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肩甲骨まわりが痛いのはなぜですか?治し方はありますか?
山田記念病院 整形外科 整形外科部長
濱畑 智弘 監修
肩まわりの骨や筋肉、腱の損傷が多いですが、心筋梗塞や胆嚢の病気の可能性もあります。骨や筋肉が原因の場合、ストレッチや生活習慣の改善が重要です。
肩甲骨の痛みには、肩の周りの筋肉や骨に原因がある場合と、肩以外の場所に原因がある場合があります。治し方については、原因によってそれぞれ治療法が異なるので医師の診察を受けることをおすすめします。
肩や首の問題
肩を動かした際に痛みが強まる場合は、肩まわりの筋肉や骨の問題であることが多いです。一方で、首を動かした際に痛みが強まる場合には、首の神経に問題がある可能性があります。どちらも、仕事や運動によって首や肩に負荷が蓄積することが原因になっている場合も多くあります。
関連する病気には以下のようなものがあります。
肩関節周囲炎
肩のまわりの筋肉や腱、骨、軟骨といった構造に炎症が生じるため、肩に痛みを感じます。治療に時間を要することが多いです。
骨折
肩甲骨の骨折では、強い痛みを感じます。
頚椎椎間板ヘルニア
首の骨の間のクッション(=椎間板)が傷む病気です。傷んで変形した椎間板によって、肩甲骨につながる神経が傷害され痛みを感じます。
頚椎症
首の神経のまわりの骨や軟骨・靱帯といった構造物が年齢とともに変形して、肩甲骨へつながる神経を圧迫する病気です。
このような肩や首の病気が原因となって肩甲骨の痛みが生じている場合には、なるべく首や肩に負担をかけないような生活を心掛けることが重要です。
仕事や家事の際には正しい姿勢に気を付けて長時間同じ姿勢が続かないように気を付けましょう。運動不足にならないようにウォーキングやジョギング、ストレッチなど適度な運動を心掛けることも重要です。
胸膜・横隔膜に近い内臓の問題
首や肩の動きに関係なく、安静にしていても肩の痛みが強い場合では内臓の病気の可能性も否定はできません。
特に肺は肩甲骨に近い場所にあるため、肺の病気が原因の場合に注意が必要です。
内臓によっては、病気により離れた場所である肩甲骨に痛みを感じることがあり、これを関連痛といい、胸膜・横隔膜周辺にある内臓の影響で肩甲骨に痛みを感じる可能性があります。
このような内臓には、心臓や肺、胆のうがあり、以下のような病気があります。
肺の病気
肺炎や肺がん、気胸(肺に穴が開いてしまい、肺が膨らまなくなる病気)などの肺の病気が原因となることがあります。特に肺の後ろの方に病気がある場合、肩甲骨近くに痛みを感じることが多くなります。
心臓の病気
心臓の血流が悪くなる病気である狭心症や心筋梗塞では、肩に激痛を感じる場合があります。大動脈解離という、大動脈が裂ける病気でも同様に強い痛みを肩に感じる場合があります。
胆のうの病気
胆のうは体のやや右側にあります。胆のう結石(胆のう内に石が出来た病気)や胆のう炎(胆のうに炎症を起こした病気)が原因となる場合があります。
これらの内臓の病気の場合には、内科を受診し治療を受けることが重要です。
左肩関節の痛みが激しくて困っています。脳腫瘍手術歴と糖尿病の影響はありますか?
こんにちは。左肩の関節が痛くて困っています。特に頭を左に倒したり回したりすると痛みが強く、寝るときに右半身を上にすると痛みます。肩や首のこりは昔からありますが、最近の痛みは特にひどくなっています。20年前に脳腫瘍の手術を受け、今年7月から糖尿病でインシュリン注射を始めました。この痛みについて相談したいです。よろしくお願いします。
60代 / 男性
左肩の関節や筋肉の痛みについてご相談いただきありがとうございます。
まず、痛みが増していることや、特に夜間に痛みが強くなることは、日常生活に大きな影響を与えるため、早めの対応が重要です。
左肩の痛みの原因として考えられるものには、以下のようなものがあります。
1. 肩関節周囲炎(五十肩)
肩の関節や周囲の組織が炎症を起こし、痛みや動きの制限が生じることがあります。特に夜間に痛みが強くなることが特徴です。
2. 頸椎症
首の骨(頸椎)の変形や神経の圧迫が原因で、肩や腕に痛みが放散することがあります。頭を左に倒したり回したりする際に痛みが生じるのは、頸椎の問題が関与している可能性があります。
3. 肩の腱板損傷
肩の筋肉や腱が損傷している場合、特に動かしたときに痛みが生じます。長期間の肩こりや過去の外傷が関与していることもあります。
4. 糖尿病関連の神経障害
糖尿病の管理が不十分な場合、神経障害が生じることがあり、これが肩の痛みとして現れることもあります。 これらの症状が進行している場合、早めに医療機関を受診することが重要です。
また以下のような状況が見られる場合は、すぐに受診を検討してください。
- 痛みが急激に悪化している
- 夜間の痛みで睡眠が妨げられている
- 肩や腕の動きが制限されている
- 痛みが他の部位(首や背中)にも広がっている
これらの症状は、肩や首の深刻な問題を示唆する可能性があるため、専門的な診断と治療が必要です。特に、糖尿病の管理が関与している場合、神経障害のリスクも考慮する必要があります。
まとめ
左肩の痛みが増していることや、特に夜間に痛みが強くなることは、肩関節周囲炎や頸椎症、腱板損傷、糖尿病関連の神経障害などが考えられます。これらの症状が進行している場合、早めに整形外科や神経内科を受診することをお勧めします。お近くの医療機関は、こちらから検索できますのでご活用ください。
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