長鎖脂肪酸代謝異常症
長鎖脂肪酸代謝異常症とは、脂肪をエネルギーに変える酵素が先天的に働かないことで、低血糖や筋肉痛、心筋症などを引き起こす病気です。空腹時や運動後に症状が出ることがあり、早期発見が重要です。疑わしい症状がある場合は小児科や代謝内科を受診しましょう。
福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
受診について
病気について
通常の給食は食べられないため、長鎖脂肪酸を除去した特別食の提供や、家庭からの弁当持参が必要です。学校との密な連携が不可欠です。
脂質を構成する基本単位である「脂肪酸」の一種で、炭素の連なりが長いものを指します。体の重要なエネルギー源として使われます。
深刻なエネルギー不足に陥り、重い低血糖発作、筋肉の破壊、心不全などを引き起こします。最悪の場合、突然死に至る危険性があります。
脂肪をエネルギーに変える体の仕組みに生まれつき異常がある病気です。絶食や運動をきっかけに、低血糖や筋肉の障害などを起こします。
可能です。ただし、妊娠・出産は体に大きな負担がかかるため、代謝・産科・麻酔科など専門チームによる計画的な医療管理が不可欠です。
脂肪をエネルギー源として利用できないためです。絶食すると体は脂肪を使おうとしますが、それができず深刻なエネルギー不足に陥ります。
はい、遺伝します。多くは常染色体劣性遺伝形式で、ご両親がともに原因遺伝子を持つ場合に約25%の確率でお子さんが発症します。
病気の重症度や治療の開始時期で大きく異なります。早期発見と適切な治療・管理を行えば、通常の寿命を全うすることも可能です。
原則として推奨されません。母乳には代謝できない長鎖脂肪酸が多く含まれるため、特殊ミルクで栄養管理するのが一般的です。
年齢や理解度に合わせて段階的に伝えます。幼児期は生活のルールとして、学童期以降に病気の仕組みや自己管理の大切さを伝えていきます。
脂肪をエネルギーに変えるために必要な「酵素」を作るための「遺伝子」に、生まれつき変異があることが原因の遺伝性疾患です。
手続きや支援について
治療について
まずは落ち着いて、指定された専門医療機関で精密検査を受けてください。「陽性」は確定診断ではなく、病気の可能性を示すものです。
絶食を避け、脂肪を制限し糖質を主エネルギー源とする食事療法が基本です。消化しやすい中鎖脂肪酸(MCT)の摂取も行います。
生涯にわたって続ける必要があります。遺伝性の病気であり、根本的な治療法がないため、食事療法が治療の基本となります。
絶食を避け、糖質中心の消化のよい食事を少量ずつこまめに与えます。おかゆやうどん、果物などがおすすめです。水分補給も重要です。
絶食を避け、こまめに食事を摂ることが最も重要です。激しい運動を控え、感染症など体調不良時の早期対応も欠かせません。
症状について
乳児期では低血糖や嘔吐、ぐったりするなど。小児期以降では運動後の筋肉痛や筋力低下が初期症状として現れます。
絶食や感染をきっかけに、低血糖、筋力低下、筋肉痛、心筋症などが起こります。新生児期には突然死に至る重篤な場合もあります。
心臓の機能が低下する心筋症、肝不全、筋肉が壊れる横紋筋融解症、重い低血糖による昏睡など、多臓器不全に至る危険があります。
症状だけでは判断が難しく、血液検査などが必要なため、正確なセルフチェックはできません。
検査について
薬について
(参考文献)
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラ医療AIパートナー ユビー
24時間いつでも健康の悩みを気軽にチャットで相談できるあなただけの医療AIパートナー。なんとなく不調な時や人に相談しづらい悩みがあるときも、どんな相談もOKです