肝性脳症の初期症状は?肝性脳症と症状の関連性をAIで無料でチェック
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
肝性脳症とは
肝硬変や急性肝炎などで、肝臓の働きの一つであるアンモニアの解毒が滞り、意識障害をきたす状態です。
「肝性脳症」とはどのような病気ですか?
肝臓の機能が著しく悪くなることで有害物質が血中に蓄積されて脳に達し、意識障害など脳機能の低下を引き起こす病気です。
肝臓はアンモニアなどの有害物質を分解する働きをしています。
肝臓の病気により肝臓の機能が低下すると、これらの有害物質がうまく分解されなくなり血中に蓄積します。
それらが脳に運ばれて脳機能の低下を引き起こし、意識障害(呼びかけへの反応が悪いなど)などの症状があらわれる状態を肝性脳症と言います。
原因としては、肝硬変や急性肝不全といった肝疾患が原因となることが多いです。
治療としては、まずは肝性脳症の原因の除去を行い、同時に腸におけるアンモニアの生成や吸収を妨げる薬やアミノ酸製剤を使用します。
肝性脳症の症状
羽ばたき振戦とはどのような症状ですか?
腕を伸ばし手を前に広げたときに起こる、羽ばたくような手の震えです。
羽ばたき振戦とは、肝性脳症の進行に伴ってあらわれる手の震えです。
両腕を前に伸ばして手のひらを前に向けて反らせた際に、手が脱力を繰り返すことで羽ばたくような震えが起こります。
肝性脳症の昏睡度5段階中の2段階目以降でみられ、さらに昏睡度が進行することで興奮、意識レベルの低下が見られます。
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肝性脳症の終末期の症状には、どのようなものがありますか?
肝性脳症の症状が最も進行すると、深い昏睡状態となり、痛みなどの刺激にも反応しなくなります。
肝性脳症の症状は主に4段階に分類されます。(West Haven Criteriaと言います)
その最終段階である4段階目の症状として、終末期には痛みにも全く反応しない昏睡状態となります。
また、症状は徐々に進行していくため、その前段階として日中でも眠ったような状態になったり、人や時間、場所がわからなくなったり、錯乱状態になります。
これらの症状が現れた場合には早急な対応が必要になるため、救急での受診が必要です。
アンモニア値が高くなるのは、肝性脳症の症状ですか?
いいえ、原因と結果が逆です。肝機能が低下することで血液中のアンモニア値が高くなり、結果として肝性脳症になります。
血液中のアンモニア値が高くなることは肝性脳症の症状ではありません。原因と結果が逆になります。
肝臓の機能が低下することによってアンモニアが代謝されずに血液中に蓄積し、アンモニア値が高くなります。
その結果、蓄積したアンモニアによって意識障害などの症状が起こるのが肝性脳症です。
したがって、アンモニアの値が高くなる現象は肝性脳症の症状としてあらわれるわけではなく、アンモニア値が高くなることで肝性脳症が引き起こされるのです。
肝性脳症には初期症状はありますか?
はい。人格や行動の変化や判断力の低下、睡眠障害、抑うつなどといった症状が起こります。
肝性脳症の症状は主に4段階に分類されます。(West Heaven Criteriaと言います)
そのうち1段階目の初期症状として、以下のような変化が挙げられます。
- 昼夜逆転などの睡眠リズムの変化
- 不安、または過度な幸福感を感じる
- 普段よりも行動がだらしなくなる
肝性脳症の初期症状は、上記のような普段一緒にいる方しかわからない軽度の精神的変化から始まります。
しかし、症状が進行すると、昏睡などのより重篤な症状につながるため、早期発見と治療が重要です。
肝性脳症ではどのような症状がありますか?
意識障害や昏睡、羽ばたき振戦という特徴的な手の震えなどの症状があります。
肝性脳症の主な症状は意識障害で、以下のような症状があらわれます。進行すると昏睡状態となることもあります。
- 普段と比べて頭がはっきりしない、あるいは意識がおかしいと感じる
- 食欲がない
- 白目や皮ふが黄色くなっている
- 物忘れがある
- 手足、顔のむくみがある
- 日中も著しく眠い
- 性格が変わったり周りの人とコミュニケーションがうまく取れなくなった
また「羽ばたき振戦」という特徴的な手の震えが出ることもあります。
肝性脳症の原因
肝性脳症の原因は何がありますか?
肝臓の機能が低下し、除去できなくなったアンモニアなどの毒素が血液中に蓄積されることで起こります。
肝性脳症は、肝臓の機能低下によってアンモニアなどの有害物質が血液中に蓄積し、それらが脳に運ばれることで起こります。
原因となる肝機能低下の原因としては、肝硬変(肝臓の慢性的な炎症によって肝臓の機能が悪くなる病気)や急性肝不全(ウイルスや薬剤による急激な肝臓の炎症)などがあります。
有害物質がたまってしまう仕組みとしては、肝臓自体の代謝機能が落ちてしまうことによる場合と、肝臓を通らない血管(シャントと言います)の発達によって、肝臓を通る血液が少なくなってしまうことによる場合があります。
肝性脳症の検査・診断
肝性脳症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
元々重度の肝疾患を患っており、かつ以下の症状が見られる場合は肝性脳症の可能性があります。
- 睡眠リズムの異常(昼夜逆転)
- 抑うつ状態、過度の幸福感を感じる
- 時間や場所、物を間違える
- 普段よりだらしない
- ぼーっとしたり眠ってしまう
- 普段と比べて頭がはっきりしない、あるいは意識がおかしいと感じる
- 食欲がない
- 性格が変わったり周りの人とコミュニケーションがうまく取れなくなった
また、症状検索エンジン「ユビー」も質問に答えるだけでセルフチェックができますので、ご活用ください。
肝性脳症の場合、MRI検査を行うことはありますか?
他の病気と鑑別するために、MRI検査を行うことがあります。
肝性脳症の診断は、主に臨床症状と血液検査によって行われます。
代表的な症状には、
- 時間、場所、人などを認識できない
- 無気力、無関心
- 異常な行動や言動
- 羽ばたき振戦
- 錯乱や興奮状態
- 意識障害
などがあり、これらの症状とあわせて、肝機能障害や、血液中のアンモニア値の上昇(高アンモニア血症)を確認することで診断に至ることが多いです。したがって、肝性脳症の診断において、MRI検査は必須ではありません。
ただし、他の病気と鑑別するために、MRI検査を行うことがあります。特に、以下のような場面では、脳卒中・脳腫瘍・脳炎などの病気を除外するために実施されることがあります。
- 初めて肝性脳症を発症した
- 突然の強い意識障害や痙攣がみられた
- 通常の治療に反応しない
肝性脳症の診断基準を教えてください。
肝性脳症は肝機能低下に起因する脳の機能障害です。診断のために肝臓以外の病気を除外することが重要です。
肝性脳症は、肝臓の機能が低下することで、血液中にアンモニアなどの有害物質がたまり、脳の働きに影響を与える病気です。
診断のためには、特徴的な精神・神経症状がみられることと、他の病気が原因ではないことを確認します。
肝性脳症に似た精神・神経症状、意識障害を起こす病気には、次のようなものがあります。
- 低血糖
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 急性アルコール中毒
- 急性薬物中毒
- 電解質異常
- てんかん
- 精神疾患
- 脳卒中
これらの病気を除外することが、肝性脳症の診断には不可欠です。
また、肝性脳症は血中アンモニア値の上昇がみられることがあります。しかし、すべての肝性脳症の患者さんで上昇するわけではないため、アンモニア値だけで肝性脳症かどうかを診断することはできません。
肝性脳症の治療・対処法
肝性脳症への対処法は?
薬の内服や点滴治療が必要になります。背景の肝臓の病気も併せて専門の医療機関での治療が必要になります。
肝性脳症の場合、主にどのような治療をしますか?
原因がある場合は、まずその原因を取り除きます。それに加えて、薬や点滴を併用して治療を行います。
肝性脳症を引き起こす原因として、蛋白質の過剰摂取、消化管出血、便秘、感染症などがあります。これらがある場合は、まずこの原因を取り除きます。
それに加えて、以下のような薬剤を併用して治療を行います。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤
体内のアミノ酸のバランスを整えることで症状を改善します。飲み薬だけでなく点滴での投与も可能です。
非吸収性合成二糖類(ラクツロースなど)、非吸収性抗菌薬
アンモニアの一部は腸内細菌によって作られるため、便秘を解消したり腸内細菌のバランスを整えることでアンモニアの生成を抑えます。
その他にも亜鉛やカルニチンといった薬が使われることがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
肝性脳症を放置するとどうなりますか?
肝性脳症を放置して悪化すると、いずれ深い昏睡状態になります。最悪の場合、死亡する可能性があります。
肝性脳症は、肝臓の機能が低下することで、アンモニアなどの有害な物質が血液中にたまり、脳の働きに影響を与える病気です。
肝性脳症の初期には、次のような些細な変化がみられることがあります。
- 昼夜逆転など、睡眠リズムが乱れる
- 理由のない不安や、反対に過度な高揚感が起きる
- だらしない行動が目立つようになる
肝性脳症が悪化すると、次のような症状が現れることがあります。
- 興奮したり、せん妄(幻覚・錯乱)状態になる
- 意識がもうろうとする
- 刺激にも反応しない深い昏睡状態になる
- 最悪の場合、命に関わる重篤な状態になる
肝性脳症を発症した場合は放置せず、すぐに病院を受診しましょう。
肝性脳症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
重度の肝疾患があり、意識の状態がいつもと違うと感じた場合、救急外来または消化器内科を受診しましょう。
もともと重度の肝疾患があり、かつ意識の状態がいつもと違う状態であると、肝性脳症を疑う受診の目安となります。
肝性脳症が疑われる場合、消化器内科を受診しましょう。
ただし、急激な意識の変化がある場合には早急な対応が必要になるため、救急外来を受診しましょう。
肝性脳症の名医の探し方を教えてください。
専門医資格や肝疾患連携拠点病院から探す方法があります。また、かかりつけ医に相談してもよいでしょう。
「肝性脳症の名医」を探すには、「どの医師が専門で、信頼できるか」を知ることが大切です。
以下の方法がおすすめです。
①肝臓専門医や日本肝臓学会認定施設を確認する
「日本肝臓学会」の専門医(肝臓専門医)は、慢性肝炎・肝硬変・肝がんなどを専門に診ている医師であり、肝性脳症にも対応可能です。
日本肝臓学会のホームページから、都道府県ごとに肝臓専門医を調べることができます。また、都道府県ごとに日本肝臓学会の認定施設・関連施設・特別連携施設も確認できます。
②肝疾患診療連携拠点病院を探す
全国に「肝疾患診療連携拠点病院」があります。ここでは、肝臓の病気に対する専門的治療や医療情報の提供が行われています。
肝炎情報センターのホームページから、肝疾患診療連携拠点病院を検索することができます。
③かかりつけ医に紹介してもらう
信頼できるかかりつけ医がいれば、「肝臓の病気や肝性脳症に詳しい専門医」を紹介してもらうのが安心です。
また、紹介状があるとスムーズに診てもらえるかもしれません。
Ubieでは以下の「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
肝性脳症の専門医がいる近くの病院はありますか?
肝性脳症の専門医がいる病院を見る肝性脳症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「肝性脳症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- これまでに【肝硬変】と診断されたことはありますか?
- 頭がボーっとする、すっきりしない感じがしますか?
- 普段と比べてぼーっとしていますか?
- 吐き気や嘔吐がありますか?
- 手や腕にむくみがありますか?
肝性脳症に関連する病気・症状
この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03