甲状腺眼症で目が出てきたり、ものが二重に見えたりするのはなぜですか?
自己免疫の炎症で眼窩の脂肪が増え、目を動かす筋肉が腫れるためです。
眼球突出と複視は、いずれも眼球の周りの組織が腫れることで説明されます。
バセドウ病で目が出る(眼球突出)仕組み
甲状腺眼症は、バセドウ病やまれに橋本病に伴ってみられる眼窩組織の自己免疫性の炎症性疾患です。眼窩とは眼球が収まっている骨のくぼみで、眼瞼(まぶた)、涙腺、外眼筋(眼球を動かす筋肉)、脂肪組織などが含まれます。ここで線維芽細胞が活性化すると、水を抱え込む糖であるグルコサミノグリカンが産生され、脂肪組織が増え、外眼筋が腫れて太くなります(甲状腺眼症診療の手引き)。眼窩は骨に囲まれた閉じた空間のため、中身が増えると逃げ場が前しかありません。その結果、眼球が前方に押し出されます。これが眼球突出です。
さらに、まぶたを持ち上げるミュラー筋が縮んで上眼瞼後退(上まぶたが上がったままになる状態)が加わると、白目の見える範囲が広がって目立ちやすくなります。あわせて涙の分泌が低下し、結膜や角膜の障害につながることもあります(甲状腺眼症診療の手引き)。
ものが二重に見える(複視)が起こる原因
外眼筋にリンパ球やマクロファージといった免疫の細胞が入り込んで炎症が起こると、筋肉が腫れて伸び縮みしにくくなります。炎症が続くと筋肉が線維化し、硬く縮んだ状態になります。左右の目を揃えて動かす働きが損なわれるため、見ている物が二重に見える複視が生じます。重症例では眼球運動障害や視力低下をきたし、生活の質が著しく損なわれるとされています(甲状腺眼症診療の手引き)。
眼球突出・複視の程度の目安と悪化を防ぐために
重症度の評価では、18mm以上の眼球突出や、周辺を見たときや正面を見たときに常に生じる複視は、中等症から重症の目安とされています(甲状腺眼症の診断基準と治療指針2023)。また、喫煙者では眼症の発症率が高く、症状もより重いことが示されており、禁煙により眼球突出や複視の発症リスクが軽減するとされています。
急激な視力低下、色覚の異常、急激な眼球突出は至急の専門的な診療が必要な症状とされているため、こうした変化があるときは医療機関への相談をご検討ください。
甲状腺眼症について、特に知りたいことは何ですか?
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(参考文献)
日本甲状腺学会・日本内分泌学会「甲状腺眼症診療の手引き Digest版」https://www.j-endo.jp/uploads/files/edu/koujyousengansyo_digest.pdf.(参照 2026-10-17).
日本甲状腺学会・日本内分泌学会「バセドウ病悪性眼球突出症(甲状腺眼症)の診断基準と治療指針2023(第3次案)」https://www.j-endo.jp/uploads/files/edu/koujyousengansyo_3.pdf.(参照 2026-10-17).
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東北大学病院 眼科
山口 知暁 監修
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