抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)と心不全の関係性を教えてください。

心不全はSIADHに似た低ナトリウム血症を起こしますが、別の病態です。心不全では体液が過剰になりますが、SIADHでは通常むくみはありません。

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)と心不全は、どちらも「低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度が低い状態)」を引き起こすことがあるため、しばしば関連づけて考えられますが、その背景にあるメカニズムは異なります。

【似ている点】

どちらの病態も、抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が増加し、体内に水分が溜まりやすくなることで低ナトリウム血症を引き起こします。

【決定的な違い】

そのADHが増加する「理由」と、「体全体の水分バランス」が根本的に異なります。

SIADH

体の水分量は正常、あるいはむしろ少し多めであるにもかかわらず、なんらかの原因(がんや薬剤など)によってADHが不適切に分泌され続けてしまいます。その結果、水だけが過剰に溜まり、血液が薄まります。通常、むくみ(浮腫)は見られません。

心不全

心臓のポンプ機能が低下するため、全身に血液をうまく送り出せず、有効な循環血液量が減少します。すると、体はこれを「脱水状態だ」と勘違いし、ADHの分泌を増やして水分を溜め込もうとします。これは体にとっては生理的な(合理的な)反応です。結果として、SIADHと同様に低ナトリウム血症になりますが、体全体としては水分と塩分が過剰な状態であり、足のむくみ(浮腫)や肺に水が溜まる(肺うっ血)といった明らかな体液過剰のサインが見られます。

このように、心不全はSIADHと非常によく似た検査結果(低ナトリウム血症)を示すことがありますが、その原因と体の状態はまったく異なります。治療法も異なるため、医師はむくみなどの身体所見や、心臓の機能を示す血液検査(BNPなど)の結果を基に、両者を正確に鑑別診断します。

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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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