Pneumocystis jirovecii（ニューモシスチス・イロベチイ）とはなんですか？

ニューモシスチス・イロベチイは、かつては原虫と考えられていましたが、遺伝子解析の結果をうけて、現在では真菌（カビ）に分類されます。

この真菌は、ニューモシスチス肺炎という日和見感染症を引き起こす病原体です。日和見感染症とは、免疫に問題がない人なら自分の力で抑えられ発症しないはずの感染症のことです。
この菌への感染は、人ではありふれたもので、多くの人が幼児期までに無症状の感染（不顕性感染）を経験すると考えられています。感染者からヒトーヒト間で感染し、免疫機能が低下した状態では菌を排除できずに発症すると考えられています。

ヒト以外の哺乳類には感染しないため、動物に感染させる実験ができないこと、また、人工培地で培養（菌を増殖させて増やすこと）する方法も確立されていないことから、研究が進みにくく、感染経路や発症機序にはいまだ不明な点も多く残されています。

発症する場合、ほとんどは肺炎として発症しますが、まれに全身の臓器に感染します。重症な感染症で、迅速な診断と治療が求められます。