抗利尿ホルモン不適合分泌症候群（SIADH）の末期症状はどのようなものがありますか？

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群（SIADH）の「末期症状」とは、病気によって引き起こされた重度の低ナトリウム血症が治療されずに進行し、命に危険が及んでいる状態を指します。

血液中のナトリウム濃度が極端に低下すると（一般に120mEq/L未満）、血液と脳細胞との間の水分バランスが大きく崩れ、脳が水を含んでむくんでしまう「脳浮腫」という状態になります。これにより、脳の正常な機能が著しく障害され、以下のような非常に重篤な神経症状が現れます。

• けいれん発作：脳の神経細胞が異常に興奮し、全身のけいれんを引き起こします。
• 昏睡：呼びかけや痛みなどの刺激にまったく反応しない、深い意識障害の状態に陥ります。
• 呼吸停止：脳の中でも生命維持に不可欠な部分である脳幹が圧迫されると、呼吸をコントロールする中枢が機能しなくなり、自発呼吸が停止してしまうことがあります。

これらの症状は、急速に進行することがあり、緊急の治療が行われなければ死に至る可能性が非常に高い、極めて危険な状態です。

SIADHは軽度のうちは、倦怠感や吐き気といった症状しか見られませんが、背景にある原因や体の状態によっては急速に悪化することがあります。そのため、早期診断と慎重かつ適切な治療が非常に重要となります。