抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)と血漿浸透圧の関係性を教えてください。
SIADHではホルモンが過剰に働き、体内に水が溜まりすぎるため、血液が薄まって血漿浸透圧が低下します(低浸透圧血症)。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)と血漿浸透圧は、「水と溶質(主にナトリウム)のバランス」という点で、原因と結果の関係にあります。結論から言うと、SIADHは血漿浸透圧を低下させます。
血漿浸透圧とは、簡単に言うと「血液の濃さ」を示す指標です。血液中にはナトリウムやブドウ糖、尿素といった物質(溶質)が溶けており、この濃度が血漿浸透圧を決定します。私たちの体は、この血液の濃さを常に一定の範囲(約275~295 mOsm/kg)に保つよう、非常に精密に調節されています。
抗利尿ホルモン(ADH)は、この調節機能の主役です。血漿浸透圧が高く(血液が濃く)なるとADHが分泌され、腎臓での水分再吸収を促して血液を薄めます。逆に血漿浸透圧が低く(血液が薄く)なるとADHの分泌が止まり、尿として水分を排泄して血液を濃くします。
しかし、SIADHでは、この調節システムが破綻します。血漿浸透圧がすでに低い(血液が薄い)にもかかわらず、ADHが不適切に分泌され続けてしまいます。その結果、腎臓はさらに水分を溜め込み、血液はどんどん薄まっていきます。
この状態を「低浸透圧血症」と呼び、SIADHの診断における必須の所見となります。SIADHでは、血漿浸透圧が低下しているにもかかわらず、尿の浸透圧は血液よりも濃い(尿が濃縮されている)という矛盾した状態が見られるのが特徴です。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)について、特に知りたいことは何ですか?
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(参考文献)
Goce Spasovski et al. Clinical practice guideline on diagnosis and treatment of hyponatraemia. Nephrol Dial Transplant. 2014, Suppl 2, i1-i39.
Horacio J et al. The Syndrome of Inappropriate Antidiuresis. N Engl J Med. 2023, 389, 1499 - 1509.
.“バソプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断と治療の手引き”.医学情報・医療情報 UMIN.https://square.umin.ac.jp/kasuitai/guidance/SIADH.pdf,(参照 2025-10-27).
有馬寛ほか.“間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版”.日本内分泌学会.https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.phpfile=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00818.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b,(参照 2025-10-27).
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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
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