まり血液中のナトリウム濃度が低下する病気です。倦怠感、吐き気、頭痛、錯乱、けいれんなどの症状がみられます。原因不明の体調不良が続く場合は内科を受診しましょう。
福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
病気について
SIADHではホルモンが過剰に働き、体内に水が溜まりすぎるため、血液が薄まって血漿浸透圧が低下します(低浸透圧血症)。
SIADH自体の余命はなく、原因疾患によります。がんが原因なら予後は厳しく、薬剤性など一過性なら寿命に影響は少ないです。
低ナトリウム血症が進行し、頭痛や吐き気から、けいれんや昏睡といった重篤な神経症状に至ります。最悪の場合、命にかかわる危険があります。
体内の水分量を調節し、尿を濃くして量を減らすホルモンです。「利尿(尿を出すこと)」に「抗う」働きを持つことからこの名前がついています。
はい、なります。特定の抗うつ薬や抗てんかん薬、抗がん剤、痛み止めなどが、副作用としてSIADHを引き起こすことが知られています。
SIADHではホルモンが過剰分泌され、体内に水が溜まりすぎます。その結果、血液が薄まり、ナトリウム濃度が低下(低ナトリウム血症)します。
心不全はSIADHに似た低ナトリウム血症を起こしますが、別の病態です。心不全では体液が過剰になりますが、SIADHでは通常むくみはありません。
肺がんなどの悪性腫瘍、肺炎や髄膜炎、脳の病気、特定の薬剤の副作用など、原因は多岐にわたります。
抗利尿ホルモンが過剰に分泌され、体内に水が溜まりすぎる病気です。血液が薄まって低ナトリウム血症となり、さまざまな症状を引き起こします。
症状について
重度の低ナトリウム血症により、けいれん発作、深い昏睡、呼吸停止などが起こります。治療が遅れると命にかかわる危険な状態です。
主に低ナトリウム血症による症状です。軽度では倦怠感や吐き気、進行すると頭痛、錯乱、けいれん、重篤な場合は昏睡に至ります。
正確な診断はできませんが、リスクを疑うことは可能です。原因不明の倦怠感や頭痛が続き、尿量が少ない場合は医師に相談しましょう。
はい、あります。しかし、倦怠感、食欲不振、吐き気、軽い頭痛など、他の病気と区別しにくい軽微な症状であることが多いです。
診断について
受診について
ホルモン異常が専門の「内分泌内科(内分泌・代謝内科)」を受診するのが最も適切です。大学病院や地域の基幹病院が中心となります。
まずは内科や総合診療科を受診するのが一般的です。原因に応じて、内分泌内科、神経内科、呼吸器内科などの専門科と連携して治療します。
原因不明の倦怠感や吐き気、頭痛が続く場合が目安です。特に意識がもうろうとする、けいれんを起こした場合はすぐに受診が必要です。
手続きや支援について
治療について
薬について
(参考文献)
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