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息苦しさの原因となる病気のうち、緊急性の高いものは何ですか?
おだかクリニック 循環器内科 副院長
小鷹 悠二 監修
心筋梗塞や肺塞栓(エコノミークラス症候群)、気胸、重症喘息、アナフィラキシー等は緊急性の高い危険な病気です。
息苦しさを引き起こす病気のうち、緊急性の高い危険な病気には、以下のようなものがあります。
- 心筋梗塞
- 肺塞栓症(いわゆる「エコノミークラス症候群」)
- 心不全
- 気胸
- アナフィラキシー
- 異物誤飲
- 気管支喘息(重積発作等)
ただし、これら以外の病気でも、状態によっては緊急の処置が必要となることがあります。
呼吸困難と心房頻拍、再検査や精神科受診の必要性について教えてください。
ここ数ヶ月、息苦しさに悩まされています。 数ヶ月前に初めて激しい動悸を経験し、救急外来を受診しました。その後は月に1~2度の頻度で息苦しさを感じています。動悸を伴う場合と伴わない場合があります。循環器内科を受診し、心電図検査で心房頻拍と診断されました。 またそれからしばらくして、ほぼ毎日息苦しさを感じるようになりました。特に朝、夜、食後、運動時に強く感じます。以前は毎日運動していましたが、今は軽い運動でも息苦しさを感じてできません。この期間に動悸はありません。 また、37.5度程度の微熱が時々あり、半日程度で下がります。発熱時にだるさを感じることはありますが、それ以外の症状はありません。発熱時に動悸を感じたことが3度ほどあります。 また最近、毎日胸の辺りに鈍い違和感があります。場所はピンポイントで、痛みではありません。横になった時など、安静時に常に感じます。水を飲むと喉に違和感を感じるようになりました。 これまでに循環器内科、呼吸器内科を受診し、様々な検査を受けてきました。 循環器内科: ホルター心電図検査を2度、レントゲン検査、心エコー検査、血液検査を実施。息苦しさを感じるタイミングと心電図に関連性は見られませんでした。発熱と心房頻拍の関連性についても不明とのことでした。息苦しさは過換気症候群の可能性が高いとのことで、頓服薬を処方されました。1週間ほど、息苦しい時に服用して改善していますが、薬の効果か時間経過によるものか、判断がつきません。 呼吸器内科: レントゲン検査、気道抵抗性試験、呼吸機能検査を実施。検査結果が少し正常値から外れていたため、喘息の疑いがあるとのことで吸入薬を処方されました。2週間使用しましたが、症状に変化はありませんでした。 両方の診療科で検査結果を共有していますが、現時点では明確な原因は特定されていません。循環器内科の医師からは、精神的なものが原因となっている可能性も考えられるため、精神科への受診を勧められています。 息苦しさの原因が他にないか、セカンドオピニオンや再検査を受けた方が良いのか、それとも精神科を受診して様子を見た方が良いのか、アドバイスをいただけないでしょうか。大変不安に感じています。
20代 / 男性
ご相談ありがとうございます。お話を伺う限り、現在の症状は過換気症候群の可能性は十分ありえると考えられますが、他の疾患の可能性も完全には排除できません。「精神科に受診してみて症状が改善するか様子をみてほしい」という循環器内科の先生の通り、まずは受診し、治療によって症状が改善するか試してみることは、一般的な診療のフローだと考えられます。
過換気症候群について
過換気症候群は、ストレスや不安が原因で呼吸が速く浅くなり、体内の二酸化炭素が減少することで様々な症状が現れる状態です。以下のような症状が特徴です。
- 息苦しさ
- 胸の違和感
- 動悸
- 手足のしびれや冷感
あなたの症状の一部はこれに該当するため、過換気症候群の可能性があります。(精神科では、症状に応じて広場恐怖症や、パニック障害などの診断名になるかもしれません)
症状が最初に起こったとき、何かストレスの要因はなかったでしょうか(例えば、重要な仕事上のプレゼン、満員電車で息苦しい状況など)。ただ、2回目以降は、「また発作が起こるのではないか」という予期不安から、特に緊張するような状況でなくても起こる可能性があります。
他の疾患の可能性
ただし、以下の点は過換気症候群では説明できないため、ほかの疾患を考慮する必要があります。
- 発熱があること
- 喉のイガイガ感
- 胸の鈍い違和感
これらの症状は他の疾患とも関連する可能性があります。例えば、何らかの感染症やアレルギー、胃食道逆流症なども否定はできません。
今後の対応
精神科の受診をおすすめします。循環器内科の医師からのアドバイス通り、精神科を受診してみることは良い選択だと思われます。過換気症候群(広場恐怖症、パニック障害)は心理的な要因が大きいので、専門の医師に相談することで症状が改善する可能性があります。精神科では以下のような治療が提案されることがあります。
- 薬物療法: 抗不安薬だけでなく、抗うつ薬が処方されることがあります。
- 心理療法: ストレスや不安の原因を探り、対処法を学ぶことができます。
- リラクゼーション法: 呼吸法やリラクゼーション技術を学び、過換気を防ぐ方法を身につけることができます。
また以下については再度呼吸器内科や循環器内科に相談されることがおすすめです。
特に、発熱や喉のイガイガ感が続く場合は、精神科疾患で説明できないため、病状をお伝えいただき、再度詳しい検査を受けることをお勧めします。
まとめ
現在の症状は過換気症候群(もしくはそれに類する精神科の疾患)の可能性がありますが、他の疾患の可能性も完全には排除できません。まずは精神科を受診してみることをお勧めしますが、症状が続く場合や新たな症状が現れた場合は、再度呼吸器内科や循環器内科に相談してください。精神科・心療内科を選ぶ基準は、先生との相性も重要ですが、日本精神神経学会の専門医や、精神保健指定医という資格を持った医師をおすすめします(資格がない場合、精神科の経験が浅い医師である可能性があります)。 お近くの精神科・心療内科は、こちらから検索できますのでご活用ください。
どうぞお大事になさってください。
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