抗利尿ホルモン不適合分泌症候群（SIADH）は主にどのような薬で治療しますか？副作用はありますか？

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群（SIADH）の治療は、まず原因となっている病気の治療と水分制限が基本となります。薬物療法は、これらの基本的な治療で改善が見られない場合や、症状が重い場合に検討されます。

主に使われる薬は、以下の通りです。

V2受容体拮抗薬（トルバプタンなど）

現在、SIADH治療の中心的な役割を担う専門的な薬です。抗利尿ホルモン（ADH）が腎臓に作用するのをブロックすることで、尿として水分だけを排泄させる働きがあります。これにより、体内の過剰な水分が減り、薄まっていた血液のナトリウム濃度が上昇します。

• 主な副作用：口の渇き、頻尿、脱水。また、ナトリウム濃度が急激に上がりすぎると脳にダメージを与える危険があるため、入院して慎重に開始する必要があります。

高張食塩水（3%食塩水）

これは飲み薬ではなく点滴です。けいれんや意識障害など、重篤な神経症状が出ている緊急時に、血液中のナトリウム濃度を速やかに上げるために使用されます。これも急激な補正を避けるため、集中治療室（ICU）などで厳密な管理のもとで行われます。

ループ利尿薬（フロセミドなど）

尿量を増やす薬ですが、水分だけでなく塩分（ナトリウム）も一緒に排出してしまうため、単独で使われることは少なく、食塩の補充と組み合わせて慎重に使用されることがあります。

これらの薬物療法は、いずれも副作用のリスクを伴うため、必ず専門医の厳密な管理下で行われます。