アルツハイマー型認知症
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
アルツハイマー型認知症とは
65才以上の高齢者で最も多い認知症です。脳の神経細胞が徐々に減少する疾患でアミロイドβと呼ばれる異常タンパク質の蓄積と神経原線維変化が原因とされます。新しい事が記憶できず、近い記憶から徐々に障害されます。「物取られ妄想」や「嫉妬妄想」などが出ることがあります。質問をしてわからない時に振り返って周りの人に助けを求める「振り返り徴候」も認めます。
「アルツハイマー型認知症」とはどのような病気ですか?
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、もの忘れなどが進む病気です。
アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症は、認知症の原因疾患の中で最も多く、全体の約67.6%を占めるとされています(厚生労働省)。脳の神経細胞が徐々に減少し、脳が萎縮(いしゅく)していくことで、記憶力や判断力といった認知機能が低下していく病気です。
アルツハイマー型認知症の原因
アルツハイマー型認知症では、脳の中にアミロイドβ(ベータ)というタンパク質が異常にたまり、老人斑(ろうじんはん)と呼ばれる病変がつくられます。さらに、リン酸化タウというタンパク質が神経細胞の中で塊をつくり、神経原線維変化(しんけいげんせんいへんか)という病変が生じます(厚生労働省)。これらの変化によって神経細胞が障害を受け、脳が萎縮していきます。こうした脳の変化は、症状が現れる何年も前から始まっているとされています(認知症疾患診療ガイドライン2026)。
アルツハイマー型認知症の症状
初期には、もの忘れなどの記憶障害で気づかれることが多いとされています(厚生労働省)。代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 記憶障害: 最近の出来事を忘れる、同じことを繰り返し聞くなど、近い過去の記憶が保てなくなります
- 見当識障害(けんとうしきしょうがい): 今日の日付や自分がいる場所、周囲の人が誰かがわからなくなります
- 実行機能障害: 料理や買い物など、段取りを立てて物事を進めることが難しくなります
これらの症状は少しずつ進行し、日常生活に支障をきたすようになります。
アルツハイマー型認知症の進行
アルツハイマー型認知症は、発症前の段階、軽度認知障害(MCI)の段階、認知症の段階と、ゆっくり進行していくとされています(認知症疾患診療ガイドライン2026)。進行すると、着替えや入浴といった日常の動作にも介助が必要になることがあります。もの忘れが増えた、日付や場所がわからなくなったなど、気になる変化がある場合は、早めに医療機関への受診をご検討ください。
アルツハイマー型認知症の症状
アルツハイマー型認知症の初期症状のチェックはできますか?
物忘れ、日時の概念の混乱、易怒性(怒りっぽくなる)、意欲や自発性の低下などの初期症状が見られる場合、アルツハイマー型認知症の可能性があります。
アルツハイマー型認知症では、主に以下の4つの症状が早めに出やすいです。
1.物忘れ
物忘れでは特に最近のことを忘れるようになり、
- 約束を忘れる
- 話したことを忘れて何度も同じ話を繰り返す
- 物をどこに置いたか忘れる
などが見られます。
2.日時の概念が混乱してしまう
具体的には
- 何回も日時や曜日を尋ねるようになる
- お稽古事のように慣れ親しんでいるはずのイベントの日時や曜日を確認するようになる
などが見られます。
3.易怒性(怒りっぽくなる)
- 些細なことで怒りっぽくなる
- イライラしたり不機嫌になったりする
などが見られます。
4.意欲や自発性が低下する
- 以前よりもぼーっとする時間が増えた
- 外出しなくなった
などで気付かれることが多いです。
重度のアルツハイマー型認知症の場合、どのような症状になりますか?
記憶障害だけでなく、日常生活のさまざまな動作にも障害をきたし、肺炎や転倒・骨折などのリスクが高まります。
アルツハイマー型認知症(AD)が進行すると、記憶障害が悪化するだけでなく、日常生活のさまざまな動作にも支障が出てきます。
例えば、買い物や料理などの複雑な動作(手段的ADL)や、食事や着替えなどの基本的な動作(基本的ADL)が難しくなります。その結果、一人暮らしが難しくなり、介護が必要になることがあります。
また、ADの進行中には、
が現れることがあります。
さらに後期になると、食事や飲み込みが難しくなったり、肺炎や転倒・骨折などのリスクが高まると言われています。
アルツハイマー型認知症の中核症状を教えてください。
アルツハイマー型認知症の中核症状には、記憶障害や実行機能障害などがあります。
アルツハイマー型認知症の中核症状には以下の症状があります。
- 記憶障害(記憶力の低下):新しいことがらを覚えるのが難しくなります。また、個人が経験した出来事に関する記憶が障害されることもあります。一方で、昔の記憶や体で覚えたことは比較的保たれます
- 認知能力の低下:判断や思考、情報処理が難しくなることです
- 実行機能障害(計画や実行の難しさ):計画を立てたり、そのための手順を考えて行動することが難しくなることです。組織化したり抽象化したりすることも難しくなります
- 失行(動作がうまくできない状態):体に問題がないのに、箸の使い方やズボンの履き方などの動作を遂行する能力が障害されることです
- 失認(物や人を認識できない):視ることの感覚は障害されていないのに、目の前の物や人を正しく認識できなくなることです
- 失語(言葉がうまく使えない):物や人の名前が出てこなかったり、読み書きが障害されたりします
認知症の進行度によって症状の内容や程度が異なるため、認知症の人を「わからない人」と決めつけず、進行状況を確認することが大切です。
アルツハイマー型認知症ではどのような症状がありますか?
認知機能の低下、判断力・遂行力の低下、書き間違いなどの言語機能障害、正しく物を認識できない視空間認知障害などを起こします。
アルツハイマー型認知症では、
- 物忘れ
- 自分は病気ということが分からない(病識欠如)
- 自発性低下
- 書き間違い・言葉を忘れてしまうなどの言語機能障害
- 正しく物を認識できない(視空間認知障害)
- 一連の動作が行えない(失行)
など、いわゆる認知機能障害の症状を起こします。これらの症状は徐々に進行し、日常生活に支障をきたします。
その他にも
などの精神症状も現れます。
アルツハイマー型認知症の終末期ではどのような症状が現れますか?
終末期には家族の認識や会話が困難になり、寝たきりの状態となります。
アルツハイマー型認知症は、記憶や判断力が少しずつ低下していく進行性の病気です。認知症疾患診療ガイドライン2026では、アルツハイマー病の進行をプレクリニカル期・MCI期・認知症期(軽度・中等度・重度)の連続体として定義しています。終末期はこのうち重度に該当し、国際的な重症度分類ではFASTステージ7(非常に重度な認知機能低下)に相当します。終末期の期間は数週間から数年間続くとされています(Alzheimer's Association)。
アルツハイマー型認知症の終末期に現れる認知機能の変化
終末期になると、認知機能の低下がさらに進みます。具体的には以下のような変化がみられます。
- 家族や親しい人の顔や名前がわからなくなる
- 自発的な言葉がほとんど出なくなり、会話ができなくなる
- 周囲の環境に対する反応が乏しくなる
- 微笑むなどの表情をつくることも難しくなる
コミュニケーションは非言語的な手段(表情やタッチなど)に限られるようになります(Alzheimer's Association)。
アルツハイマー型認知症の終末期における身体機能の低下
認知機能とともに身体機能も著しく低下します。厚生労働省の資料によると、歩行障害から次第に寝たきりの状態へ移行します。主な身体症状は以下のとおりです。
- 筋肉が硬くなる(筋固縮)
- 関節が固まって動かしにくくなる(関節拘縮)
- 座った姿勢や頭を支えることが困難になる
- 飲み込む力が弱くなる(嚥下障害)
- 食欲が低下し、十分な栄養が摂れなくなる
このように、日常のほぼすべての動作において介護が必要な状態となります(Alzheimer's Association 日本語版)。
アルツハイマー型認知症の終末期に起こりやすい合併症
嚥下障害が進むと、食べ物や唾液が気管に入り込みやすくなり、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こすリスクが高まります。厚生労働省の資料では、終末期には肺炎や全身の衰弱が死因となりうることが示されています。また、寝たきりの状態が続くことで皮膚がもろくなり、褥瘡(じょくそう:床ずれ)が生じやすくなります(Alzheimer's Association)。ご家族や周囲の方が症状の変化に気づいたときは、早めに医療機関への受診をご検討ください。
参考文献
日本神経学会監修. 認知症疾患診療ガイドライン2026. 医学書院. 2026
Alzheimer's Association "Late-Stage Caregiving" https://www.alz.org/help-support/caregiving/stages-behaviors/late-stage,(参照 2026-08-10).
Alzheimer's Association「アルツハイマー病の段階」(日本語版)https://www.alz.org/asian/about/stages.asp?nL=JA&dL=JA,(参照 2026-08-10).
厚生労働省.“認知症ケア法-認知症の理解”.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf,(参照 2026-08-10).
アルツハイマー型認知症の原因
アルツハイマー型認知症になるメカニズムを教えてください。
脳内の特定のタンパク質の異常や減少が原因で神経細胞がうまく働かなくなり、記憶や認知機能に障害が出る病気です。
アルツハイマー型認知症のメカニズムは以下の通りです。
- 神経原線維の変化:脳の神経細胞内でタウ蛋白というタンパク質が異常に蓄積し、神経細胞がうまく働かなくなります
- 老人斑:アミロイドβペプチド(Aβ)が重合したアミロイド線維の細胞外腔への蓄積
- 大脳皮質の神経細胞の脱落
- アチルコリンの減少:脳内のアセチルコリンという物質が減少し、神経細胞がうまく働かなくなります
これがアルツハイマー型認知症の主な原因とされています。
このように、アルツハイマー型認知症は脳内の特定のタンパク質の異常や減少が原因で神経細胞がうまく働かなくなり、記憶や認知機能に障害が出る病気です。
アルツハイマー型認知症の原因は何がありますか?
原因は不明ですが、脳にβアミロイドというタンパク質が異常に蓄積することが一因です。遺伝性もあると考えられています。
アルツハイマー型認知症のほとんどは、原因不明(孤発性)です。
アルツハイマー型認知症は多くは70~80歳代から発症しますが、50~60歳代から発症する方(若年性アルツハイマー型認知症)もいます。
孤発性のアルツハイマー型認知症
孤発性の場合のリスク因子として、
- 加齢
- うつ
- ダウン症
- 喫煙
- 頭部の怪我
- 認知症の家族歴
などが知られています。
若年性アルツハイマー型認知症
若年性アルツハイマー型認知症の約10%程度が遺伝子の異常が原因であると言われています。原因遺伝子として、
- アミロイド前駆体タンパク質(APP)
- プレセニリン1遺伝子(PSEN1)
- プレセニリン2遺伝子(PSEN2)
の3つが挙げられます。
アルツハイマー型認知症の検査・診断
アルツハイマー型認知症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
アルツハイマー型認知症になりやすい人の特徴に、以下が挙げられます。
- 高齢な方
- 家族にアルツハイマー型認知症の方がいる方
- 糖尿病の方
以下のような症状がある場合、アルツハイマー型認知症である可能性があります。
- やる気がなくなった
- 何年かかけてゆっくり物忘れ症状が進んでいる
- 物の名前が分からなくなった
- 以前はできていたことができなくなった(買い物や散歩、着替え)
- 見たものが何か認識できない
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできますのでご活用ください。
アルツハイマー型認知症のMCIスクリーニング検査とは何ですか?
認知機能の軽い低下を早期に見つけるための検査です。
アルツハイマー型認知症のMCI(軽度認知障害)スクリーニング検査は、認知機能の軽い低下を早期に見つけるための検査です。主にMoCA(モントリオール認知評価)が用いられ、記憶だけでなく、視空間認知や注意力、言語機能も評価できるため、MCIの検出に有効とされています。MoCAでは感度80~100%、特異度50~87%と報告されています。
最近では、MCIのバイオマーカー(目印)とされる物質(リン酸化タウpT217およびpT217/Aβ42)や栄養状態に関わる項目を測定して、アルツハイマー型MCIのリスクを判定する血液検査も登場しています。しかし、現時点では無症候の人のスクリーニング検査として推奨されていません。スクリーニング検査としては、あくまでも補助的な位置づけにとどまります。
参考文献
.“認知症診療ガイドライン2017 第6章 ”..https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl201706.pdf,(参照 2025-12-15).
.“知っておきたい認知症の知識”.政府広報オンライン.https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html,(参照 2025-12-15).
厚生労働省.“認知症を理解する”..https://www.mhlw.go.jp/seisaku/19.html,(参照 2025-12-15).
池内 健ほか.“認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカーの適正使用ガイドライン”..https://dementia-japan.org/wp-content/uploads/2025/04/guideline_20250331.pdf,(参照 2025-12-15).
アルツハイマー型認知症の遺伝子検査は受けられますか?
通常の診断目的では受けられません。
アルツハイマー型認知症の遺伝子検査は、通常の診断目的では受けられません。アルツハイマー病の多くは、遺伝子が直接の原因となって発症することは稀です。一方、ごくまれな家族性アルツハイマー病では、APP、PSEN1、PSEN2という遺伝子の変異が原因で若いうちに発症することが分かっています。しかし、これらの遺伝子検査は研究や専門的な遺伝カウンセリングを目的として行われ、保険適用外です。
2025年、APOE遺伝子検査に使われる一部の検査キットが日本で承認されました。しかし、発症予測や診断のためではなく薬物治療の副作用リスク評価を目的とした検査に限定されます。ガイドラインでは診断確定後の治療選択時に医師と相談して検査することを推奨しており、スクリーニング検査としては行われません。
参考文献
.“認知症診療ガイドライン2017 第6章 ”..https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl201706.pdf,(参照 2025-12-15).
.“知っておきたい認知症の知識”.政府広報オンライン.https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html,(参照 2025-12-15).
厚生労働省.“認知症を理解する”..https://www.mhlw.go.jp/seisaku/19.html,(参照 2025-12-15).
関島 良樹ほか.“認知症に関する APOE 遺伝学的検査の適正使用ガイドライン”..https://dementia-japan.org/wp-content/uploads/2025/04/apoeguideline2025.pdf,(参照 2025-12-15).
アルツハイマー型認知症の検査費用はいくらですか?
保険適用の有無や負担割合、受ける検査によって異なります。詳細は医療機関に確認しましょう。
保険適用の有無や負担割合、受ける検査によって異なります。詳細は医療機関に確認しましょう。保険適用される検査を行う場合、認知機能検査やCTやMRIのような画像検査、血液検査などから医師が必要と判断したものが行われ、合計数千円〜数万円程度が目安です。
一方、保険適用外になる特別な検査を受ける場合、自己負担額は数十万単位と高額になることもあります。また、特定の条件下のみ保険適用になる検査もあるなど、条件によって大きく変動します。具体的な費用が知りたい場合、受診する医療機関に問い合わせるのが確実です。
参考文献
.“認知症診療ガイドライン2017 第6章 ”..https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl201706.pdf,(参照 2025-12-15).
.“知っておきたい認知症の知識”.政府広報オンライン.https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html,(参照 2025-12-15).
厚生労働省.“認知症を理解する”..https://www.mhlw.go.jp/seisaku/19.html,(参照 2025-12-15).
.“令和6年 医科診療報酬点数表 ”.別表第一.https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf,(参照 2025-12-15).
アルツハイマー型認知症の検査方法を教えてください。
CT検査や血液検査、胸部X線などの検査を行い診断します。
アルツハイマー型認知症の診断には病歴聴取と身体的および神経学的診察が重要です。
まずは検査の前に、患者さんご本人や介助者など身近な方からの病歴の聴取が重要です。既往歴や服用している薬剤、うつ状態の有無、アルコールの摂取歴は重要な情報になります。
スクリーニングとして、 Mini-Mental State Examination(MMSE)や長谷川式簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)が実施されることもあります。
そして、意識障害やほかの病気がないかを確認するための全身の診察と、各種の検査が実施されます。
身体診察
神経学的所見の確認など、全身の診察が行われます。また、意識障害の有無も確認されます。
形態画像検査(CT検査・MRI検査)
アルツハイマー型認知症を診断するためには、他の中枢神経系疾患ではないことを確認する必要があります。脳の画像を撮影して、明らかな脳血管障害(脳出血など)や腫瘍、他の神経系変性疾患(血管性認知症や前頭側頭型認知症など、他の認知症)がないことを確認します。
血液検査
血液検査では一般的な血算・生化学検査のほか、甲状腺機能、ビタミン B1、B12、葉酸、梅毒、血糖値を確認し、肝硬変が疑われれば肝炎ウイルスやアンモニア、大量飲酒者であればアルコール濃度などを確認することもあります。
胸部X線と心電図
心臓や肺の状態、腎臓や肝臓の機能障害の有無、脱水や栄養不足の有無など全身状態の確認をします。
このように、アルツハイマー型認知症の診断には多くの検査が必要となります。
アルツハイマー型認知症の治療・対処法
アルツハイマー型認知症への対処法は?
認知症には様々な原因があり、まずは認知症外来などを受診し専門医の診断を受ける必要があります。アルツハイマー型認知症の診断となった場合、変性疾患のため進行を止めることはできませんが、進行を少しでも緩やかにする薬剤の治療を受けることができます。
アルツハイマー型認知症の場合、主にどのような治療をしますか?
根本的な治療はありません。脳の神経伝達を良くする薬や抗精神病薬、睡眠薬などを使用し、対症療法を行います。
現在、アルツハイマー型認知症の根本的な治療はありません。
- 脳の神経伝達を改善する薬や抗精神病薬
- 睡眠薬などを使用して症状を軽減させる対症療法
が主となっています。
一方で、たまってきたアミロイドβの除去を促進する新薬のレカネマブ(レケンビⓇ)が、2023年12月に保険適用薬として日本で処方できるようになりました。
この新薬が投与できるのは「アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症」とされており、まだ処方できる医療機関は少なく、高額な薬です。
このため、投与を考える場合には認知症専門外来がある病院へ問い合わせることが望ましいです。
受診の目安・何科を受診するべきか
アルツハイマー型認知症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
神経内科または精神科を受診してください。物忘れが激しくなったと感じる時は、まずはかかりつけ医に相談してください。
神経内科または精神科の受診をおすすめします。
また、専門外来として、物忘れ外来がある病院もありますので、そちらに相談されるのもよいかと思います。
早期診断・早期治療をしていくことが重要なので、物忘れの症状があると感じた時は、早めに病院を受診してください。かかりつけ医がある場合は、まずそちらへ相談してください。
アルツハイマー型認知症の専門医がいる近くの病院はありますか?
アルツハイマー型認知症の専門医がいる病院を見るアルツハイマー型認知症の薬
アルツハイマー型認知症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
主に抗認知症薬(症状改善薬)を使用します。重篤な副作用はないとされていますが、徐脈(脈拍がゆっくりになること)や、吐き気などの消化器症状が報告されています。
主には認知症の進行を遅らせる抗認知症薬(症状改善薬)で治療し、
- ドネペジル
- ガランタミン
- リバスチグミン
- メマンチン
の4種類があります。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬という種類の薬で、主な副作用は吐き気・食欲低下・徐脈などです。
ドネペジルは内服薬・貼付薬があり、ガランタミンは内服薬、リバスチグミンは貼付薬です。貼付薬はかゆみが出ることもあります。
NMDA受容体阻害薬
メマンチンはNMDA受容体阻害薬という種類の内服薬で、副作用はめまい・頭痛などです。
抗認知症薬それぞれに特徴があるため、その方の症状や状態、併発している病気、副作用に応じて薬を選択していきます。
また、精神症状に関しては、抗精神病薬、睡眠薬などで治療します。
その他、レカネマブ(レケンビⓇ)という新薬が2023年12月に承認申請され、処方可能となりました。これは、たまってきたアミロイドβの除去を促進するという新しいタイプの薬です。点滴薬であり、副作用としては点滴による反応(頭痛、悪寒、発熱、吐き気、嘔吐などの症状)が最も多く、その他、画像検査上で脳のむくみや微小出血などの異常所見が見られることが報告されており、「アミロイド関連画像異常」と呼ばれます。
ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)では、どのような副作用がみられますか?
吐き気や食欲低下などのほか、重い副作用として失神や脈の乱れ、肝炎などがあらわれることがあります。
ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)で比較的よくみられる副作用として、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢 などが報告されており、重い副作用として失神(短時間、意識を失って倒れる)や心臓の異常(徐脈、心ブロック、QT延長など)等があげられています。以下のような症状に注意してください。
【重大な副作用】
- 失神(0.1%):短時間、意識を失い倒れる。
- 徐脈(1.1%)、心ブロック(1.3%)、QT延長(0.9%):めまい、息切れ、動悸などの症状がみられます。
- 急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明):発熱、皮膚が赤くなる、発疹などの症状がみられます。
- 肝炎(頻度不明):身体がだるい、嘔吐、発熱、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状がみられます。
- 横紋筋融解症(頻度不明):脱力感、手足のしびれやこわばり、筋肉の痛みなどの症状がみられます。
【その他報告されている副作用(頻度:5%以上のもの)】
参考文献
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 添付文書 2025年6月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/4310101190019F10283_02,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 患者向医薬品ガイド 2024 年4月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/4310101190019F10283_01G.pdf,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年6月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/3/431010_1190019F1028_3_002_1F.pdf,(参照 2026-06-18).
ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)には、飲み合わせてはいけないもの(禁忌)はありますか?
現在、他の薬との飲み合わせで完全に禁止されているもの(併用禁忌)は設定されていません。
現在のところ、ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)と一緒に飲んではいけない「併用禁忌」のお薬は設定されていません。
しかし、一緒に飲む際に「注意」が必要なお薬(併用注意)がいくつかあります。
パロキセチン、イトラコナゾール、エリスロマイシンなど
一緒に飲むと、ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)の分解が邪魔されて血液中の濃度が上がり、吐き気などの副作用が出やすくなるおそれがあります。
心臓のお薬(ジゴキシン、β遮断剤など)
一緒に飲むと、脈が遅くなるなどの影響が強く出すぎるおそれがあります。
痛み止めのお薬(非ステロイド性消炎鎮痛剤)
胃腸の症状が悪化するおそれがあります。
その他、腸の働きや尿の排出を助けるお薬など
他にお薬をもらっている場合や、新しく使い始める場合は、安全のため必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。
参考文献
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 添付文書 2025年6月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/4310101190019F10283_02,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 患者向医薬品ガイド 2024 年4月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/4310101190019F10283_01G.pdf,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年6月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/3/431010_1190019F1028_3_002_1F.pdf,(参照 2026-06-18).
ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)には、どのような効果がありますか?
脳内の神経伝達物質の減少を防ぎ、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症の症状の進行を抑えます。
ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)は、アルツハイマー型認知症のお薬です。私たちの脳内には記憶や学習に関わる「アセチルコリン」という神経伝達物質があります。アルツハイマー型認知症になると、このアセチルコリンが減ってしまうことが記憶障害の原因の一つと考えられています。
このお薬は、アセチルコリンを分解する酵素の働きを抑えたり、その働きを強めたりすることで、脳内のアセチルコリンの量を増やします。主に以下の目的で処方されます。
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における症状の進行を遅らせる
病気そのものを治すお薬ではありませんが、症状が進むのを遅らせる効果が期待できます。自己判断で飲むのをやめたり量を加減したりすると病気が悪化することがあるため、医師の指示通りに飲み続けることが大切です。
参考文献
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 添付文書 2025年6月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/4310101190019F10283_02,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 患者向医薬品ガイド 2024 年4月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/4310101190019F10283_01G.pdf,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年6月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/3/431010_1190019F1028_3_002_1F.pdf,(参照 2026-06-18).
アルツハイマー型認知症の経過・予後
アルツハイマー型認知症の場合、寿命はどのくらいですか?
持病の有無などにより異なりますが、発症から死亡までの期間は平均 8~10年とされています。
病気の発症年齢、診断時期、治療開始時期、持病の有無などにより異なりますが、病気の発症から死亡までの期間は平均8〜10年とされています。
また、アルツハイマー型認知症の末期症状として、食欲低下、嚥下障害(飲み込みにくさ)が現れるため、食事がとりづらくなった段階で、胃瘻(お腹から胃に穴をあけて専用のチューブを挿入し、栄養補給をする方法)を導入した場合は、低栄養の回避や肺炎の予防にもつながるため、寿命が長くなる可能性もあります。
アルツハイマー型認知症の予防
アルツハイマー型認知症の予防法には何がありますか?
禁煙、節酒、バランスの取れた食事、定期的な運動などが予防策として挙げられます。
アルツハイマー型認知症の予防には、健康的な生活習慣と精神的・社会的な活動が重要です。
具体的な予防策としては以下のようなものが挙げられます。
- 禁煙
- 節酒
- バランスの取れた食事
- 毎週150分以上の中程度の強度の有酸素運動(サイクリングや速歩きなど)
- 血圧のチェックとコントロール
- (糖尿病の場合は)食事療法を守り、薬を服用する
- 読書
- 外国語の学習
- 楽器の演奏
- ボランティア活動
- 新しい活動や趣味への挑戦
- 活発な社会生活の維持
アルツハイマー型認知症は心臓や血管の病気と関係しているとされているため、これらの病気のリスクを減らすためにも健康的な生活を心がけましょう。
また、精神的、社会的に活動的な方は認知症の発症率が低いという報告もあるため、充実した社会生活を送るように意識しましょう。
対処法・セルフケア
アルツハイマー型認知症の場合、周りの方が日常生活で気を付けることはありますか?
日時、場所、人などが分かりやすい説明や環境づくりをすることや、患者さんに対してはゆっくり話し、話を否定しないことが重要です。
- いつ、どこで、だれがなどの物事を簡潔にわかりやすいように伝える
- 生活している環境を急に変えないようにする
- プライドを傷つけたり、話の否定しないようにする
- 焦らせて怒らせたりしないように相手のペースを守る
- 危険がないように行動を見守る
など、患者さん本人を尊重しながら生活をすることが重要です。
また、介護保険などを利用しながら、人や社会とのつながりを持ち、デイサービスやデイケアなどの介護施設で音楽療法・運動療法のリハビリなどを受けることで、患者さん本人だけではなく、介護者の方の精神的・身体的負担軽減にもつながります。
アルツハイマー型認知症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬以外の治療で病気の進行を抑えることは難しいですが、非薬物療法により気分の落ち込みや不眠症状などの改善、また、介護者の負担軽減に対して効果がある可能性があります。
現在、薬以外の治療で病気の進行を抑えることは難しいと言われています。また、非薬物療法は効果には個人差もあります。
しかし、薬の治療だけではなく、介護保険などを利用しながら人や社会とのつながりを持ち、デイサービスやデイケアなどの介護施設で音楽療法・運動療法のリハビリなどを受けることで、患者さん本人だけではなく、介護者の方の精神的・身体的負担軽減にもつながります。
不眠の治療目的として、光療法という非薬物療法を受けることも症状改善の一助になる可能性があります。
アルツハイマー型認知症に関連するその他の質問
アルツハイマー型認知症で使う認知症評価スケールを教えてください。
ミニメンタルステート検査(MMSE)や改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などがあります。
アルツハイマー型認知症の検査でよく使われる認知症スケールには、ミニメンタルステート検査(MMSE)や改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などがあります。MMSEは、時間や場所の見当識、簡単な計算、言葉の記憶、図形の描き写しなどを30点満点で調べるもので、23点以下で認知症を疑います。HDS-Rは、見当識や数字の逆唱、計算などを30点満点で評価し、20点以下で認知症を疑います。
その他、臨床認知症評価尺度(CDR)、Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System-21 items(DASC-21)、ABC認知症スケール(ABC-DS)などがあります。行う検査の種類は、医師が適切なものを判断します。いずれの認知症評価スケールだけでは診断できず、画像検査なども併せて総合的に判断されます。
アルツハイマー型認知症は初期なら治すことは可能ですか?
いいえ。現時点では初期であったとしてもアルツハイマー型認知症を治す方法はありません。
現時点では、初期であったとしてもアルツハイマー型認知症を治す方法はありません。しかし、健康的な生活を送ったり、治療を受けることで、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることはできると考えられています。具体的な治療法を以下に示します。
薬物療法
コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン)、メマンチン、レカネマブなどが用いられます。特に、レカネマブは、脳内にアミロイドβというタンパク質がたまるのを防ぐことで、アルツハイマー型認知症の初期段階での認知機能低下を遅らせます。
リアリティ・オリエンテーション
正しい日時や場所、人物などの情報を繰り返し伝えることで、認知機能の低下を抑えます。
認知刺激
集団での活動や話し合いに参加することで、社会的機能や認知機能の強化を図ります。
運動療法
有酸素運動、筋力トレーニング、平衡感覚トレーニングなどから個人にあったプログラムが選択されます。身体機能や日常生活動作の改善だけでなく、認知機能の低下抑制に対しても効果があるとも言われています。
参考文献
福井 次矢,黒川 清. ハリソン内科学第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2017
日本精神神経学会.“認知症診療ガイドライン2017 第6章Alzheimer型認知症”.日本精神神経学会.https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf,(参照 2024-09-26).
Alzheimer’s treatment .“How Is Alzheimer's Disease Treated?”.National Institute on Aging.https://www.nia.nih.gov/health/alzheimers-treatment/how-alzheimers-disease-treated,(参照 2024-09-26).
ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)の作用機序を教えてください。
アセチルコリンの分解を抑える作用と、その受け皿の働きを強める作用の2つで脳内の神経伝達を助けます。
アルツハイマー型認知症の患者さんの脳内では、記憶や学習に重要な「アセチルコリン」という神経伝達物質が減っていることがわかっています。 ガランタミン臭化水素酸塩(レミニールⓇ)は、主に以下の2つの働き(デュアル・アクション)によって、脳内のアセチルコリンの働きを助けます。
アセチルコリンの分解を抑える働き(アセチルコリンエステラーゼ阻害作用)
アセチルコリンを分解してしまう「アセチルコリンエステラーゼ」という酵素の働きをブロックし、脳内のアセチルコリンが減るのを防ぎます。
アセチルコリンの働きを強める働き(アロステリック増強作用)
神経細胞にはアセチルコリンを受け取る「受容体」というセンサーがあります。このお薬はセンサーの別の部分にくっついて、アセチルコリンに対するセンサーの感度を高め、神経の働きを活発にします。
これらの作用により、脳内の神経伝達をスムーズにし、記憶障害などの症状が進むのを抑えます。
参考文献
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 添付文書 2025年6月改訂”..https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/4310101190019F10283_02,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 患者向医薬品ガイド 2024 年4月更新”..https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/4310101190019F10283_01G.pdf,(参照 2026-06-18).
太陽ファルマ株式会社.“レミニールⓇ 医薬品インタビューフォーム 2025年6月改訂”..https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/3/431010_1190019F1028_3_002_1F.pdf,(参照 2026-06-18).
アルツハイマー型認知症の場合、歩行障害は現れますか?
アルツハイマー型認知症では、歩行障害が現れることがあります。
アルツハイマー型認知症では、歩行障害が現れることがあります。
はじめに、アルツハイマー型認知症の患者さんは、脳の障害によるバランスの問題や、物を認識できない、動作がうまくできない、焦りなどが原因で転倒しやすくなります。
認知機能と歩行に関する研究によると、認知機能が低下している人は、普通に歩くときと比べて、同時に他のことを考えながら歩くときの速度や歩き方の規則性が低下すると言われています。
また、認知機能が低下している人は、普通に歩く速度も遅くなることが報告されています。
このように、認知機能の低下と歩行能力には関連性があることが示されています。
ただ、初期の段階から歩行障害が目立つ場合は特発性正常圧水頭症など治療できる認知症である可能性がありますので、医療機関で相談しましょう。
アルツハイマー型認知症では見当識障害がどのように現れますか?
年月日、時間、季節などの時間認識、場所、人物などの状況を正しく認識することが難しくなります。
アルツハイマー型認知症の見当識障害は以下のように現れます。
年月日、時間、季節などの時間認識、場所、人物などの状況を正しく認識することが難しくなります。
例えば、その日の日付や時間(朝か昼か夜か)、季節がわからなくなります。今いる場所の名前やどのような場所(病院かどうか、等)がわからないこともあります。物や人物、状況を正しく認識できないこともあります。それにより、鏡に映る自分の姿を自分と認識できなくなったり、道に迷ったりします。
このように、アルツハイマー型認知症の方は、日常生活で多くの困難に直面します。周囲の人々が理解し、安心感を与えることが大切です。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることは可能ですか?
はい。適切な治療を受けることで進行を遅らせることができます。
適切な治療を受けることで、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることができる可能性があります。以下に具体的な治療を示します。
薬物療法
ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン
コリンエステラーゼ阻害薬とも呼ばれます。記憶や思考に関して重要な働きを担っているアセチルコリンの分解を防ぐことで、認知機能の低下を防ぎます。コリンエステラーゼ阻害薬は、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症に対して用いられます。
メマンチン
脳内化学物質のグルタミン酸の作用を抑えることで、アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑えます。グルタミン酸が過剰に作用すると、脳細胞の死に繋がり、アルツハイマー型認知症の症状が進行するおそれがあります。メマンチンは、中等度から高度のアルツハイマー型認知症に対して用いられます。
レカネマブ
脳内にアミロイドβというタンパク質がたまるのを防ぐことで、アルツハイマー型認知症の初期段階での認知機能低下を遅らせます。
非薬物療法
リアリティ・オリエンテーション
正しい日時や場所、人物などの情報を繰り返し伝えることで、認知機能の低下を抑えます。
認知刺激
集団での活動や話し合いに参加することで、認知機能や社会的機能を強化します。
運動療法
有酸素運動や筋力トレーニングなどから個人にあったプログラムが選ばれます。身体機能や日常生活動作の改善だけでなく、認知機能の低下を抑える効果があるとも言われています。
参考文献
福井 次矢,黒川 清. ハリソン内科学第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2017
日本精神神経学会.“認知症診療ガイドライン2017 第6章Alzheimer型認知症”.日本精神神経学会.https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_06.pdf,(参照 2024-09-26).
Alzheimer’s treatment .“How Is Alzheimer's Disease Treated?”.National Institute on Aging.https://www.nia.nih.gov/health/alzheimers-treatment/how-alzheimers-disease-treated,(参照 2024-09-26).
アルツハイマー型認知症の進行は早いですか?
脳の機能がゆっくりと低下していくので、症状の進み方も比較的ゆっくりです。徐々に身体機能低下を起こします。
アルツハイマー型認知症は、坂道をゆっくり下るように脳の機能が低下していくのが特徴で、病気(症状)の進行も比較的ゆっくりです。
同じことを何度も聞く「物忘れの症状」があらわれた後、薬が自分では飲めない、気候に合った服を選べない、風呂に入ることを忘れるなどの遂行障害と呼ばれる症状が起き、歩行障害や無動、失禁症状があらわれ、最終的には寝たきりの状態に、8~10年かけてなります。
また、この病気は一般的に、70代〜80代で見られるものの、50代〜60代で発症する若年発症型も存在します。この場合は、症状の発現が早ければ早いほど、その進行度も早くなると考えられています。
アルツハイマー型認知症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「アルツハイマー型認知症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- これまでに【認知症・ぼけがある】と診断されたことはありますか?
- 物忘れがあると感じていますか?
- 怒りっぽい、もしくは怖がりな性格ですか?
- 最近、他人の話すことは理解できるが、自分の思っていることを言葉に表現できないことで困っていますか?
- 最近、字を書くのが下手になった気がしますか?
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この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03