抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の診断基準を教えてください。
血液検査で低ナトリウム血症と低浸透圧を確認し、尿が薄まっていないこと、他の原因がないことなどを総合的に判断して診断します。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)には、単一の検査で診断を確定できるものはなく、血液検査や尿検査の結果、身体所見などを組み合わせて総合的に診断します。診断のポイントは、「低ナトリウム血症(血液の塩分濃度が低い)」の原因が、ADHの不適切な分泌以外にないことを証明していくことにあります。
一般的に用いられる主な診断基準は、以下の通りです。
【必須となる検査所見】
- 血漿浸透圧の低下(低浸透圧血症):血液検査で、血液が水で薄まった状態(目安として275 mOsm/kg未満)であることを確認します。
- 尿浸透圧が血漿浸透圧より高い:血液が薄まっているなら、体は水分を排出しようとして尿は薄くなるはずです。しかしSIADHではADHが効きすぎているため、尿が不適切に濃縮されています(目安として尿浸透圧 > 100 mOsm/kg)。
- 尿中ナトリウム濃度が高い:体内に水分が溜まっているにもかかわらず、腎臓がナトリウムを排出し続けている状態(目安として30 mEq/L以上)を確認します。
【除外すべき他の原因】
上記の所見があっても、他の病気が原因である可能性を否定する必要があります。
- 明らかな体液量異常がない:心不全や肝硬変による「むくみ(浮腫)」や、下痢・嘔吐による「脱水」がないことを確認します。
- 腎機能、副腎機能、甲状腺機能が正常であること。
- 低ナトリウム血症の原因となる薬剤(特に利尿薬)を使用していないこと。
これらの条件をすべて満たした場合に、SIADHと診断されます。
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(参考文献)
Goce Spasovski et al. Clinical practice guideline on diagnosis and treatment of hyponatraemia. Nephrol Dial Transplant. 2014, Suppl 2, i1-i39.
Horacio J et al. The Syndrome of Inappropriate Antidiuresis. N Engl J Med. 2023, 389, 1499 - 1509.
.“バソプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断と治療の手引き”.医学情報・医療情報 UMIN.https://square.umin.ac.jp/kasuitai/guidance/SIADH.pdf,(参照 2025-10-27).
有馬寛ほか.“間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版”.日本内分泌学会.https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.phpfile=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00818.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b,(参照 2025-10-27).
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最終更新日:
福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
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