抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の場合、主にどのような治療をしますか?
原因疾患の治療と、体内の水分を減らすための水分制限が基本です。重症の場合は食塩水の点滴や専門的な薬(V2受容体拮抗薬)を使います。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の治療は、原因となっている病気の治療と、体内に溜まりすぎた水分を排出し、薄まった血液のナトリウム濃度を正常に戻すことを目的とします。治療法は、低ナトリウム血症の重症度や症状の有無によって異なります。
原因疾患の治療
SIADHは、肺がんや肺炎、脳の病気、薬剤の副作用など、なんらかの原因があって発症します。可能であれば、この根本原因を治療することが最も重要です。原因が取り除かれれば、SIADHも改善します。
水分制限
軽症から中等症の場合や、症状がない場合の基本的な治療です。体内にこれ以上水分を溜め込まないようにするため、1日に摂取する水分量(飲み物、汁物など)を500〜1000mL程度に厳しく制限します。これだけでナトリウム濃度が改善することも少なくありません。
薬物療法
水分制限だけでは改善しない場合や、症状が強く緊急性がある場合に薬物療法を行います。
- 高張食塩水(3%食塩水)の点滴:錯乱やけいれんなど重篤な神経症状がある場合に、血液中のナトリウム濃度を速やかに上げるために行います。ただし、急激に上げすぎると脳にダメージを与える危険があるため、入院して厳重な管理のもとで行われます。
- V2受容体拮抗薬(トルバプタンなど):抗利尿ホルモン(ADH)が腎臓に作用するのをブロックする専門的な薬です。これにより、腎臓からの水分排泄が促され(水だけを尿として出す)、ナトリウム濃度が上昇します。
これらの治療は、ナトリウム濃度を急激に変動させないよう、専門医が慎重に管理しながら進めていきます。
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(参考文献)
Goce Spasovski et al. Clinical practice guideline on diagnosis and treatment of hyponatraemia. Nephrol Dial Transplant. 2014, Suppl 2, i1-i39.
Horacio J et al. The Syndrome of Inappropriate Antidiuresis. N Engl J Med. 2023, 389, 1499 - 1509.
.“バソプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断と治療の手引き”.医学情報・医療情報 UMIN.https://square.umin.ac.jp/kasuitai/guidance/SIADH.pdf,(参照 2025-10-27).
有馬寛ほか.“間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版”.日本内分泌学会.https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.phpfile=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00818.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b,(参照 2025-10-27).
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最終更新日:
福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
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