長鎖脂肪酸代謝異常症は主にどのような薬で治療しますか？副作用はありますか？

長鎖脂肪酸代謝異常症の治療の基本は、薬物療法よりも食事療法です。薬は、その食事療法を補助し、体の状態を安定させる目的で使われます。主に使われる「薬」や、それに準ずるものは以下の通りです。

中鎖脂肪酸（MCT）製剤

この病気の患者さんは、長鎖脂肪酸をエネルギーにできませんが、鎖の短い中鎖脂肪酸（MCT）であれば、異なる代謝経路でエネルギーとして利用できます。そのため、MCTを豊富に含む特殊ミルクや、調理に使うMCTオイルが処方されます。これらは、安全な脂質源として重要なエネルギー補給の役割を果たします。

L-カルニチン製剤

カルニチンは、脂肪酸をエネルギー工場であるミトコンドリアへ運ぶ役割を担う物質です。体内で不足することがあるため、補充のために処方されることがあります。

• 副作用：体臭が魚臭くなる（魚臭症）、吐き気や下痢などの消化器症状が出ることがあります。
• 注意点：病気のタイプによっては、カルニチンの補充が逆に有害になる可能性も指摘されており、必ず専門医の判断のもとで使用されます。

（海外での新しい治療薬）

海外では、特殊な中鎖脂肪酸であるトリヘプタノインという油（商品名：DojolviⓇ）が治療薬として承認されています。これは、エネルギー補給をより効率的に行うための薬です。

• 副作用：下痢や腹痛などの消化器症状が主なものです。

これらの薬物療法は、あくまで「絶食を避ける」「低脂肪・高炭水化物の食事」といった食事療法の基本を守ったうえで行われます。