ホモシスチン尿症を放置するとどうなりますか?

放置すると血栓症や臓器障害が進行し、若年で死亡する危険があります。

ホモシスチン尿症を放置すると、ホモシステインが血管・骨・神経・眼などに障害を起こし、若年での死亡リスクが高まります。

ホモシスチン尿症は、メチオニンというアミノ酸の代謝異常によって体内にホモシステインが蓄積する病気です。ホモシステインは血管や結合組織を傷つけるため、治療を行わずに放置すると、時間の経過とともに全身に深刻な障害が広がっていきます。

① 血管障害

ホモシステインは血管の内膜を傷つけ、脳梗塞、肺塞栓、冠動脈疾患などの血栓症を引き起こします。これらは放置例における主な死亡原因です。

② 神経・精神の障害

ホモシステインが脳にも悪影響を与え、知的障害、発達遅滞、てんかん発作、注意力や学習能力の低下などが進行します。成長後には認知症やうつ症状を伴うこともあります。

③ 眼・骨格の異常

ホモシステインが結合組織を弱め、水晶体脱臼(目のレンズがずれる)を起こします。多くの場合10歳までに進行し、重度の視力障害または失明につながります。さらに骨粗鬆症や、側弯症、胸郭変形、細長い手足などの骨格異常が進みます。

食事療法やビタミン治療を早期に始めれば、ほぼ通常の生活と寿命を保つことが可能ですが、治療を受けずに放置すると、複数の臓器に深刻な障害を引き起こし、生活の質が低下します。また10〜30歳代で血栓症による突然死を起こすことがあり、寿命は著しく短くなります。放置による進行はゆっくりでも不可逆的(元に戻せない)なため、早期発見と継続治療が極めて重要です。

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宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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