ポンペ病のスクリーニング検査とはなんですか?

新生児の血液で酵素活性を測り、ポンペ病の可能性を早期に見つける検査です。

ポンペ病のスクリーニング検査とは、生まれてすぐの赤ちゃんから採った少量の血液で、病気の可能性を早期に調べる検査のことです。主に「酵素の働き」を測定して異常を見つけます。

ポンペ病は、筋肉や心臓にグリコーゲン(体内の糖の貯蔵物)がたまり、筋力低下や心肥大を起こす先天性代謝異常症です。治療の中心となる酵素補充療法(不足している酵素を点滴で補う治療)は早期に始めるほど効果が高いため、早期診断が重要です。そこで行われるのが、新生児スクリーニング検査です。

この検査では、生後数日以内に赤ちゃんのかかとから少量の血液をろ紙に染み込ませます(ろ紙血)。そこから「酸性α-グルコシダーゼ(ポンペ病で不足する酵素)」の酵素活性(酵素がグリコーゲンを分解する能力)を測定し、明らかに低い場合に「ポンペ病の可能性あり」と判断され精密検査へ進みます。

スクリーニングはあくまで「可能性を拾い上げる検査」であり、最終的には遺伝子検査(GAA遺伝子)や心臓の評価などを行うことで診断が確定します。

この方法の利点は、症状が出る前に病気を見つけられることです。特に、乳児型ポンペ病は新生児期から急速に悪化することがあるため、発症前に治療を開始できれば生存率や発達が大きく改善します。日本では自治体によってスクリーニングの対象疾患が異なりますが、ポンペ病を含むスクリーニングを導入する地域が増えてきています。米国や台湾などでは全国規模でポンペ病スクリーニングが実施され、早期治療の成功例が多く報告されています。

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宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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