甲状腺機能障害は主にどのような薬で治療しますか？副作用はありますか？

甲状腺機能低下症の場合、主にレボチロキシン（チラーヂンⓇ）を補充して治療します。不足している甲状腺ホルモン（T4）を補う薬で、1日1回の経口投与です。年齢や心疾患の有無により開始用量を調整し、甲状腺刺激ホルモン（TSH）が正常範囲に入るまで数週間ごとに用量を調整します。副作用には投与量過剰による動悸、不眠、体重減少、骨量減少、心房細動などがあり、血中TSH測定によるモニタリングが必要です。TSHが10を超えず症状がない潜在性甲状腺機能低下症の場合、薬は使わず経過を見ることが多いです。

バセドウ病や中毒性結節性甲状腺腫などによる甲状腺機能亢進症の主な治療法は3つです。最も一般的な治療法は、 抗甲状腺薬（メチマゾール、プロピルチオウラシル）の投与で甲状腺ホルモンの合成を抑えます。その他に、 放射性ヨウ素内用療法と手術があります。抗甲状腺薬の副作用は肝機能障害、薬疹、無顆粒球症、関節痛などがあります 。

無痛性甲状腺炎・亜急性甲状腺炎など甲状腺中毒症は、甲状腺細胞の破壊によって細胞内に貯蔵されているホルモンが一時的に血液中へ漏れ出る病気で、抗甲状腺薬は無効です。無痛性甲状腺炎の治療は対症療法（β遮断薬（頻脈を抑える不整脈の薬）で動悸を緩和するなど）が中心です。

亜急性甲状腺炎の炎症が強く発熱や頸部痛が見られる場合、鎮痛剤（NSAIDs）またはステロイド剤を使用します。

副作用はそれぞれ、
β遮断薬：徐脈・低血圧、倦怠感、めまい、喘息の悪化
NSAIDs：胃腸障害、腎機能障害
ステロイド剤：体重増加、むくみ、感染リスクの上昇
などがあります。