先天異常児（奇形児）にはどのような種類がありますか？

「奇形児」という言葉は現在では使われず、正しくは「先天異常児」と呼びます。これは、生まれつき体や臓器の形、あるいはその働きに異常がある状態を指します。先天異常にはさまざまな種類があり、大きく分けて「形の異常（構造的な異常）」と「働きの異常（機能的な異常）」の2つがあります。

構造的な異常には、体の一部の形に関わるものが含まれます。たとえば、口唇口蓋裂（くちびるや口の中の裂け目）、指や手足の欠損・多指症、心臓の壁に穴があく心室中隔欠損、脳や脊髄がうまく形成されない二分脊椎などです。これらは手術やリハビリによって改善・管理できる場合も多くあります。

一方、機能的な異常は、見た目ではわかりにくいものもあります。たとえば、先天性甲状腺機能低下症などの内分泌異常、フェニルケトン尿症などの代謝異常、ダウン症候群などの発達・知的障害、聴覚・視覚障害などが含まれます。これらは早期診断と治療により、発達や生活の質を大きく改善できることが知られています。

また、複数の臓器や機能に異常が同時に見られる「複合異常」もあり、遺伝と環境要因の両方が関わることが多いとされています。

先天異常は重症度も原因もさまざまで、軽度で日常生活に支障がない場合から、生涯にわたり医療的支援を必要とする場合まで幅広く存在します。近年は医療の進歩により、多くの子どもが治療を受けながら、健やかに成長できるようになっています。