ニューモシスチス肺炎(PCP)の場合、主にどのような治療をしますか?
ST合剤などの抗生物質を用いて治療します。ステロイド剤を併用することがあります。
ニューモシスチス肺炎はニューモシスチス・イロベチイという真菌(カビ)による感染症なので、抗生物質を用いた治療を行います。
まず、はじめに選ばれる薬は、ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム;バクタⓇ、ダイフェンⓇ)で、飲み薬と注射薬があります。
重症度に関わらず、まず使用される薬ですが、副作用などのため継続できないことも多いです。
他に使用される薬には、ペンタミジン(ベナンバックスⓇ)の注射やアトバコン(サムチレールⓇ)の内服などがあります。アトバコンは、ST合剤やペンタミジンに比べて副作用が少なく安全に使用できますが、効果面ではやや劣る報告もあるため、重症の場合には避けられています。
これらの薬を用いて、合計3週間(効果によってはそれ以上)の治療が行われます。
また、呼吸の状態が悪い場合には、肺の炎症を改善するためにステロイド剤を使用することが推奨されています。多くの場合は飲み薬を用いますが、内服が難しい場合や重症の場合には注射薬を使用することもあります。
薬以外にも、酸素の吸入や人工呼吸器などを使用して、呼吸の補助を行います。
なお、治療終了後も、免疫機能が低下しており予防が必要と考えられる期間は、薬を飲み続けることが推奨されます。ST合剤やアトバコンを飲み薬で治療期よりも少ない量を使用します。
公開日:
最終更新日:
京都大学医学部附属病院呼吸器内科 呼吸器内科
渡邉 アヤ 監修
(参考文献)
一般社団法人日本感染症学会ほか. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン ―呼吸器感染症―. 感染症学雑誌. 2014, 88, 1-109.
藤田 次郎ほか. 注目の疾患 3.ニューモシスチス肺炎Pneumocystis jirovecii. 日本内科学会雑誌. 2006, 95, 43-48.
藤井 毅. Pneumocystis jirovecii(ニューモシスチス・イロベチイ). 日本臨床微生物学会雑誌. 2016, 26, p.1-7.
塩野義製薬.“バクタⓇ配合錠・バクタミニⓇ配合錠・バクタⓇ配合顆粒 添付文書”.医薬品医療機器情報提供ホームページ.https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/343018_6290100D1088_2_07,(参照 2024-06-06).
グラクソ・スミスクライン.“サムチレールⓇ内用懸濁液15% 添付文書”.医薬品医療機器情報提供ホームページ.https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340278_6290006S1027_1_06,(参照 2024-06-06).
サノフィ.“ベナンバックスⓇ注用300mg 添付文書”.医薬品医療機器情報提供ホームページ.https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/780069_6419400D1037_1_09,(参照 2024-06-06).
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
この記事をシェアする
治療が必要な患者様へのお願い
ニューモシスチス肺炎(PCP)
の方は説明を必ずお読みください
こちらのQRコードを
スマーフォンのカメラで読み取ってください
QRコードを読み取るだけ 非接触で安心
一問一答なので 読むのが簡単
どんな治療をするべきか 納得して取り組める
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラサービスの目的と位置付け
ユビー病気のQ&Aは、情報提供を目的としたサービスのため、医師・医療従事者等による情報提供は診療行為ではありません。
診療を必要とする場合は、医師・医療機関にご相談ください。
当サービスは、信頼性および正確な情報発信に努めますが、内容を完全に保証するものではありません。
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。