急性気管支炎の場合、大人と子供で症状の違いがありますか?
乳幼児は気道が狭いため、大人と異なり急性気管支炎の症状が重くなりやすいです。
急性気管支炎は、肺の大きな気道(気管支)に炎症が起き、主に咳が特徴となる病気で、肺炎を伴わないものを指します。大人と子供のどちらにもみられますが、年齢による体の違いから症状の現れ方が異なります。特に乳幼児では、以下の点に注意が必要です。
気道の構造の違い
乳幼児の気道は、大人に比べて直径が遥かに小さいです。
炎症によって気道の粘膜がわずか1ミリメートルほど腫れただけでも、大人の気道では気道抵抗が約3倍になるのに対し、乳幼児ではなんと約16倍にも増えてしまいます。
これは、空気の流れにくさ(気道抵抗)が、気道の半径の4乗に反比例するという物理法則(ポアズイユの法則)によるものです。
このため、乳幼児は大人に比べて同じ程度の炎症でも、より重い呼吸困難を感じやすく、疲労しやすく、呼吸不全に陥る可能性も高くなります。
環境要因への感受性
子供は大人よりも呼吸数が多いため、体格に比べてより多くの空気を吸い込みます。
屋外で活動する時間も長く、大気汚染などの有害物質にさらされる機会も増えます。これにより、気道の組織が損傷を受け、ウイルス性急性気管支炎のリスクが高まる可能性があります。
受動喫煙も、乳幼児の下気道感染症(気管支炎を含む)の主要なリスク要因とされています。
免疫システムの未熟性
乳幼児は免疫システムが、まだ発達途上にあるため、感染症への反応が大人と異なることがあります。
症状と経過
主な症状は咳で、喀痰(たん)、息切れ、鼻づまり、頭痛、発熱などもみられます。喀痰が黄色や緑色であっても、それが必ずしも細菌感染を示しているわけではありません。
大人の急性気管支炎による咳は、一般的に10日から20日続くことが多いですが、小児の場合は急性呼吸器感染症に伴う咳の約50%が10日以内に、90%が25日以内に治まるとされています。
しかし、2週間以上咳が続く場合(亜急性咳)は、百日咳や喘息、遷延性細菌性気管支炎などの可能性も考慮されます。
このように、特に幼い子供は体の構造や免疫機能が未熟なため、大人に比べて、急性気管支炎の影響をより強く受けやすいと言えます。
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科
山形 昂 監修
(参考文献)
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