長鎖脂肪酸代謝異常症の場合、主にどのような治療をしますか？

長鎖脂肪酸代謝異常症の治療の目的は、体内でうまく処理できない長鎖脂肪酸の代謝を避け、深刻なエネルギー不足（代謝発作）を防ぐことです。治療の中心は食事療法であり、生涯にわたって続ける必要があります。

絶食の回避

最も重要な治療です。空腹状態が続くと、体はエネルギー源として脂肪を分解しようとしますが、この病気の患者さんはそれができません。そのため、規則正しい食事で糖質（ブドウ糖）を常に補給し、体がエネルギー不足に陥らないようにします。特に乳幼児は夜間の長時間の絶食を避けるため、夜中にコーンスターチなどを摂取することもあります。

食事内容の調整（低脂肪・高炭水化物食）

食事から摂取する長鎖脂肪酸の量を制限します。肉の脂身やバター、一部の植物油などを控え、代わりに主食であるご飯やパンなどの炭水化物をエネルギー源の中心とします。

中鎖脂肪酸（MCT）の利用

長鎖脂肪酸とは異なり、中鎖脂肪酸（MCT）は、この病気の患者さんでも比較的スムーズにエネルギーとして利用できます。そのため、MCTを豊富に含む特殊なミルクや、MCTオイルを調理に使うことで、安全な脂質源としてエネルギーを補給します

急性増悪時の対応

発熱や感染症、嘔吐・下痢などで食事がとれないときは、代謝発作を起こす危険性が非常に高くなります。このような場合は、速やかに医療機関を受診し、ブドウ糖の点滴などを受ける緊急の対応が必要です。

これらの治療は、患者さん一人ひとりの病型や重症度に合わせて、専門医や管理栄養士の指導のもとで厳密に行われます。