先天異常児（奇形児）の原因は何がありますか？

「奇形児」という言葉は現在では使われず、正しくは「先天異常児」と呼びます。先天異常の原因は、胎児の発達過程において遺伝的要因と環境的要因が複雑に関係して生じます。

【先天異常の主な原因】

1. 遺伝的要因

• 染色体異常：染色体の数や構造の異常によって、ダウン症候群やターナー症候群などが起こります。母親の高齢化により、一部の染色体異常のリスクが高まります。
• 遺伝子変異：単一遺伝子の異常により、代謝異常や形成異常などが生じることがあります。

2. 環境的要因

• 母体感染：風疹やサイトメガロウイルスなどへの妊娠中の感染は、胎児の心臓・眼・聴覚などの発達に影響を及ぼします。
• 薬剤・化学物質：妊娠初期の一部薬剤（抗けいれん薬、ビタミンA誘導体など）やアルコール、喫煙、有毒化学物質（重金属、農薬など）が胎児の発育に悪影響を与えることがあります。放射線被曝や母体の糖尿病・肥満・栄養不良（葉酸やその他の重要なビタミンやミネラルの不足）も関与することがあります。

実際には原因が特定できない「多因子性（遺伝と環境の複合）」のケースが大半であり、先天異常の約50～70%は原因不明です。先天異常のすべてを防ぐことはできませんが、妊娠前後の生活習慣によって一部は予防が可能ですので、妊娠を希望している方、または、妊娠初期の方は次の点に注意してください。

• 葉酸の摂取
• 風疹の予防接種（妊娠前）
• アルコールと喫煙の回避
• 未加熱・不衛生な食品の回避
• 薬剤やサプリメントの使用は必ず医師や薬剤師に相談する