ポンペ病は新生児でも発症しますか?

ポンペ病は新生児期に発症する重症型があり、早期診断・酵素治療が重要です。

はい。ポンペ病は新生児期に症状が現れるタイプがあり、一部の重症型では、生まれた直後から症状が見られることもあります。

ポンペ病は、体のエネルギー源である糖(グリコーゲン)を分解する酵素(酸性α-グルコシダーゼ)が生まれつき不足する先天性代謝異常症です。酵素が足りないことで、筋肉や心臓の細胞にグリコーゲンがたまり、筋力低下や心臓の肥大を引き起こします。

ポンペ病には大きく乳児型と遅発型があり、乳児型は乳児期初期(生後2~4ヶ月頃)に症状が出始めるのが一般的です。しかし、特に重症なケースでは、新生児期にすでに症状が現れる場合があります。

新生児期~生後数ヶ月で見られる症状としては、

  • 全身の筋力・筋緊張の弱さ(ぐったりしている、首がすわらない)
  • 呼吸が弱く息が荒い、繰り返す呼吸器感染症
  • 哺乳力が弱く体重が増えない
  • 心臓が大きくなる(心肥大)、心不全症状(呼吸が速い、汗をかきやすい)

などが挙げられます。特に心肥大は乳児型ポンペ病の特徴的な所見のひとつです。

ポンペ病は放置すると心不全や呼吸不全が進行し、生後1~2年以内に亡くなることがあります。しかし現在は、酵素補充療法(不足している酵素を点滴で補う治療)が確立しており、早期に治療を始めることで生存率や運動発達が大きく改善することがわかっています。そのため、日本を含む多くの国で、新生児スクリーニング(生後数日の検査)でポンペ病を調べられる地域が増えてきています。新生児期に見逃さず、早く治療につなげることが重要です。

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宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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