ニューモシスチス肺炎（PCP）の原因は何がありますか？

免疫機能が低下した状態で、ニューモシスチス・イロベチイという真菌（カビ）に感染することが原因です。

免疫機能が低下しており発症リスクの高い例として、

• HIV感染により、リンパ球が一定以上少なくなった人
• 生まれつきの免疫不全がある人（原発性免疫不全症候群）
• 臓器移植、リンパ腫や白血病などの血液がん、膠原病などのために免疫機能を弱くする薬を使用している人

が挙げられます。免疫機能を弱くする薬には、ステロイド剤、免疫抑制剤や、一部の生物学的製剤と呼ばれる薬剤が挙げられます。

この病原体は、人においてはありふれたものです。幼児期までのうちに多くの人が、症状のない感染（不顕性感染）を経験していると考えられています。
以前は、過去に感染して体内に潜伏していた病原体が、免疫機能の低下により増殖することで発症すると考えられていました。
しかし、最近では集団感染の事例が複数あることから、感染者からヒトーヒト間で感染し、免疫が低下した状態では菌を排除できずに発症するのではないかと考えられています。
また、病原体はほとんど肺内にのみに存在すること、患者さんの周囲の空気中から菌が検出されることなどから、感染経路は吸入によるもの（中でも空気感染）と考えられています。