ホモシスチン尿症の寿命はどれくらいですか?

早期治療により一般の人と同程度の寿命が達成できますが、未治療では若年期に血栓死も起こりえます。

ホモシスチン尿症は、早期発見と継続治療により、ほぼ正常な寿命を達成できますが、未治療またはコントロール不良の場合は、主に血栓症により寿命が著しく短縮します。

ホモシスチン尿症は、かつては進行性の代謝異常として重症化する例が多く、寿命が短い病気と考えられていました。しかし、新生児マススクリーニング(生後早期に受ける一斉検査)による早期発見と、ビタミン・食事療法の進歩により、現在では長期予後が大きく改善しています。

ビタミンB₆が有効なタイプでは、ホモシステイン濃度を適切に管理できれば寿命は一般の人と変わりません。ビタミンB₆が無効なタイプでも、低メチオニン食・ベタイン・葉酸・ビタミンB₁₂などを適切に併用すれば、血栓症(脳梗塞、肺塞栓、冠動脈疾患)などの重篤な合併症を防ぎ、成人以降も安定した生活が可能です。

一方、治療がなされずホモシステイン値が高いまま放置されると、若年で血栓症が起こり、10〜30歳代で突然死するケースがあります。特に、思春期以降に動脈硬化が進み、脳や心臓の血管障害が主な死因になります。

長期生存のためのポイントは、以下の通りです。

  • 定期通院と血液検査を継続し、血中ホモシステイン濃度を厳密に管理する
  • 脱水・長時間の安静を避ける(血栓予防)
  • 栄養士・専門医による長期フォローアップを受ける

ホモシスチン尿症は、早期発見によりコントロール可能な慢性疾患です。治療を中断せず、合併症を総合的に管理すれば、通常の社会生活や就労・出産も十分可能です。

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宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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