骨髄炎
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
骨髄炎とは
菌が骨の内部に感染し、骨の痛みや発熱を生じます。骨の周囲に傷がつき感染しそこから菌が侵入する場合と、骨から離れた場所から菌が血流にのって辿り着き感染する場合があります。
もっと詳しく「骨髄炎」を知る骨髄炎の症状
足や足の指が骨髄炎になった場合の症状を教えてください。
足や足の指に痛みや腫れがみられます。糖尿病の方では、足の傷が細菌感染症の高いリスクとなります。
足や足の指の骨髄炎では、以下のような症状がみられます。
- 感染部位の痛みと腫れ: 感染した足や足の指の周りに、痛みや腫れ、熱感、皮膚の赤みがみられます。ただし、糖尿病による神経障害がある患者さんでは、骨髄炎が起きても痛みをあまり感じないことがあるため、注意が必要です。
- 膿(うみ)の排出: 傷口ができて膿が出続けることがあります。足の深い部分に膿がたまっている場合は、外からではわかりにくいことがあります。
- 足の変形や不安定さ:足の 骨の破壊が進むと、足の形が変わったり、歩くときに足が不安定になったりすることがあります。
- 発熱などの全身症状: 発熱や全身の倦怠感、体調不良を感じることがあります。
足の骨髄炎は、進行すると足を切断することになる可能性もあります。特に糖尿病の方は治療に難渋することがあります。予防のためにも、足に傷がないか日々確認し、小さな傷でもすぐに治療を開始することが重要です。
骨髄炎ではどのような症状がありますか?
感染した部位での痛み、腫れ、皮膚の赤みや熱感と発熱や倦怠感などの全身症状がみられます。
骨髄炎の症状は、感染が起こっている骨の場所や、病気のタイプ(急性か慢性か)によって、現れ方が異なります。
主に、以下の2つの種類の症状がみられます。
局所的な症状(感染部位の近くに現れる症状)
- 痛み: 感染した骨の周りに、じわじわと続くような痛みがあり、時間が経つにつれて、だんだんと強くなる傾向があります。特に夜間や、体を休めている時に痛みがひどくなることもあります。
- 腫れ: 感染した部分の周りが腫れることがあります。
- 皮膚の変化: 感染部位の皮膚が赤くなったり、触ると熱っぽく感じられたりすることもあります。
- 関節の動きの制限: 感染部位の近くにある関節の動きが悪くなったり、動かすと痛みを感じたりすることもあります。
- 膿の排出: 特に慢性骨髄炎の場合には、感染した骨の近くの皮膚に穴が開き、そこから膿(うみ)が持続的に出てくる「ろうこう(瘻孔)」ができることがあります。
全身的な症状(体全体に現れる症状)
- 発熱: 微熱から高い熱まで、熱が出ることがあります。
- 倦怠感(けんたいかん): 体がだるく、疲れを感じやすくなります。
- 悪寒(おかん): 体が震えるような寒気を感じることがあります。
- 食欲不振や吐き気: 食欲がなくなったり、気持ちが悪くなったりすることもあります。
この病気は子どもにも急に生じる場合があります。子どもでは、高熱が出たり、激しい痛みを訴えたりすることがあります。激しい症状ではなくとも特定の部位を動かすのを嫌がったり、歩き方がおかしくなったりといった症状に気づいたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
骨髄炎の原因
歯が原因で骨髄炎になることはありますか?
はい、歯周病や抜歯後など、口の中の感染が原因で、顎の骨の骨髄炎になることがあります。
はい、歯や口の中の細菌感染が原因で骨髄炎になることがあります。この場合、顎(あご)の骨の骨髄炎を起こす場合があります。
主な原因
- 歯周病などの細菌感染症: 歯の根の先に膿がたまったり、重度の歯周病で歯を支える骨に炎症が広がったりすることが原因となります。
- 抜歯などの歯科治療後: 抜歯やその他の歯科治療後に、細菌が骨に侵入して骨髄炎を引き起こすことがまれにあります。
症状
- 顎の骨の痛みや腫れ
- 歯茎(はぐき)から膿(うみ)が出続ける
- 口が開きにくくなる、物を噛みにくい
- 顎の骨の周りの皮膚が赤くなったり、熱っぽく感じられたりする
この骨髄炎は、歯科での原因治療(例えば、原因となっている歯の治療や抜歯)と合わせて、抗生物質による治療が必要になります。症状に気づいたら、歯科や口腔外科を受診して相談しましょう。
骨髄炎の検査・診断
骨髄炎のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
骨髄炎の症状は、他の病気と似ていることも多いです。正確な診断には、専門的な検査(血液検査、画像診断、骨の組織検査など)が必要になります。もし以下のセルフチェックに当てはまる項目があり、症状が続く、または悪化する場合は、早めに医療機関を受診してください。
持続的な骨の痛み
- 体のどこかの骨(特に腕や脚の長い骨、背骨など)に、原因不明の痛みが続いている
- 痛みがだんだん強くなっているか、特に夜間や体を休めている時に痛む
感染部位の変化
- 痛む場所の皮膚が赤くなっている、熱を持っている、腫れている
- 皮膚に治りにくい傷や、膿(うみ)が出ている場所がある
全身の症状
病歴や体質
- 最近、大きなけがや手術をした
- 人工関節などの医療機器が体に入っている
- 糖尿病があるか、または免疫力が弱くなるような病気を持っている。特に糖尿病の方は、足の傷に注意が必要です
これらの項目に当てはまる症状があり、それが続くようであれば、骨髄炎の可能性やリスクがあります。医療機関(整形外科など)を受診して、詳しい検査を受けることを検討しましょう。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、骨髄炎かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
骨髄炎の治療・対処法
骨髄炎への対処法は?
骨髄炎の加療が長期にわたると、慢性骨髄炎という病気になり根治するのが困難になることがあります。早い段階で治療を開始し、十分な期間の加療を受けることが重要です。
骨髄炎の場合、主にどのような治療をしますか?
長期間の抗生物質投与が中心です。重症例や薬が効かない場合は手術も検討されます。
骨髄炎の治療は、感染の重症度や原因となっている細菌の種類、患者さんの体の状態によって異なりますが、主に「抗生物質を使った薬物治療」と「手術による治療」が組み合わせて行われます。
1. 抗生物質による治療(薬物治療)
骨髄炎の治療の中心となるのは、抗生物質を長期間にわたって使い続けることです。
- 投与方法: 通常、治療の最初の段階では、強力な抗生物質を点滴します。これは、薬の成分を血液にたくさん送り込み、感染部位にしっかりと届けるためです。症状がよくなってきたら、飲み薬に切り替えることがあります。
- 抗生物質の選択: 感染の原因となっている細菌の種類や、その細菌がどの抗生物質に効くか(感受性)を調べて、最も効果のある薬が選ばれます。特に、多くの抗生物質が効きにくい多剤耐性菌では、薬の選択は複雑になることがあります。
- 治療期間: 治療期間は数週間から数ヶ月におよぶことがあり、完全に治ったことを確認できるまで、薬を飲み続けることが必要です。途中で治療をやめてしまうと、再発したり慢性化したりするリスクが高まります。
2. 手術による治療
抗生物質だけでは治りにくい重症な場合や、病気が長引いて慢性化してしまった場合には、手術が検討されます。
- 手術: 抗生物質が届きにくい「死んだ骨(腐骨)」や、膿がたまっている場所(膿瘍)を徹底的に取り除きます。これにより、薬が効きやすい環境を作ります。
- 骨の再建: 感染部位の骨が大きく壊れてしまった場合には、骨の形や機能を元に戻すための再建手術が行われることもあります。
3. その他の治療
- 高気圧酸素治療: 特殊な装置の中で高い気圧の酸素を使用する治療です。これにより、感染部位の酸素不足を改善し、細菌を殺す力を高めたり、組織の治りを早めたりする目的で行われます。特に、難治性の慢性骨髄炎に対して検討されることがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
骨髄炎の専門医がいる近くの病院はありますか?
骨髄炎の専門医がいる病院を見る骨髄炎の薬
骨髄炎は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
抗生物質で治療します。薬の種類によって吐き気や下痢などの消化器症状やアレルギーなどの副作用があります。
骨髄炎の治療の中心となる薬は、抗生物質です。感染の原因となっている細菌を特定し、その細菌に最も効果のある抗生物質が選ばれます。
出やすい
用いられる抗生物質の種類は多様であり、それらの種類によって効果が出やすい細菌が異なります。その効果は同じ菌の種類であったとしても個人によって異なる場合が多く、適切な検査をしたうえで、効果の出やすい抗生物質の種類を決定することが重要です。
また、使用する抗生物質の種類によって起こりやすい副作用のパターンも異なります。主な副作用は以下の通りです。
- 消化器症状: 吐き気、下痢、食欲不振など。これらの症状は比較的よくみられます。
- アレルギー反応: 発疹(ほっしん)、かゆみ、蕁麻疹など。まれに、呼吸困難や血圧低下などの重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることもあります。
- 肝臓や腎臓への影響: 薬の種類によっては、肝臓や腎臓に負担をかけることがあります。そのため、定期的に血液検査で肝機能や腎機能を確認することがあります。
副作用が疑われる場合は、自己判断で薬を中断せず、すぐに医師や薬剤師に相談することが非常に重要です。
対処法・セルフケア
骨髄炎で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬が効かない場合、手術による治療が検討されます。
抗生物質による治療を続けても、症状が改善しない場合は、薬が効いていない可能性があります。このような場合、いくつかの理由が考えられます。
- 薬が効きにくい細菌(耐性菌)の存在: 感染の原因となっている細菌が、使っている抗生物質に対して抵抗力を持っている場合があります。
- 死んだ骨(腐骨)や膿(うみ)の存在: 感染した骨の組織の一部が死んでしまっている場合や、骨の周りや内部に膿がたまっている膿瘍(のうよう)がある場合には、抗生物質が十分に届きにくくなり、効果が出にくいことがあります。
- 医療機器(インプラント)への細菌の付着: 人工関節などのインプラントが体内にあり、その表面に細菌が膜のようにこびりついている「バイオフィルム」という状態になっている場合、抗生物質が効きにくくなります。
薬が効かないことが疑われる場合は、以下のステップで対応を検討します。
- 再検査: まずは、原因菌の種類や、その菌がどの抗生物質に効くかを、改めて詳しく調べるための検査(骨の組織検査や生検など)を行うことがあります。
- 治療法の検討: そのうえで、手術による治療が検討されます。手術では、薬が効きにくい原因となっている腐骨や膿瘍を徹底的に取り除きます。特に慢性骨髄炎の場合、手術なしで完全に治すことは難しいとされています。バイオフィルムが付着した人工関節の感染による骨髄炎では、一度人工関節を取り除き、感染が治まってから新しいものを入れ直すという、複数段階の手術が必要になることもあります。
- 専門医の連携: 整形外科医、感染症専門医、放射線科医など、複数の専門医が協力して、最も適切な治療方針を話し合って決定します。
このように、骨髄炎で薬が効かない場合は、感染部位の状況を詳しく再評価し、手術を含めた治療の詳細を検討する必要が生じます。
骨髄炎の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
傷のケアを徹底することや、免疫力を保つことが重要です。糖尿病の方は血糖管理に努めることが最も大切です。
骨髄炎の治療の間や、治療が終わったあとの再発を防ぐためには、日常生活でいくつか気をつけるべき大切な点があります。
1. 体の抵抗力(免疫力)を維持する
- バランスの取れた食事: 栄養バランスの取れた食事を心がけ、体を健康に保つことが大切です。
- 適切なリハビリ:ベッドの上で安静にしすぎることも、血流が悪くなり治療効果が低くなる場合があります。
- 十分な睡眠: 十分な睡眠をとることで、体の抵抗力を高めることができます。 免疫力が低下すると、細菌感染にかかりやすくなったり、治りにくくなったりするため、日頃から免疫力を高めることを意識しましょう。
2. 傷口の清潔と管理を徹底する
- 定期的なケア: もし傷から膿(うみ)が出ている場合は、定期的なきめ細やかなケアが重要です。医師や看護師の指示に従って、定期的な処置を受け、必要な自己処置を行いましょう。
3. 糖尿病の患者さんへの注意
4. 喫煙や飲酒を控える
- 喫煙や飲酒は、体の防御機能を低下させ、血の巡りを悪くするなど、感染症のリスクを相当に高める要因となります。
これらの点を日常生活で実践することで、骨髄炎の治療の成功率を高めて、再発のリスクを減らすことができます。
骨髄炎に関連するその他の質問
骨髄炎が治らない場合はどうなりますか?
再発を繰り返し、骨の変形や機能障害を生じます。最悪の場合は手足の切断に至ることもあります。
骨髄炎の治療がうまくいかず、完全に治らない場合、病気は慢性化して、患者さんの体にさまざまな問題を引き起こします。以下のような問題が起こる可能性があります。
- 再発の繰り返し: 慢性骨髄炎になると、症状がよくなったように見えても、数ヶ月から数年後に同じ場所で感染が再発を繰り返すことがあります。これは、感染して死んでしまった骨(腐骨)や、細菌が作り出す膜(バイオフィルム)が体内に残っている場合に起こりやすいです。
- 骨の破壊と変形: 感染と炎症が長く続くことで骨が壊されたり、骨がいびつな形で新しく作られたりして、骨の形が大きく変わってしまうことがあります。
- 機能障害: 骨や関節が壊れたり変形したりすることで、手足の動きが悪くなったり、力が入らなくなったりするなどの機能障害を生じることがあります。背骨(脊椎)の骨髄炎では、脊髄(せきずい)という神経の束が膿によって圧迫されて、手足の麻痺が生じることもあります。
- 痛みと全身症状の持続: 慢性的な痛みが続き、日常生活の質が大きく低下します。また、微熱や倦怠感(体がだるい)などの全身症状が長く続くこともあります。
- 全身への感染の広がり: 細菌が体全体に広がる敗血症(はいけつしょう)などの重篤な合併症を引き起こし、命に関わる状態になることもあります。
- 手足の切断: 感染が重症で、抗生物質や手術で治療しても効果がない場合は、感染が全身に広がり命に関わる事態になるのを避けるため、足や足の指の一部または全体を切断するという手段が取られることもあります。 特に、糖尿病患者さんの足の骨髄炎などでリスクが高くなります。
このように、骨髄炎が完全に治らないと、患者さんにとって非常に大きな負担となります。このため、骨髄炎は徹底的に治療することが何よりも大切です。
骨髄炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「骨髄炎」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 体の一部に熱をもっている部分がありますか?
- 手足に痛みがありますか?
骨髄炎に関連する病気・症状
この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03