小児喘息(重症)はどのような検査を行いますか?
呼吸機能検査、気道可逆性検査、気道過敏性検査、呼気中一酸化窒素濃度測定などが行われます。
小児喘息の診断や状態を評価するために、いくつかの検査が用いられます。お子さんの年齢や症状によって、どの検査を行うかが変わってきます。
呼吸機能検査
- スパイロメトリー:息を思い切り吸ったり吐いたりする量や速さを測る検査で、気管支がどれくらい狭くなっているかや、薬でどれくらい広がるか(可逆性)を評価します。6歳から18歳までの日本人の基準値も定められています。
- ピークフロー測定:息を勢いよく吐き出すときの最大の速さを測る検査で、ご家庭でも手軽に行え、喘息の状態を把握するのに役立ちます。こちらも年齢と身長に応じた基準値があります。
気管支拡張薬反応性検査(気道可逆性検査)
- 気管支を広げる薬を吸入した後に、呼吸機能がどれだけ改善するかを評価する検査です。検査前には、一部の気管支拡張薬の使用を一定期間中止する必要があります。
気道過敏性検査(メタコリン吸入検査など)
- アレルギー反応を起こしやすい物質(例えばメタコリン)を吸入して、気管支がどれくらいの刺激で狭くなるかを調べる検査です。この検査の前にも、特定の薬の休薬期間が必要です。
運動負荷検査
- 運動をすることで喘息発作が誘発されるかどうかを調べる検査です。自転車エルゴメーターやトレッドミル(ランニングマシン)、またはフリーランニング(自由に走る)などの方法で行われます。運動の前後で肺の機能(1秒量など)を測定し、低下の割合を評価します。検査前には、β2刺激薬や抗コリン薬、抗ヒスタミン薬などの使用を一定期間中止することが望ましいとされています。
呼気中一酸化窒素濃度(FeNO:Fractional exhaled Nitric Oxide)測定
- 吐き出す息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測る検査です。この濃度は、気管支の炎症の程度を反映すると考えられています。専用の機器(NIOX VEROやNObreath V2など)を使って測定します。
血液検査
血中のIgE(アレルギー反応に関わる抗体)や好酸球(アレルギー反応に関わる白血球)の数を調べることもありますが、特に重症心身障害を持つお子さんの場合、これらの数値が正常でも喘息と診断されることもありますが、これらの数値だけでは診断根拠とならない場合もあります。
重症心身障害を持つお子さんの場合は、呼吸機能検査が難しいことが多いため、喘鳴の有無、β2刺激薬への反応、あるいはインパルスオシロメトリー(IOS)やマルチブレス法による呼気NO測定などが診断の補助となる可能性があります。
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科
山形 昂 監修
(参考文献)
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