リンパ球性下垂体炎とは何ですか?
自己免疫により下垂体に炎症が起こり、ホルモン分泌障害や視野障害などを引き起こすまれな病気です。妊娠後の女性に多く見られます。
リンパ球性下垂体炎は、自己免疫反応によって下垂体に炎症が起こるまれな疾患です。下垂体は脳の下部にあるホルモンを分泌する重要な内分泌器官であり、リンパ球性下垂体炎では、リンパ球という免疫細胞が主に下垂体前葉に浸潤し、下垂体の機能を低下させます。
原因は明確には解明されていませんが、自己免疫反応、つまり自身の免疫システムが誤って自分の組織を攻撃することが関与していると考えられています。特に妊娠後の女性に多く見られることから、妊娠に伴うホルモン環境の変化や免疫系の調整異常が発症に関わっている可能性が指摘されています。
症状としては、下垂体の機能低下に伴うホルモン分泌障害による倦怠感、月経異常、不妊などが現れるほか、下垂体の腫大による視神経の圧迫から視野障害や頭痛が起こることもあります。
診断には、MRI検査で下垂体の腫大や特徴的な造影効果を確認するほか、血液検査でホルモン値の低下や自己抗体の有無を調べます。
治療は、炎症を抑えるためのステロイド療法が基本となりますが、重症例では免疫抑制剤の使用や手術による減圧が必要となることもあります。また、下垂体機能が低下している場合は、ホルモン補充療法も行われます。
多くの場合、ステロイド治療により症状は改善しますが、下垂体機能の完全な回復は難しいこともあり、再発のリスクもあるため、長期的な経過観察が必要です。
福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
(参考文献)
Jaya Naran et al.“Lymphocytic Hypophysitis”.National Library of Medicine.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562255/,(参照 2025-06-11).
Patrizio Caturegli et al.“Autoimmune hypophysitis”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15634713/,(参照 2025-06-11).
一般社団法人 日本内分泌学会.“間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成 30 年度改訂)”.J-Stage.https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrine/95/S.May/95_1/_pdf,(参照 2025-06-11).
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