副腎白質ジストロフィーの初期症状は?副腎白質ジストロフィー

監修医師阿部 吉倫内科

更新日
2026/10/27
公開日
2020/09/03

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副腎白質ジストロフィー(ALD)とは

「副腎白質ジストロフィー」とはどのような病気ですか?

副腎白質ジストロフィーはX染色体にある遺伝子の変異によって起こる遺伝病で、副腎不全、脳・脊髄が障害されます。

副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy, ALD)は、ABCD1遺伝子の変異によって引き起こされる、X連鎖性(病気の原因となる遺伝子がX染色体にある)の遺伝病です。遺伝形式から男性に現れる病気ですが、遺伝子変異を持つ女性の一部に症状が現れることがあります。

1992年の映画「ロレンツォのオイル/命の詩」では、副腎白質ジストロフィーの男の子について描かれています。ペルオキシソームという体に有害な脂肪や毒素を分解する働きを持つ部分に異常が起こります。血液中にある種類の脂肪酸(極長鎖脂肪酸)が蓄積し、中枢神経(脳)や副腎、脊髄に障害を起こします。

小児期に発症する大脳型ALDは治療を行わないと急速に進行し、6ヶ月~2年以内に重度障害を起こし、数年で死に至ることもあります。また、副腎不全は患者さんの80%以上に生じ、副腎不全に伴う症状が最初の症状となることが多いです。

脳型ALDに対して唯一の有効な治療法は、発症初期の造血幹細胞移植(血液をつくるもとになる細胞を他の人から移植し、新しく健康な血液を作る治療)ですが、高いリスクを伴います。最近では自家造血幹細胞を用いた遺伝子治療が有望視されています。新生児スクリーニングによって早期に診断し、治療介入を行うことが大切です。

さらに詳しく:「副腎白質ジストロフィー」とはどのような病気ですか?監修医師濵﨑 秀崇はまさき医院 糖尿病・内分泌科
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副腎白質ジストロフィー(ALD)の症状

副腎白質ジストロフィーには初期症状はありますか?

はい、副腎白質ジストロフィーでは副腎機能の低下に関連する症状(倦怠感など)が初期に現れます。

副腎白質ジストロフィーは、発症の初期段階で症状が現れることがあります。特に副腎機能の低下は、5週齢の乳児でも症状が出る前から、ホルモン分泌異常(副腎皮質刺激ホルモンの上昇とコルチゾールの低下)としてみられることがあります。

38%の症例で、初発の症状は副腎不全の症状(倦怠感など)と報告されています。小児の大脳型では、脳MRIに異常が出たあとに、学習障害や行動の変化などが現れ、急速に進行することがあります。

成人や脊髄の障害では、軽い足のしびれや筋力低下が初期に現れます。このような初期症状を見逃さずに、早期診断につなげることが大切です。

さらに詳しく:副腎白質ジストロフィーには初期症状はありますか?監修医師濵﨑 秀崇はまさき医院 糖尿病・内分泌科

副腎白質ジストロフィーではどのような症状がありますか?

副腎白質ジストロフィーでは副腎・脳・脊髄が障害され、それに伴う症状が現れます。年齢や性別で症状が異なります。

副腎白質ジストロフィーの症状は、主に男性に現れます。代表的な症状として、副腎機能の低下に伴う症状や脳・脊髄の症状があります。倦怠感や低血糖、食欲不振などがみられることがあります。
副腎白質ジストロフィーの症状を説明する図です
学童期の男児では、集中力の低下や行動の変化といった初期症状に始まり、急速に視力や聴力の低下、けいれん、四肢のまひへと進行し、適切な治療がなければ半年~2年で寝たきりとなることもあります。

成人では、足のしびれや筋力低下、歩行困難、排尿障害、性機能障害などが徐々に進行します。女性でも症状が出る場合があり、年齢とともに歩きづらさや痛みが現れます。

年齢や性別によって症状の現れ方が異なり、副腎機能の低下に伴う症状は3~10歳、脊髄の症状は20~40歳、小児の脳の症状は4~12歳、女性では30歳以降を中心に症状が現れます。

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副腎白質ジストロフィー(ALD)の原因

副腎白質ジストロフィーの原因は何がありますか?

副腎白質ジストロフィーの原因は、X染色体上にあるABCD1遺伝子の変異です。

副腎白質ジストロフィーの原因は、X染色体上にあるABCD1遺伝子の変異です。

ABCD1は体に有害な脂肪や毒素を分解するペルオキシソームという構造の膜の上に存在し、とても長い分子の鎖を持つ脂肪酸を細胞質からペルオキシソーム内へ運ぶタンパク質の設計図を持っています。

遺伝子に変異があると、この働きが障害され、脂肪酸の分解ができず細胞内に異常に蓄積します。特に脳、副腎、脊髄に蓄積し、炎症や細胞のダメージを引き起こします。

また、免疫細胞やミクログリア(脳の掃除細胞)の自己免疫反応も病気の進行に関与するとされています。病気の原因はひとつの遺伝子の異常ですが、同じ変異でも発症年齢や症状に幅があることから、環境や他の遺伝子の関与も示唆されています。

さらに詳しく:副腎白質ジストロフィーの原因は何がありますか?監修医師濵﨑 秀崇はまさき医院 糖尿病・内分泌科
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副腎白質ジストロフィー(ALD)の検査・診断

副腎白質ジストロフィーのセルフチェックはできますか?

解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。

以下の項目が複数当てはまる場合、副腎白質ジストロフィーの可能性があるかもしれません。

副腎白質ジストロフィーの確定診断は、ある種の脂肪酸(極長鎖脂肪酸)の測定や遺伝子検査で行います。セルフチェックで診断はできませんので、気になる症状があれば、専門医療機関を受診してください。

  • なんとなく体がだるい
  • 立ちくらみやめまいがある
  • 塩辛いものをよく欲しがる(特に子ども)
  • 低血糖を繰り返す
  • 子どもの集中力がなくなった
  • 子どもの学習がうまくいかなくなった
  • 急に落ち着きがなくなった、怒りっぽくなった
  • 視力や聴力が低下してきた
  • 手足がしびれる
  • 手足の力が入りにくい、つまずきやすい
  • 歩行時に左右に揺れたり、足がつっぱったように感じる
  • 排尿・排便がうまくできなくなってきた
  • 性機能の低下(勃起障害など)を感じる
  • 母親や母方の家系に副腎白質ジストロフィーの人や同様の症状の人がいる
  • 幼少期から副腎不全を指摘されていた
  • 女性で年齢とともに、歩きづらさや下肢の痛みが出てきた
  • 子どもが原因不明のてんかん発作を起こす

また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、副腎白質ジストロフィーかどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。

さらに詳しく:副腎白質ジストロフィーのセルフチェックはできますか?監修医師濵﨑 秀崇はまさき医院 糖尿病・内分泌科

副腎白質ジストロフィーかどうか、出生前に遺伝子検査を受けられますか?

赤ちゃんの出生前に遺伝子検査を受けることは可能ですが、十分な遺伝カウンセリングのもと、適切な施設で施行する必要があります。

副腎白質ジストロフィーの出生前検査として、妊娠10~12週に絨毛膜絨毛検査、妊娠15~18週に羊水検査を行い、胎児の性別とABCD1遺伝子の病的変異の有無を調べることが可能です。

出生前遺伝学的検査(羊水・絨毛・臍帯血などによる診断)の指針上、これらの検査は臨床遺伝専門医等による十分な遺伝カウンセリングが提供できる体制の下でのみ行うべきであり、また、羊水穿刺や絨毛採取といった体に負担のかかる検査は、妊婦またはパートナーの希望があり、かつ遺伝学的に重い病気が疑われる場合に限って実施されるべきとされており、検査を行うかどうかは慎重に検討する必要があります。

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副腎白質ジストロフィー(ALD)の治療・対処法

副腎白質ジストロフィーの場合、主にどのような治療をしますか?

副腎白質ジストロフィーの治療法は病型によって異なり、副腎ホルモンの補充、造血幹細胞移植、リハビリなどを行います。

副腎白質ジストロフィー(ALD)の治療には、副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド)の補充や造血幹細胞移植(血液をつくるもとになる細胞を他の人から移植し、新しく健康な血液を作る治療)があります。治療は病気のタイプや進行度に応じて異なります。

小児の大脳型ALDでは、発症初期に造血幹細胞移植を行うことで、神経障害の進行を抑える効果が認められていますが、進行後には治療効果が下がります。副腎機能の低下に対しては、グルココルチコイドの補充療法を行います。必要に応じて、鉱質コルチコイド(体の中の水分と塩分のバランスを保つホルモン)も補充します。

脊髄型には根本的な治療法はなく、対症療法(リハビリ、排尿管理など)が中心です。近年、小児のALDに対して遺伝子治療が有望とされ、臨床試験が進行中です。

さらに詳しく:副腎白質ジストロフィーの場合、主にどのような治療をしますか?監修医師濵﨑 秀崇はまさき医院 糖尿病・内分泌科
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受診の目安・何科を受診するべきか

副腎白質ジストロフィーが疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?

はい、原因不明の副腎不全の症状が病院を受診するひとつの目安になります。

副腎白質ジストロフィーは早期発見が極めて重要です。特に3〜10歳の男児で、原因不明の副腎不全(倦怠感、低血糖、食欲不振など)を認めた場合は、副腎白質ジストロフィーを疑い、専門的な検査が必要と考えられます。

副腎白質ジストロフィーは、副腎機能の低下に伴う症状が初発症状として現れることが多く、放置すると病状が進行し、治療の機会を失う可能性があります。日本では、副腎白質ジストロフィーの新生児スクリーニング検査が行われていないため、早期に症状に気づくことが重要です。

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副腎白質ジストロフィーが疑われる場合、何科を受診したらよいですか?

副腎白質ジストロフィーが疑われる場合、内分泌科を受診しましょう。子どもの場合、小児科・小児神経科を受診しましょう。

副腎白質ジストロフィーが疑われる場合、まず、内分泌科で副腎機能を評価し、必要に応じて神経内科や小児神経科で、脳・脊髄の評価、遺伝診療科での遺伝子検査・家族カウンセリングを受けることが重要です。

日本の診療ガイドラインでは、一般小児科医、小児神経科医、神経内科医、精神科医、皮膚科医、内分泌科医、眼科医、臨床遺伝専門医による連携診療の必要性が強調されています。

海外では、新生児スクリーニング検査で副腎白質ジストロフィーが疑われた例では、小児神経科医と遺伝カウンセラーへの紹介が推奨されています。

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副腎白質ジストロフィーの専門医がいる近くの病院はありますか?

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副腎白質ジストロフィー(ALD)の薬

副腎白質ジストロフィーは主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

副腎白質ジストロフィーは主に副腎皮質ホルモンで治療します。副作用には体重増加や血糖値の上昇などがあります。

副腎白質ジストロフィーでは、主に副腎機能の低下に対して副腎皮質ホルモンが使用されます。コルチゾール分泌が不十分な患者さんに対して、ヒドロコルチゾン(コートリルⓇ)などの薬剤で補充を行い、必要に応じて鉱質コルチコイド(フルドロコルチゾンなど)も追加します。

副腎皮質ホルモンは生命維持に必須ですが、副作用として体重増加、血糖上昇、感染リスクの増加、気分の変調、胃潰瘍、骨粗鬆症などが起こることがあります。

また、副腎白質ジストロフィーの進行を抑える薬として研究されてきた「ロレンツォオイル」は、予防的使用が試みられてきましたが、有効性は限定的で、ガイドラインではすすめられていません。現在では造血幹細胞移植や遺伝子治療が、神経症状に対する主な治療法となってきています。薬は副腎不全に対する対症療法となります。

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副腎白質ジストロフィー(ALD)の経過・予後

副腎白質ジストロフィーの余命はどのくらいですか?

副腎白質ジストロフィーの余命は病型で異なり、小児の大脳型は短く、成人はゆっくり進行します。

副腎白質ジストロフィーの余命は、病型によって異なりますが、小児では数年以内に死亡することもあります。

小児の大脳型は進行が非常に速く、適切な治療がなければ症状出現後半年から2年で寝たきりとなります。神経症状出現後の予後は不良で、急速に進行して重い障害を起こし、やがて死亡に至ります。造血幹細胞移植後の余命の中央値は3.1年、5年生存率は56%という報告があります。

一方、成人の脊髄障害は比較的進行が緩やかですが、誤嚥性肺炎などの合併症が死亡原因になります。神経機能の低下が進むと生活の質が下がり、余命も短くなると考えられます。

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対処法・セルフケア

副腎白質ジストロフィーの場合、日常生活で気をつけることはありますか?

感染症やケガなどのストレス時に、副腎不全を起こさないように薬の調整が必要です。また、脱水症や熱中症の予防にも注意が必要です。

副腎白質ジストロフィーでは、日常生活において副腎不全への対応が重要です。副腎機能が低下すると、感染症やケガなどのストレス時に急性副腎不全(副腎クリーゼ)を起こすことがあるため、医師の指示に従いストレス時には副腎皮質ホルモンの内服量を増やす必要があります。

また、水分・塩分のバランスにも注意が必要で、脱水や熱中症の予防が大切です。脊髄障害型では歩行障害や排尿障害が出るため、転倒防止や排泄管理の環境整備が必要です。病気の進行や治療選択に関して、主治医・家族とよく話し合い、定期的な検査を継続することが大切です。

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副腎白質ジストロフィーで薬が効かない場合、どうしたらよいですか?

副腎皮質ホルモンの補充量を調整しますが、神経症状には効果がありません。

副腎白質ジストロフィーでは、副腎機能の低下に対して副腎皮質ホルモンの補充が行われます。薬が効かない場合、補充量を調整しますが、この治療は副腎機能を補う対症療法であり、神経障害の進行を抑える効果はありません。したがって、薬による治療で脳や脊髄の症状が進行する場合は、病型と進行度に応じた他の治療手段を検討する必要があります。

小児の大脳型では、早期であれば、造血幹細胞移植が進行を抑える効果があります。ただし、病状が進行してからでは移植の効果は乏しく、また移植に伴うリスクもあるため、早期の診断と移植のタイミングが鍵となります。現在、遺伝子治療も有望な選択肢として臨床試験が進められています。

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副腎白質ジストロフィー(ALD)に関連するその他の質問

子どもの副腎白質ジストロフィーについて教えてください。

子どもの副腎白質ジストロフィーは進行が早く、早期治療が重要です。放置すれば短期間で重い障害が起こります。

子どもの副腎白質ジストロフィーは、通常4〜10歳の男児に発症し、急速に進行する神経の難病です。最初は学力や注意力の低下、行動異常(学校での落ち着きのなさ)などの症状から始まり、次第に視力・聴力障害、けいれん、歩行障害、運動機能の低下へと進行します。副腎機能の低下を伴うことが多いです。

適切な治療を行わないと、発症から半年〜2年で症状が進行し、寝たきりとなり、コミュニケーションがとれなくなることもあります。早期であれば、造血幹細胞移植が効果がありますが、神経症状が出現してからでは治療効果が乏しく、予後は不良です。

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副腎白質ジストロフィー(ALD)について、医師からのよくある質問

医師からよくある質問はありますか?

「副腎白質ジストロフィー」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。

  • 物忘れがあると感じていますか?
  • これまでに【認知症・ぼけがある】と診断されたことはありますか?
  • 最近、気持ちが落ち込んでいると感じますか?
  • 自力で立ち上がるのは難しいですか?

副腎白質ジストロフィー(ALD)に関連する症状としては次の症状があります

最新のガイドライン・医療水準を取り込んだデータベースを元に関連する病気・症状を表示しています。

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この記事の監修医師

監修医師 阿部 吉倫

阿部 吉倫

内科

2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。

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2026/10/27
公開日
2020/09/03