食道癌の初期症状は?食道癌
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
食道がんとは
食道にできる悪性腫瘍で、アルコールや喫煙、胃酸の逆流などが関係します。早期であれば内視鏡治療、それ以外は外科手術、抗がん剤治療、放射線治療などが適応になります。
「食道がん」とはどのような病気ですか?
食道から発生するがんのことです。
食道はのどと胃をつなぐ管状の臓器です。
食道の壁の表面にある粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序に増えていくことで食道がんが発生します。食道がんの90%程度は「扁平上皮がん」というタイプで喫煙や飲酒がリスクとなりますが、中には「腺がん」というタイプのがんが発生することがあり、これは逆流性食道炎がリスクとなります。
食道がんの症状
よくむせるのは食道がんの症状ですか?
「よくむせる」ことが、必ずしも食道がんの症状とは限りませんが、関連する場合もあります。
「よくむせる」ことが、必ずしも食道がんの症状とは限りませんが、関連する場合もあります。
食道がんの主な症状には、食べ物が飲み込みにくくなる「嚥下困難」があります。
この状態が進行すると、飲食物が気管に入りやすくなり、むせる原因になることがあります。特に、固形物だけでなく液体でもむせるようになった場合は注意が必要です。
ただし、むせる原因にはほかにも、逆流性食道炎や加齢による飲み込みの機能低下、神経の病気などが含まれるため、むせが続く場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
食道がんに限らず、早期発見が予後に大きく影響するため、気になる症状は放置せず相談しましょう。
食道がんではどのような症状がありますか?
飲食時のつかえる感じや胸の違和感、胸の痛み、体重減少、吐血、便が黒くなるなどの症状があります。
食道がんの初期段階ではほぼ症状がありません。
がんが進行して大きくなると食道がせまくなるため、食べ物が通りにくくなり、食べ物を飲み込んだ際につかえる感じや違和感、痛みが起きます。意図せず体重が減ることもあります。
食道がんから出血をすると、吐血、便が黒くなる、めまいや立ちくらみなどの貧血症状が起きます。
食道がんの末期にはどのような症状がみられますか?
食道がん末期は嚥下困難や痛み、声のかすれ、呼吸困難などが現れます。
食道がんの末期には、以下のような症状が現れることがあります。
- 体重減少:食事摂取の困難さや全身状態の悪化により栄養状態が悪くなり、体重が減少します。
- 嚥下困難:食道の狭窄や閉塞により、固形物や水分の摂取が難しくなります。
- 胸や背中の痛み:がんの進行により、周囲の組織や臓器が圧迫され、痛みを感じることがあります。
- 声のかすれ:がんが声帯の動きを調節している神経(反回神経)に浸潤することで、声がかすれることがあります。
- 咳や呼吸困難:食道と気道が近いため、がんの進行により咳や呼吸困難が生じることがあります。
また、気道や肺にも影響がおよび肺炎や膿胸、胸水を引き起こしたり、肝臓、骨、脳などにがんが転移し、それぞれの臓器に特有の症状が現れることがあります。
これらの症状は、がんの進行度や個人差によって異なります。症状が現れた場合は、早めに医師に相談し、適切な対処を受けることが重要です。
食道がんの初期症状にげっぷはありますか?
食道がんの初期段階では、無症状のことがほとんどです。がんが進行すると、食事の際のつかえ感やげっぷなどの症状が起こる場合があります。
食道がんの初期症状については、以下をご参照ください。
げっぷは食道がんの主な症状ではありませんが、症状のひとつとしてげっぷがでることもあります。
げっぷの主な原因については、以下をご参照ください。
食道がんには初期症状はありますか?
早期の食道がんでは症状がほとんどありません。 飲食の際に軽度の違和感、痛みなどの初期症状がおこることもあります。
食道がんの初期段階ではほぼ症状がありません。
一部の人で「食べ物を飲み込んだ時に胸がチクチク痛む」「熱いものを飲み込んだ時に胸がしみる」などの症状が初期におこることがありますが、これらの症状は軽微で、一時的に消えることもあるため、見過ごされがちです。
食道がんの原因
食道がんの原因は何がありますか?
喫煙、飲酒、肥満、胃食道逆流症やバレット食道などの病気は、食道がんの原因として挙げられます。
食道がんには主に「扁平上皮がん」と「腺がん」という2つのタイプの癌(がん)があり、日本では約90%が扁平上皮がんと言われています。それぞれのタイプの食道がんのリスクは以下に挙げる通りです。
食道扁平上皮がんのリスク
60~70歳代程度で発症することが多いです。
- 喫煙
- 飲酒
- 野菜・果物が少ない食生活
- 熱すぎる飲食物の摂取
- 食道アカラシア
食道腺がんのリスク
50~60歳代程度で発症することが多いです。

食道がんの検査・診断
食道がんのセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下の症状が当てはまる場合は、食道がんに限らず消化管の病気が隠れている可能性があるため、消化器内科を受診しましょう。
- 食べ物が胸につかえる
- 熱い液体を飲むと胸の奥がしみるような感じがする、またはチクチク痛む
- 血を吐く
- 便が黒くなる
- 半年で体重が5%以上減る
食道がんのバリウム検査で何がわかりますか?
食道の内腔がどれくらい狭くなっているか、がんの位置や大きさなどがわかります。
食道がんのバリウム検査では、食道の内腔がどれくらい狭くなっているか、がんの位置や大きさなどがわかります。
食道がんのバリウム検査では、造影剤であるバリウムを飲み、X線で撮影して食道の内部構造を調べる検査です。バリウムが食道を通る様子をリアルタイムで観察でき、不整な狭窄や食道壁の変化などが描出されます。早期のがんは食道表面の微妙な変化として現れるため、見逃しを防ぐために内視鏡検査の補助として使われています。粘膜を詳しく調べたい場合は内視鏡などで確認します。
食道がんのヨード検査について教えてください。
内視鏡検査中に食道粘膜にヨードをスプレーして染色し、がんの存在や範囲を視覚的に確認する検査法です。
食道がんのヨード検査は、内視鏡検査中に食道粘膜にヨードをスプレーして染色し、がんの存在や範囲を視覚的に確認する検査法です。
正常な食道粘膜はグリコーゲンという成分が多く含まれ、ヨード液と反応して茶褐色に染まります。しかし、がん細胞はグリコーゲンが少ないため正常組織のように染まらず、不染帯として白っぽくくっきりと浮かび上がるという違いを利用しています。内視鏡観察だけでは見逃しやすい平らな早期がんや微小病変を見つけやすく、特に扁平上皮がんの診断に欠かせません。また、切除範囲を正確に決めるために行われることがあります。
食道がんのCT検査で何を確認するのですか?
がんの広がりや大きさ、転移の有無、治療後の経過観察で変化がないかなどです。
食道がんのCT検査では、X線撮影で食道がんの大きさ、食道壁の浸潤深さ、周囲の気管や大動脈、心臓、肺などの隣接した臓器への広がりの有無などを評価します。
リンパ節転移の有無や範囲、ほかの臓器に遠隔転移していないかも調べます。進行度を判定するために重要な検査です。また、治療後は再発の早期発見を目的として、年1~4回程度CTを含めた画像検査が行われます。頻度は治療時のがんの進行度や受けた治療などによってさまざまです。
参考文献
.“食道がん 検査”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/public/cancer/esophagus/diagnosis.html,(参照 2026-02-03).
日本食道学会.“食道がんの診断・検査 CT、MRI、PET検査”.食道がん一般の方用サイト .https://www.esophagus.jp/public/cancer/04_examination.html,(参照 2026-02-03).
.“CT検査”.がん情報サービス .https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/ct.html,(参照 2026-02-03).
食道がんのPET検査はどのような時に行いますか?
主にがん診断後の進行度評価、特に転移の有無を確認する時に行われます。
食道がんのPET検査は、主にがん診断後の進行度評価、特に転移の有無を確認する場合に行われます。PET検査は糖代謝を画像化して、がんや転移の有無を調べる検査です。がん細胞は正常細胞よりも高い活性でブドウ糖を吸収する性質を利用しています。
全身のがん細胞を検出するために、リンパ節、肺、肝臓、骨などへの遠隔転移の検索、治療方針の決定や治療効果の判定、再発が疑われた時などにも、CTや超音波検査と併用して行われることがあります。
参考文献
.“食道がん 検査”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/public/cancer/esophagus/diagnosis.html,(参照 2026-02-03).
.“画像診断ガイドライン2021年版(第3版)”..https://www.radiology.jp/content/files/gl2021/diagnosticimagingguidelines_2021.pdf,(参照 2026-02-03).
日本食道学会.“食道がんの診断・検査 CT、MRI、PET検査”.食道がん一般の方用サイト .https://www.esophagus.jp/public/cancer/04_examination.html,(参照 2026-02-03).
食道がんの内視鏡検査はどのように行いますか?
口や鼻から細い管状の内視鏡を挿入して食道の内側を直接観察します。
食道がんの内視鏡検査は、口や鼻から細い管状の内視鏡を挿入して食道の内側を直接観察する方法で行います。麻酔薬をスプレーしたり点滴をしたりして痛みを抑え、撮影画面に映る食道の粘膜の色や形の変化を直接観察できる検査です。
がんの疑いがある箇所から組織を採取して病理検査を行います。がんの深さや広がり、リンパ節転移などを詳しく調べたい時は、先端に超音波装置がついた超音波内視鏡(EUS)を使うこともあります。
参考文献
.“食道がん 検査”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/public/cancer/esophagus/diagnosis.html,(参照 2026-02-03).
日本食道学会.“食道がんの診断・検査 CT、MRI、PET検査”.食道がん一般の方用サイト .https://www.esophagus.jp/public/cancer/04_examination.html,(参照 2026-02-03).
.“CT検査”.がん情報サービス .https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/ct.html,(参照 2026-02-03).
食道がんの検査費用はどのくらいかかりますか?
保険適用の有無や負担割合、受ける検査によって異なります。
食道がんの検査費用は、保険適用の有無や負担割合、受ける検査によって異なります。以下に個人の見解を記します。
食道がんの治療・対処法
食道癌への対処法は?
早期診断早期治療で根治が可能です。定期的な胃カメラの検査を推奨します。高濃度のアルコールや喫煙はやめましょう。
食道がんで手術ができない場合、余命はどのくらいですか?
手術ができない原因にもよりますが、ステージⅣの場合、5年生存率は8%程度です。
手術ができない原因にもよりますが、ステージⅣの場合、5年生存率は8%程度です。
食道がんの治療では、ステージⅡまたはⅢの場合に手術が検討されます。ただし、手術の侵襲が非常に大きいため、年齢を含めた全身状態を考慮して実際の手術適応が決められます。
ステージⅡまたはⅢの場合には体力的に手術が適応とならなくても、化学放射線療法など他の治療を行う選択肢もあるため、余命は人それぞれです。
ステージⅣの場合には、基本的に根治を目指した手術の適応にはなりません。この場合5年生存率は8.1%と言われています(2015年報告)。
食道がんで手術をしない場合の余命(生存率)はどのくらいですか?
生存率は、診断された時点でのがんの進行度(ステージ)や患者さんの健康状態によって大きく異なります。
食道がんの余命や生存率は、発見された時点でのがんの進行度(ステージ)や、患者さんの健康状態によって大きく異なります。
参考までに、一般的に手術治療が行われないステージ4食道がんの場合、5年生存率は8%程度です。また、食道がんの平均5年生存率は35%程度とされています(2025年2月時点)。
もちろん、これらの数値はあくまで統計学的な数値に過ぎず、個々の患者さんの余命については、病変の広がり方や性質、患者さん自身の年齢、治療中の病気などを総合的に判断します。
今後の予想される経過や余命について気になる場合には、担当医とよく相談しましょう。
食道がんのFP療法について教えてください。
食道がんに対して行われる、抗がん剤治療のひとつです。
FP療法は、食道がんの治療法のひとつです。がんの進行度や患者さんの状態によって検討され、特に手術が難しい場合や再発のリスクが高い場合に行われる傾向にあります。
一次治療と呼ばれ、初めに行う化学療法として選択される場合が多いです。
フルオロウラシル(5-FU)とシスプラチンという2つの薬剤を使ってがん細胞の増殖を抑える治療で、ひとつの薬剤を使う治療と比較して効果が高いとされています。
副作用としては、薬物療法の骨髄抑制による白血球や血小板の減少、吐き気や嘔吐、下痢、口内炎などが起こる可能性があります。
放射線治療で食道がんが治る確率はどのくらいですか?
化学療法を併用した場合、StageⅠの4年生存率80.5%、StageⅡ/Ⅲの5年生存率37%です。
食道がんの治療において、放射線治療は重要な役割を果たしますが、一般的に放射線治療単独での治療成功率は高くなく、化学療法との併用が推奨されています。
化学療法を併用した場合、日本のデータでは、StageⅠの食道がんの87.5%で一度はがんが消失し、4年生存率が80.5%、4年間無再発生存率が68.1%と言われています。
また、化学放射線療法を行ったStageⅡまたはⅢの食道がんの5年生存率は37%と言われており、術前化学療法+手術の55%より、やや劣ることが指摘されています。
食道がんに対して放射線治療をすることはありますか?
食道がんにおける放射線治療は、ステージ0からステージIVまで幅広く適応があります。
食道がんにおける放射線治療は、ステージ0からステージIVまで幅広く適応があります。
放射線治療は、体力的に手術や抗がん剤治療が難しい場合でも可能な場合があります。また、抗がん剤治療と組み合わせることでより強い効果を発揮します。原則的には局所の治療ですが、病状の進んだ状態でも、体の症状を楽にする目的で放射線治療が有効な場合もあります。
照射した周囲の臓器に合併症が現れる場合があり、具体的には、放射線食道炎、放射線皮膚炎、肺炎などがあります。
食道がんの場合、主にどのような治療をしますか?
がんの進行度(ステージ)に応じて、内視鏡治療、手術療法、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法などの治療を行います。
がんが食道の中でどの程度深いところまで広がっているか、リンパ節や他の臓器への遠隔転移(がん細胞が最初に発生した場所と別の臓器や器官に移動して増えること)があるかによってがんの進行度(ステージ)を調べ、進行度に合わせて最適な治療法を選択します。
内視鏡治療
早期の食道がんで、他の臓器やリンパ節転移の可能性が極めて低いがんに対して行われます。
手術療法
内視鏡治療の対象にならず、ほかの臓器への転移がない場合に手術を選択します。
内視鏡治療をしてがんがすべて取りきれなかった場合は、追加で手術を行うことがあります。
化学療法(抗がん剤治療)
手術でがんを取り除くことができないと判断された場合に化学療法を選択します。
また、手術前の補助治療、手術後の再発予防、放射線との併用療法として、化学療法を行うことがあります。
放射線療法
食道がんに多い扁平上皮がんは、胃がんや大腸がんなどの腺がんに比べると放射線が効きやすいという特徴があります。
がんを手術で取りきることが難しい場合、体力的に手術をすることが難しい場合、手術を望まない場合などに放射線療法を選択します。
また、化学療法と組み合わせることもあります。
参考文献
Kitagawa Y et al,. Esophageal cancer practice guidelines 2022 edited by the Japan esophageal society: part 1. Esophagus. 2023, 20, p.343-372.
Kitagawa Y et al,. Esophageal cancer practice guidelines 2022 edited by the Japan esophageal society: part 2. Esophagus. 2023, 20, p.373-389.
日本臨床外科学会.“治療について”.食道がんと診断されたら....https://www.ringe.jp/civic/20190527/p06,(参照 2024-01-25).
日本臨床外科学会.“疫学・一般知識について”.食道がんと診断されたら....https://www.ringe.jp/civic/20190527/,(参照 2024-01-25).
受診の目安・何科を受診するべきか
食道がんが疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
消化器内科を受診しましょう。食べ物が胸につかえる、吐血や便が黒いなどの症状があれば、早めに受診してください。
消化器内科では、一般的な診察に加え、内視鏡検査(胃カメラ)で食道の状態を確認します。食道がんが疑わしい場合は、組織を採取して病理検査を行い、食道がんかどうか診断をします。
手術が必要になる場合は、消化器内科と消化器外科が連携して検査・治療にあたります。
以下の症状が当てはまる場合は、早めに受診をしましょう。
食道癌の専門医がいる近くの病院はありますか?
食道癌の専門医がいる病院を見る食道がんの薬
食道がんの放射線治療に副作用はありますか?リスクと安全性について教えてください。
副作用が起こる可能性があります。早い時期に出るものと、あとになって出るものがあります。
食道がんに限らず、がんの放射線治療には副作用があります。
主な副作用には、
- 食道の炎症(放射線食道炎)
- 嚥下時の痛み
- 胸部の不快感
- 吐き気
- 易感染
- 放射性皮膚炎
- 体重減少
などがあります。
これらの症状は通常、治療後数週間以内に急性期障害として現れますが、程度には個人差があります。
また、治療後数ヶ月してから晩期障害として、食道狭窄、放射性肺臓炎、心筋障害などが起こる可能性があります。
放射線治療は周囲の健康な組織にも影響を与える可能性があるため、医師はリスクと治療の利益を慎重に評価します。
特に、高齢者や、ほかに治療中の病気がある方の場合、副作用が強く出ることがあります。
治療を受ける際は医師と十分に相談し、必要なケアやサポートを受けることが重要です。
食道がんの経過・予後
食道がんで胃ろうを造設した場合、余命はどのくらいですか?
胃ろうを造設することでは、余命は左右されません。
胃ろうを造設することによって、余命が左右されるというデータはありません。
食道がんの症状が進行してくると、がんによって食道が狭くなるため、食べ物が徐々にのみこみにくくなり、やがて食道が閉塞します。そのため、食事が取れなくなってくることにより、栄養状態が悪化します。
そこで、栄養状態を改善するために、閉塞している食道を回避した栄養の投与経路として、胃ろうが選択される場合があります。
胃ろうは、治癒を狙った手術前の栄養状態を改善するために用いられることもあれば、がん自体の治癒が困難な場合の処置として行われることもあります。
しかし、いずれの場合も余命はがん自体の進行度や全身状態によって規定されるため、胃ろうを造設したからといって、余命が規定されることはありません。
食道がんの生存率はどのくらいですか?
食道がん全体の5年生存率は約45%です。
2015年に食道がんと診断された方のうち、5年後に生存していた人の割合は約45%との報告があります。
がんのステージ(病期)ごとに5年生存率(診断から5年後に生存している方の割合)を見ると、ステージⅠでは約70%、ステージⅡでは約45%、ステージⅢでは約25%、ステージⅣでは約10%という結果でした(2015年報告)。
がんのステージにつきましては、こちらの解説をご確認ください。
食べられなくなったら、余命(生存率)は長くないということですか?
個人差がありますので、一概に言えません。
食道がんにおいて、食べられなくなるという状況にはいくつかの可能性があります。
まず、病変によって食道が狭くなり、食べ物が通過できないために食べられない、という状況が考えられます。
これを食道狭窄と言い、そのままではほとんど食事が摂れなくなるため、治療の必要な状態です。具体的には、ステント治療やバイパス手術などで治療を行います。
もうひとつは、病気が全身に広がり、全身状態が悪化した結果、食事を以前より摂れなくなるという状況も考えられます。
物理的に食べ物が通れなくなる先の状態と異なり、このような状況は全身状態の低下からきているため、特定の治療を行うというよりは、食べやすいものを食べる、痛みなどの症状があれば痛み止めでしっかり鎮痛をする、などの対応で少しずつ食べられるように期待する、という方針となる場合が多いです。
このように、食道がんで食べられなくなる状況としては、いくつかの可能性が考えられます。
体の状態は個々の患者さんごとに異なり、食べられなくなることで一概に「長くない」とは言えません。
症状や今後予想される経過については、担当医とよく相談しましょう。
食道がんに関連するその他の質問
食道がんがリンパ節転移するとどうなりますか?
食道がんがリンパ節転移すると、転移したリンパ節の部位によってさまざまな症状をきたします。
食道がんがリンパ節に転移した際の症状は、転移したリンパ節がある部位によって異なります。
例えば、首に所属するリンパ節に転移すると、首に塊を触れたりします。また、腫れたリンパ節が神経を圧迫することで、声がかすれるなどといった症状をきたすこともあります。
胸やお腹のリンパ節に転移すると、背中や腰に重苦しい痛みを感じることもあります。
リンパ節に転移しているということは、食道を超えてがんが広がっているということを意味します。そのため、食道内の治療である内視鏡治療ではなく、手術や、化学療法、放射線療法での治療を行います。
リンパ節転移で再発した場合も、放射線治療や薬物治療が行われます。限られたリンパ節の転移の場合は、治癒を目指した治療が行われることもあります。
食道がんが転移しやすい場所はどこですか?
食道がんは主に、リンパ節、肺、肝臓、骨などに転移します。
食道がんは主に、リンパ節、肺、肝臓、骨などに転移します。レントゲンやCT検査などでも転移がないかどうかを確認することはできますが、転移した部位によって異なる症状が出てくるため、それらによって気づくこともあります。
例えば、肺に転移した場合は、咳、血痰、胸の痛みなどの症状が現れることがあります。
また、肝臓に転移した場合は、腹部の張り、骨に転移した場合は、骨の痛みなどの症状が出ます。
これらの臓器以外にも、食道周辺の神経にがんが浸潤することで、声がかすれるといった症状が現れることもあります。
食道がん末期状態の苦しみについて教えてください。
飲み込めない、息が苦しい、痛みなどの症状が生じることがあります。
一般的に、食道がんの末期とは、病気が全身に広がり、体力的にも化学療法などの、がんに対する治療が難しくなった状態を指す場合が多いです。
そのような状況では、つらい症状ができるだけないように、対症療法を行います。
いわゆる食道がんの末期では、病気によって食道が狭くなることで、水や食べ物を飲み込むことが困難になることがあります。
また、病気が気道や神経に浸潤すると、咳が出たり、声がかすれたり、呼吸が苦しくなったりすることもあります。
これらの症状に対して、食道にステントを入れたり、バイパス手術を行うなどで対処したり、胃瘻や腸瘻で食事を摂れるようにするという治療を行う場合があります。
がんの進行や転移による痛みがある場合は、痛み止めを用いて症状を緩和します。
食道がんは、気道や太い血管に近い場所に位置することが多く、病気の進行に伴って、突然の呼吸困難や大量出血のリスクがあるという点にも注意が必要です。
末期の病状では、つらい症状のないようにすることがとても大切です。
今の症状や感じている不安点などについては主治医に伝え、対処の仕方についてよく相談しましょう。
食道がんの腫瘍マーカーで何がわかりますか?
治療効果の判定や治療後の経過の目安がわかります。
食道がんの腫瘍マーカーを測定することで、治療効果の判定や治療後の経過の目安が分かります。食道がんに限らず、腫瘍マーカーはがんの有無を確定する検査ではありません。
診断の補助や治療後の経過をみるための「目安」の1つです。扁平上皮がんではSCCとCEA、腺がんではCEAがよく測定され、数値が高くなるとがんの量が増えている可能性や、治療後に再発・進行している可能性を示唆することがあります。ただし、数値は早期だと腫瘍マーカーが変化しなかったり、他の原因でも上昇したりします。内視鏡や画像検査など、他の検査結果と合わせて評価されます。
食道がんにはどのような人がなりやすいですか?
50歳代以上の男性で、喫煙と飲酒の習慣がある人がなりやすいです。
食道がんは女性より男性に多く、年齢的には50歳代から増加し、70歳代が発症のピークです。
食道がんには主に扁平上皮がんと腺がんという2つのタイプのがんがありますが、日本では約90%が扁平上皮がんです。
扁平上皮がんでは、喫煙と飲酒が大きなリスクであると考えられています。
食道がんの原因について、詳しくはこちらをご確認ください。

食道がんのステージ(病期)はどのように決められますか?
食道がんの深さ(T)、リンパ節転移の程度(N)、はなれた臓器への転移の有無(M)によってステージ(病期)が決まります。大きく分けてステージⅠ~Ⅳがあります。
食道の壁は内側から粘膜層、粘膜下層、筋層、外膜と複数の層が重なっています。
食道がんは粘膜層から発生して、徐々に深く広がっていきますが、食道がんの深さによってT1 、T2、T3、T4のように表します。
がんが粘膜にとどまっているものを早期食道がん、粘膜下層までのがんを食道表在がん、筋層以深にまで広がったものを進行食道がんといいます。
がんが大きくなると、まずは近くのリンパ節へ、次により遠くのリンパ節へと広がっていきます(転移)。
食道の近くのリンパ節への転移の程度をN0、N1、N2、N3のように表します。食道から遠いリンパ節に転移している場合は、遠隔転移あり(M1)と考えます。
また、肺、肝臓、骨など、他の臓器に転移している場合も遠隔転移あり(M1)と表します。
遠隔転移がある場合は、手術でがんを取りきることが極めて難しくなります。
T、N、Mの組み合わせによって、ステージⅠ〜Ⅳが決まります。
参考文献
Kitagawa Y et al,. Esophageal cancer practice guidelines 2022 edited by the Japan esophageal society: part 1. Esophagus. 2023, 20, p.343-372.
日本臨床外科学会.“進行度について”.食道がんと診断されたら....https://www.ringe.jp/civic/20190527/p04,(参照 2024-01-25).
日本臨床外科学会.“疫学・一般知識について”.食道がんと診断されたら....https://www.ringe.jp/civic/20190527/,(参照 2024-01-25).
食道がんのTNM分類について教えてください。
T(腫瘍の浸潤の深さ)、N(リンパ節転移)、M(遠隔転移)の3つの要素でステージが決まります。
食道がんのTNM分類は、がんの進行度を評価する基準で、治療方針を決める際に重要です。
食道がんでは、以下の要素を基に分類されます。
T(原発巣の広がり)
がんが食道の壁(粘膜、粘膜下層、筋層、外膜)にどの程度浸潤しているかを示します。
T1は浅い層にとどまる早期がんで、数字が大きくなるごとに深達度が深くなり、T4は周囲の臓器(大動脈や気管など)に広がる進行がんを意味します。
N(リンパ節転移)
がんが転移したリンパ節の数を評価します。N0は転移なし、N1以上は転移が認められる状態です。
M(遠隔転移)
がんが肝臓や肺などの遠隔臓器に転移しているかを表します。M0は転移なし、M1は転移ありとされ、M1の場合はStage IVに分類されます。
この分類に基づいて、食道がんの病期(Stage 0~IV)が決まり、治療法の選択に活用されます。正確な診断が予後改善の鍵となります。
食道がんができやすい年齢はどのくらいですか?
食道がんは50歳以上、特に60~70歳台の方にできやすいです。
食道がんは特に60〜70代に多く、この年齢層が全体の約70%を占めます。
2020年のデータによれば、男性では50歳以降から発症率が急増し、60〜70代が最も多い傾向にあります。
女性の場合も同様に、高齢になるほど増加しますが、男性に比べると罹患率は低めです。
このように、食道がんは中高年に多い病気であり、特に飲酒や喫煙がリスク因子として関与するため、生活習慣の見直しが重要です。
早期発見のためには、定期的な検診や症状がある際の早めの受診が推奨されます。
食道がんには男女どちらがなりやすいですか?
男性の方が食道がんになりやすいです。
全国がん登録罹患データの集計によると、2019年に食道がんと診断された男性は21,719人、女性は4,663人であり、男女比はおよそ5:1でした。
食道がんについて、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「食道癌」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 胸の痛みはありますか?
- 食べ物が飲み込みにくいと感じますか?
- ノリの佃煮もしくは墨のような黒い便が出ていますか?
- 胸が締め付けられるような痛みがありますか?
- 胸やけがしますか?
食道がんに関連する病気・症状
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この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03